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「世界に恥をさらしたG7後の記者会見。とろんと眠そうな目、むくんだ瞼と頬。ロレツの回らない口調で『あの…ふう…。これからの状況に向かっての…G20…』――」。「週刊文春」(2月26日号)が特集した「中川昭一、小誌が掴んだ<酒乱と奇行>全情報」の冒頭部分だ。「後任は与謝野馨氏に決まりましたが、麻生政権は絶体絶命の窮地に追い込まれたといえます」と「週刊文春」政治部デスクもコメントしているという。
「怒るというより、笑っちゃうくらい、ただただ呆れている」と火山は、この「麻生首相の断末魔」シリーズの第1回の<見出し>をつけた。「100年に1度の危機」「世界同時不況」「未曾有の金融危機」――。重大な世界的課題を解決すべき<G7>なのに、中川財務・金融担当相には緊張感がカケラも見えないからだ。しかも記者会見で醜態を演じたにもかかわらず、会見後、財務省の玉木林太郎国際局長も同行、バチカン博物館を見学したというから空いた口が塞がらない。官僚に「オンブにダッコ」の<癒着>が実に露骨だ。
「中川氏がアルコールで何度も失敗しているのは、永田町では周知の事実。彼を可愛がっていた小泉純一郎氏でさえ、総理時代に叱責したといいます。『昭一、お前、朝から酒を飲むのはやめろ』と注意されたので、酒を飲むのは昼からにした、という冗談が広まっていたほど(政治アナリストの伊藤惇夫氏)。」(「週刊文春」28頁)。まさにあきれる!
「自民党は生き残れるか」――。麻生新総裁が誕生した直後の「朝日新聞」社説だ。<耐用年数が過ぎたか>「麻生氏が引き継ぐ自民党は、かつて経験したことのない危機にある。結党から53年、官僚機構と二人三脚で日本を統治してきた。麻生氏が直面するのは、まさに(自民党の)初代総裁の鳩山一郎氏以来の半世紀の間に積もり積もった様々な矛盾のツケなのだ。官僚との癒着、税金の巨額のムダ遣い、信じられない年金管理のズサン、薬害エイズや肝炎の隠蔽……」との指摘。まさに<正鵠>をつく。火山もまったく同感。
「『構造改革なくして景気回復なし』と公共事業はもちろん、社会福祉にも切り込んだ小泉流の強烈な改革メッセージは、スッカリ影を潜めている」「行政のムダをなくすと言っても、半世紀もの間、官僚とともにそのムダを作り上げてきた自民党にできるのか」と社説は続く。これも、まったく同感――。
「信念なき政治の漂流」――。福田康夫氏が辞任した直後の「毎日新聞」。9月2日、<政治部長>小松浩の署名記事。「前任の阿倍氏に続いて、時の政権担当者が2代続けてその座を放棄した淡白さは、自民党がもはや、固い信念を持って国家を率いていこうとする指導者を持たず、ただ漂流するだけの現実を、あからさまに語る」と書く。これも同感。
「首相は百年に一度の危機に構想を示せ」――。1月29日の「日経」社説だ。内容を紹介するまでもないだろう。<酒乱で奇行>の中川昭一の重用!<漂流>以外の何物でもない。
麻生首相は「解散より景気対策」と強調。あらゆる批判をゴマカしてきた。「日米関係を主軸にした外交と、金融危機対策及び景気回復策。麻生が政権と自分の政治力の命綱だと演説で見定めたテーマが目の前に、しかも世界規模で浮上した。財政と金融を再び一体化するのかという批判を意に介さず、両方を所管させた財務・金融相中川昭一を『責任閣僚』として押し出す格好の舞台」(「文藝春秋」2008年12月号・154頁)――。重大な一つが今回の<G7>。「頼みの<盟友>の醜態」――。どこに<信念>があるのだろうか。
「族議員と省庁、利益団体の『鉄の三角形』が無数に存在、法案はすべて自民党での厳密な事前審査に回されてきたことは周知の事実。逆に、野党の質問に対しては官僚が『質問取り』を行って大臣答弁を準備する。完璧過ぎるほどの官僚による補佐体制に依存した政治家が、官庁に対する充分なガバナンスを効かせることは可能だろうか。もちろん、否である」(「文藝春秋」2008年12月号。野中尚人「麻生政権と瓦解する自民党体制」・136頁)。「大臣なんてしょせんお飾り」――。これが<耐用年数が過ぎた>自民党のシステム。
「年金記録の消失も、後期高齢者医療制度の不具合も、『自民党システム』が機能不全に陥り、官僚機構に対するガバナンスを喪失したことと深く関わっている。大臣と省庁の間に、政治家の意向を正しく伝えるインターフェイスの仕組みを作ることが急務だ。民主党がマニフェスト案の骨子で、政府の中に与党政治家二百人を入れるというのは、イギリス型の、大臣チームで行政に指示を出すシステム。これも一つの考え方だ」(野中・137頁)。そう、かねて小澤一郎が繰り返し提唱している。大賛成!そして「政権交代」だ。
「麻生政権と瓦解する自民党体制」を「文藝春秋」12月号に寄稿した野中尚人は学習院大学の政治学教授。説得力がある。その野中教授が「阿倍晋三は一番の<小泉チルドレン>だった」と分析する。初当選から首相の座に登るまで充分な研鑽も苦労もなく<促成型>で、いきなり首相になった。「福田首相は、堅実でバランス感覚を持っていたが、旧来の調整型政治家だった。すでに『自民党システム』は崩壊し、強いリーダーシップなしには党内運営もままならないことを理解していなかったのだろうか」(野中・133頁)。
「自民党システムの崩壊」――。田中角栄の「日本列島改造」が頂点を極めた「土建国家的地方利益論」(榊原英資「分権国家への決断」毎日新聞社)だが、「公共事業に地方<反乱>!<国直轄>に負担拒否続々」と「日経」2月21日の総合面。橋下徹大阪府知事が、金子一義国土交通相に噛み付いた。「関西国際空港の連絡橋」。新潟県など4県の「整備新幹線」。神奈川県、横浜市、川崎市の「羽田空港際拡張工事」など。いずれも<制度疲労><金属疲労>!<政官業>の<癒着>が行き詰った。自民党政治<終焉>の前兆だ。
(平成21年2月21日)
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