火山の独り言

時ならめ 風に挑みて 鯉のぼり

千住真理子

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「先日レストランに入った途端に後悔した。席に案内された後なかなかオーダーを取りに来ない。わざわざ空いていそうな早めの夕方、空いていそうなお店を選んで入ったのだ。忙しくないから直ぐに注文を取りサッと料理が運ばれてくるはずだった。予想に反して、まだ調理の支度もままならず、アタフタしているため、用事を思い出したふりをして私は即、店を出た。次に入ったレストランでは、先ず最初に一番早く出来るのは何ですか?と聞くところから始めた」(「日経」コラム<あすへの話題>・11月1日)――。

さて筆者の千住真理子…。「11歳から江藤俊哉に師事。小学校低学年まではほとんど練習をせず、コンクールに出ることもなかったが、1972年、第26回全日本学生音楽コンクール東京大会小学生の部で第2位を受賞。翌1973年、同コンクール東京大会、全国大会小学生の部で第1位を受賞した。1975年、NHK交響楽団と共演し、12歳でプロデビュー。1977年、15歳の時、第46回日本音楽コンクールを最年少で優勝した。1979年、17歳の時、第26回パガニーニ国際コンクールに最年少で入賞(第4位)」と「ウィキペディア」――。

「バイオリニスト。1962年4月3日…。慶應義塾大学文学部哲学科卒。A型」とインターネット情報――。「愛器は1716年製ストラディヴァリウス。『デュランティ』の愛称で知られる。ストラディヴァリが製作してすぐにローマ教皇クレメンス14世に献上され、その後フランスのデュランティ家に約200年間所蔵されていた。次いでこの楽器はスイスの富豪の手に渡ったが、その約80年後の2002年にその富豪が演奏家のみを対象に売りに出した為、千住家が数億円で購入した」と続く――。えっ!1962年生まれ、51歳!唖然…。

「約300年間誰にも弾かれずに眠っていた幻の名器…」と紹介が続く。実は火山、この名機を彼女が初めて公開したコンサートをカブリツキで聴いた。噂の美女…。まじまじと見たが、なんとまあ、若く見えたこと…。20代後半か…と火山は思った。だから、仰天!
――「先ず最初に一番早く出来るのは何ですか?と聞くところから始めた…」と彼女のコラムは始まる…。「これで直ぐに持ってきてほしいという意思表示になる。自分の食べたいものは置いといて、早いと言われた物をオーダーした」とは笑える。美女らしくない。

もう一つ<意外>と思ったことがある。千住真理子の<文字>表記…。<直ぐ><先ず><出来る>――。現役時代――といっても火山には<16年前>!ヘタすれば<ふた昔>前になるが、「社内報」編集担当だった火山、<すぐ><まず><できる>と表記する。決して漢字は使わない。火山の方が「ひと世代」上なのだが、<出来る>とか<先ず>には抵抗がある。<直ぐ>もダメ。だが彼女は<漢字>を使う。選ぶのではなく、習慣として、無意識のうちに使ってしまう。新聞社も<原文>の表記を尊重する――。

「やはり<世代>が違う」!と、火山は思ってしまう。本当は<逆>なのだが――。細かいようだが、「仮名づかい」は「社内報」編集の鉄則。本当は「新聞」も「雑誌」も同じ。<千住真理子>流、本来は<違反>――。だが<原文>尊重という「例外」がある。でも火山、やはり<世代>――。育った「時代」や「環境」を意識してしまう。不思議な感覚。

「急いでいる訳ではないが、待てない。大抵一人でレストランに入るから、待っている間手持ちぶさたで話す相手もいない。ついでに、料理が運ばれて来れば只々ひたすら食べるために直ぐに食べ終わる。だから私は食事時間が大変短い」――。ここもずいぶん面白い。<大抵><只々>…。火山は、引っかかる。<来れば>…も。だがもっと引っかかるのは「大抵一人…」ということ。有名バイオリニスト、しかも絶世の美女、それが<一人>でレストランに入り、一人で席に着く。なんだかなあ〜。ウーン!

「待てないならファストフードやラーメン屋に行けばいいのだが、こんな私だってたまにはレストランで食事したい時もある」…。フーン「こんな私だって…」とは何ともはや…。「誰かと食事しても、私が早食いのため、待つ努力を強いられる。母の生前、一緒にレストランに入り食事が遅い母を観察した。一口食べては私に嬉しそうに話をしていたため、たまりかねた私は『食べる時は食べることに集中して!話はあと』と言って母に呆れられたことがある。思えば可哀そうなことをした」――。母とはエッセイスト・千住文子。

「教育評論家」でもある母・千住文子を、まるで<年寄>扱い。これも笑える。やはり美女は<お姫様>で育つのだろう。「思えば可哀そうな…」。そう、この夏、この母を見送ったはず。「大抵一人…」という千住真理子の言葉に、火山の心もいささか痛む。ウーン!「ゆっくり食事を楽しみながら母娘の時間を過ごすべきだった。が今は一人だ」――。「ハンバーグでもグラタンでも、カーレースのピットインのようにサッと食事を終えられれば『待つストレス』から解放されるのに」と「日経」コラム<あすへの話題>は終わる。

「待つストレス」――。そんな言葉があるのか。火山も<早食い>!だから美女・千住真理子が「誰かと食事しても、私が早食いのため、待つ努力を強いられる」と書くと、何だか嬉しくなる。「<早食い>だから<待つ努力>」!そして「待つストレス」…。笑える。

そういえば火山、慶應の同窓会=「連合三田会」で去る10月20日(日)、千住真理子のバイオリンをカブリツキから眺め、聴いた。兄で作曲家の千住明が主催したプロジェクトに出演。ビックリ知ったのはNHK朝ドラ「虹を織る」のヒロイン<紺野美紗子>も慶應。幼稚舎(小学校)で千住明と「同級生」だったというから、参った。「虹を織る」は昭和455年(1980)というから、これも参った。「光陰矢の如し」というが、ホント、参った!
(平成25年11月4日)

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