|
田原総一朗の「サンデープロジェクト」に東条英機元首相の孫娘・東条由布子さんが出演したことがあった。「太平洋戦争は自衛のための正義の戦い。東京裁判は戦勝国が一方的に敗者を裁いた。国際法上も根拠がなく、米国の政府要人の中にもあの裁判は誤りだったという見解がある。敗戦責任はあるかもしれないが、歴史の流れを一人の力で変えることはできない。祖父は尊敬できる立派な人だった」と言った。
「敗戦後、遺族は白い目で蔑まれ、英機の長男は職も追われた…」とも。田原総一朗はじめ誰もコメントらしい発言はせず、同情論がチラホラ。そんな感じだった。その後、この長男が三菱重工で日本初の旅客機<YS−11>を完成させる中心人物として大活躍したとNHKの「プロジェクトX」で見て、なんとも言いようのない感慨を覚えた。
だが火山、昔から山本五十六が好きで伝記をいろいろ読んだ。関連で米内光政、井上成美、高木惣吉など海軍首脳の伝記も…。昭和40年代、中央公論社から出た「日本の歴史」(全26巻)も通読していたので、田原総一朗以下、黙っていたのが奇異でならない。最近、読んだ堺屋太一「団塊の世代<黄金の10年>が始まる」(文藝春秋)の中に、適切な文章を発見した。火山は堺屋太一の本は「団塊の世代」「知価革命」などいろいろ読んだ。近著「中国大活用」(NTT出版)も読んだ。彼には確かな<歴史眼>がある。いつも思う。
「世界史的に見ると、第二次世界大戦は英米など自由主義市場経済の先発工業国と、日独など官僚主導統制経済で追いつこうとした後発工業国との戦いでした。先発工業国は比較生産費説など自分たちに有利な経済理論で世界体制を作り、広大な植民地勢力圏を押さえていました。これに対して後発工業国は官僚統制と軍事力強化で新たな植民地勢力圏を作ろうとしました。『日本はアジア諸国の解放自立のために英米と戦った』というのは、主観的にはともかく客観的には認められないでしょう」(174頁)という。まったく同感。
学生時代、マルクス経済学で「帝国主義論」など「資本の論理」を勉強した火山。明治維新史で日本に「ブルジョワ民主主義」が存在したか、日本資本主義論争も研究した。その火山から見ても堺屋太一の指摘は正しい。
「戦争に敗れた日本は専ら『物量で負けた』と考え、物量の差を無視して戦争に突入した軍部が悪いと考えました。ここで『軍部』というのは『軍人精神と戦争政策の体現者』という抽象的な存在です。このため個々の軍人の伝記や個人史を書けば、誰もが『温情ある人間』として賞賛されてしまいます。靖国神社の問題で『A級戦犯に罪なし』とする人々の論理は、たぶんそんなものでしょう」(174頁)。これも鋭い指摘です。
堺屋太一が凄いのはこの次。「抽象的軍部を否定、軍人精神と武人の文化を追放したことで『あの戦争は清算した』と考え」るのは間違いと断ずる。「太平洋戦争のもう一つの体制、官僚主導は効率を上げるのに有効と認め、戦後も継続してきました。いやむしろ戦後こそ強まります。中国や韓国が『日本は傲慢で戦争の反省がない』というのは、この点を指してのこと」と書く。火山がいう<40年体制>のこと。官僚主導の<国家総動員>体制。昭和15年(1940年)の第二次近衛内閣で完成した仕組みです。
<40年体制>を詳しく論じる紙数はない。ただ田中角栄の「列島改造」に始まるバラマキ政策は<40年体制>(官僚主導)を拡大再生産したものです。「特定郵便局長の会」に代表される<集金><集票>システムは<巨大な利権>となって<経世会>に受け継がれた。大前研一のいう<政官業><鉄のトライアングル>です。これが<バブル崩壊>と<空白の10年>を生み<郵貯崩壊><年金破綻><財政破綻>の根本原因となった。
今日の官僚の<傲慢>と<腐敗>は目に余る。小泉首相の<官から民へ><中央から地方へ>はこの<官僚主導>を<解体>せんとするもの。その小泉首相が<靖国>で躓いているのは<歴史の皮肉>。なんとも情けない。
山本五十六の評伝「海燃ゆ」(工藤美代子・講談社)を火山、1年半前に出版と同時に読んだ。工藤美代子が「悲劇の外交官、ハーバート・ノーマン」(岩波書店)を書いていると知って驚いた。ハーバート・ノーマンは米国では珍しい「明治維新史」と「マルクス経済学」の研究者。良心的な外交官だ。ノーマンを理解できる作家ならと思った。一読、深い感銘を受けた。参考文献も多数、よく勉強している。
山本五十六は大正末期、米国に留学、石油事情を調査研究した。いかに大鑑巨砲で軍備を強化しても石油が切れたら万事休す。骨身にしみて知っていた。今後の戦争は大鑑巨砲ではなく航空機が制することも見抜いていた。日独伊三国同盟の無謀も洞察、命がけで反対した。天皇も同じ意見だった。
そんな山本五十六を通じ<太平洋戦争と戦争犯罪>について深く考えてみたい。そう希望しています。どうかよろしくご愛読ください。伏してお願い申し上げます。
(平成18年1月12日)
|
謹賀新年
本年も宜しくお願い致します。
山本五十六元帥を記事にして頂き、とても嬉しく思います。火山様
の書かれた通りで、山本大将は日米の軍事力の差を知悉して居られ
そもそも、蟷螂の斧みたいなもので絶対反対して居られましたね。
真珠湾攻撃など以ての外で「嫌だった」でせふね。あれは完全に
相手のトラップに掛かって仕舞いました。二隻の空母は真珠湾攻
撃の直前に急遽南下させ被害を逃れ戦力を温存しました。こちら
の手の内は完全にバレバレでした。退役寸前の戦艦や巡洋艦など
で、その後戦況を見るにつけ、大勢に影響のない「被害」でした。
要するに、日本軍は嵌められたのですよね。陛下も元帥も慧眼で
したが陸軍の暴走を止める事が出来ず非常に残念な結果を招いて
仕舞いました。残念なのはあの惨めな敗戦で、「羹に懲りて膾を
吹く」情けない状態で、「尖閣」という「黒船」でやっと日本
も目が醒めて「改憲」意識が喚起されましたね。
気が付いたら、何んと我が国会内は朝鮮半島出自というか在日系
の民主党国会議員がわんさか居て、在日特権など仰天の法案を
通し、日本を引っ掻き回されてます。
2014/1/3(金) 午後 4:12
<BUGINNOSE>様、明けましておめでとうございます。
現実を<ありのまま>直視する。謙虚に受け入れ、素直に生きる。個人の交際でも、外交でも、ウソやデタラメは通用しない。粘り強く、真摯に、意思を貫徹する。私利私欲に走らない。
今後も火山、「人生は<自己実現>の場、一人一人が<主役>」のモットーを貫徹したい。
2014/1/3(金) 午後 10:22 [ 火山 ]