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「師走恒例の顔見世興行ばりに、大向こうから『いよッ!ご両人』のかけ声がかかりそうだ。1週間前には影も形もなかった『日本未来の党』が産声をあげたが、その立役者となったのが、小沢一郎元民主党代表と嘉田由紀子滋賀県知事のお二人である。▼『剛腕』と『卒原発』の相乗効果は大きく、衆院選公示を目前にしたわらにもすがりたい面々が門前市をなしている。民主党から出馬が決まっていたのに突然、新党に走った前議員も現れた」と「産経抄」(12月1日)は<快調>に始まる。火山、思わず呻った。「いよッ!面白い」。
「▼義理や人情は昭和の昔に絶滅し、離合集散は世の習いだからとやかくはいわない。いわないが、永田町に政治家といえるヒトがめっきり減り、重度の落選恐怖症にかかった渡りドリだらけになってしまったのは嘆かわしい」と続く。ますます面白い。ウーン!
「ヒトでなくトリ、それも“渡り”ドリ」とは…。“痛烈”。こうまで言われたら、ヒトなら赤面、意気消沈するはずだが、トリだから、トリ合わないのだろう。ああ、嘆かわしい。
「▼それにしても『小沢一郎』はしぶとい。秋波を送っていた橋下徹大阪市長との連携がうまくいかないとみるや、流行の反原発感情に目をつけ、新幹線に飛び乗って女性知事を口説き落とした手腕は余人にはまねできない。▼小欄も『いよッ!壊し屋』のエールを送りたいが、民主党からの出馬を断念した鳩山由紀夫元首相をぜひ仲間に加えてやってほしい」と「産経抄」!ますます<快調>。ナルホド!“ハト”もトリのうち、しかも<節操>の無い“渡りドリ”は、元首相にはウッテツケ。それにしても“最低”の男だ。
「『ルーピー』(気が変)と呼ばれる珍奇な言動で政界をにぎあわせてきた鳩山由紀夫元首相が21日、引退を表明した。夢想と現実の区別がつかず、虚言と食言で日本の国益を毀損し続けたこれまでを思うと遅すぎる決断だ」と「産経」――。「とはいえ、『政権交代の立役者』(藤村修官房長官)である『ミスター民主党』が誰にも惜しまれずに孤独に去りゆく姿は、政治の非情さと諸行無常を表し感傷を禁じ得ない」と続く。火山も前半は同感だ。
「鳩山氏は今回の衆院選では、選挙区で劣勢に立たされていた。再選するには比例復活を狙うしかないが、民主党執行部は公認の条件として、鳩山氏が反対してきた消費増税や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への賛同という『踏み絵』を突きつけていた。真綿でくるむようにして鳩山氏を締め付け、引退へと導いたのだ。野田首相は14日の安倍氏との党首討論では『残念ながら<トラスト・ミー>という言葉が軽くなってしまった』と述べ、露骨に鳩山氏の言葉を皮肉ることさえした」と「政論」は厳しい。だが「正論」だ。
「『疾(はや)きこと風の如く、静かなること林の如し…』。戦国大名の武田信玄といえば、『風林火山』の旗が有名だ。鳩山由紀夫元首相は、『友愛』の旗を掲げてきた。もっとも言動を振り返ると、『軽きこと綿菓子の如し』といえる。▼『綿菓子』としたのは、ソフトクリームからの連想だ。『愛とか友情とかリベラルとかソフトクリームのようだ。おてんとうさまが出たら溶けるのではないか。あまっちょろすぎる』。平成8年に中曽根康弘元首相が、鳩山氏を評した言葉が、民主党政権となって現実となってしまう。
▼『(移転先は)最低でも県外』。『プリーズ・トラスト・ミー』。米軍普天間飛行場の移設問題では、沖縄県民とオバマ大統領に大見えを切りながら、迷走する『甘さ』を見せた」(「産経抄」)。いずれも国民を、有権者を、裏切った<重罪>――。一国の「首相」ともあろうものが、信じられない<幼稚><稚拙>。こんな人間を代表や総理にした民主党に、ヒトはいたのだろうか。トリばかりでは、余りに情けない。お粗末の度が過ぎる。
「▼実母から受け取っていた、総額12億円もの『子ども手当』の存在も発覚する。首相在任は八ヵ月余り、ソフトクリームはすぐに溶けてしまった。その鳩山氏が昨日、野田佳彦首相に、自身の政界引退を伝えた。▼衆院選への意欲を示していただけに、驚いた」(「産経抄」)「驚いた」とはお世辞だ。鳩山由紀夫の場合、実は出馬しても苦戦は必至だったとされる。「首相退陣後、政界引退を公言しながら反故にした“前科”がある」(同)――。
「軒を貸して母屋を乗っ取られた『鳩山家』政界投資の損益計算」(「週刊新潮」・12月6日号)――。「その昔、鳩山一郎氏は児玉誉士夫が提供したダイヤモンドを資金源に自民党の前身・日本自由党を作ったといわれている。そして後に自民党を倒した民主党も孫の
鳩山由紀夫氏(65)と邦夫氏(64)が資金を出して作った政党だ。だが、皮肉なことに兄はその民主党に追われるように政界を引退し、弟もすでに党を去った。2人の政界収支決算やいかに」――。「週刊新潮」は騒ぎ、心配して見せる。まさに「運命の皮肉」だ。
「旧民主党が結成されたのは1996年。その際、由紀夫氏は9億円、そして邦夫氏が7億円をそれぞれ銀行から借りて党に貸し付けている…。2人が貸し付けた金は、その後どうなったのだろうか。『民主党に政党助成金が入ると党の財政も一息つくようになり、先に民主党を出た邦夫さんは7億円を返済してもらっています。由紀夫さんも“一刻も早く返してもらいたい”と言っていたことから、すでに返してもらっているはずです』」(「週刊新潮」)。
「出馬を断念した鳩山由紀夫元首相をぜひ仲間に加えて…」と「産経抄」は親切。「▼小沢、鳩山の二枚看板がそろえば、十数もの政党が入り乱れてぼやけかけてきた『民主党政権の総括』という争点がはっきりする。新党が被っている『卒原発』の甘い皮を一枚めくると、約50人もの元民主党議員がひしめく『本家民主党』であることが有権者にもよく分かるはずだ」と「産経抄」――。面白い。実に<痛快>。久しぶりに笑える傑作に出会った。
(平成24年12月2日)
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