火山の独り言

時ならめ 風に挑みて 鯉のぼり

阿木耀子

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「何たることか。また転倒した。私にとっては、2週続きの魔の月曜日だ。今回は我が家の庭先である。植木に水を撒こうとして、僅かな段差を踏み損なった。ガクンと膝が折れて、そのまま起き上がれなかった。顔やスカートに容赦なく水が掛かる。しかし、水栓を止めることができない」(「日経」コラム<あすへの話題>6月14日)――。筆者は美女・作詞家<阿木耀子>!タイトルは「魔の月曜日」――。では先週6月7日は…。

「アッ、やったと思った直後、何とも言えない惨めな気持ちになった。通りすがりの人が『大丈夫ですか?』と声をかけてくるが、返事もできない。大袈裟な言い方だが、突如、地獄に突き落とされた感じ。何とも自分の姿が無惨に思える」――。「転倒」がタイトル。

「阿木耀子をテレビで発見、美女と思って<一目惚れ>したのはいつか、ハッキリしない。でも妖艶な<姿態>を求めてテレビ画面を<逍遥>した記憶は鮮やか。だが容易に発見できない!その<無念>をしたたか味わったことも確か。だが今年(2014年)新春早々、<1月4日・土>に「日経」夕刊で<ご尊名>を発見した。今後、毎週<土曜日>連載で<登場>という。嬉しくて舞い上がった。もっとも「日経」夕刊コラム、昨年7月から「金曜日」の連載だった<千住真理子>は「連載」終了、消えたのはショックだった。

でもいわば<代わり>に阿木耀子が現れた!<昔の恋人>に再会したような気分――。さっそく「ウィキペディア」で<故事来歴>を調べた。でも仰天!ナ・ナヌッ!「1945年5月1日生まれ」…。<68歳>!げっ。ビックリ…。何ともはや、ウーン。だが…。

「捜真女学校の小・中・高を卒業後の1964年、明治大学文学部史学地理学科に入学、軽音楽クラブに入部。そこで、後に夫となる同学年の宇崎竜童(法学部)と出会う。作詞家としてのキャリアスタートは1969年、グループサウンズのジュリーとバロンのデビュー曲『ブルー・ロンサム・ドリーム』(作曲は宇崎竜童)」――。えっ、<捜真>!ナントいう<運命>の出会い!「捜真」最寄駅は東横線<反町>!火山の「通学・通勤」最寄駅も反町!だから昭和27年(1952)から昭和50年(1975)まで毎朝<邂逅>を重ねてきたのだ。

何を隠そう!火山の実家は東横線<反町>から徒歩5分の至近距離。<中2>(14歳)からの中区<吉浜橋>への通学。<高1>(16歳)から東横線「日吉」<慶應高校>への通学、大学もいわゆる<予科>は日吉。サラリーマンとなった<23歳>からも南武線の「武蔵新城」への通勤で<毎朝>「反町」駅まで歩く。嫌でも<捜真>の女学生らと顔を合わせていた。その中に<青春>真っ盛りの<阿木耀子>もいたはず。ウーン。知らなかった

「<憧れ>のマドンナ」――。火山の中の<阿木耀子>は<溌溂>たる美女。若くてピチピチ。颯爽として<転倒>などとは無縁…。だが<2週連続>とは恐れ入る。まさに「何たることか。また転倒した」――。「その日は地方で仕事があり、医者に行く暇がなかった。翌日、レントゲンを撮ると、左足の甲が骨折していた。医者は『いわゆる下駄(げた)骨折というやつで、3週間は安静にしていて下さい』といった。骨密度には自信があったのに、あ〜あ、残念」と続く。えっ、「骨密度に自信?」…。ホンマかいな。

最初にハッキリしておこう。阿木耀子のイメージが火山の中で大きく変わってきた。若いどころか意外な<年寄り>!しかも自ら<加齢>を意識、自認している。そこが痛快――。
「もともと私はよく転ぶ。しかし、2度も医者の世話になるほどの転び方をすると、これは一体、どういうことか、と思う。ただの偶然か、それとも何かのお知らせかと。前回は心配してくれた友人が、杖をついている私を見て、笑いを堪えていた。唇にグッと力を入れ、笑うまいとしているのが見て取れた」と続く。何か笑える。加齢に気づき、ギョッか。

阿木耀子が<68歳>と分かった時、火山、唖然!「信じられない」――。だが火山、もう長いこと阿木耀子を見ていない。テレビにも出てこないから…。だから浮かぶイメージは昔のまま。<加齢>した阿木耀子など想像もできない。だが「文は人なり」。コラムを読むと、嫌でも彼女の<加齢>を意識する――。「前回は心配してくれた友人が、杖をついている私を見て、笑いを堪えていた」…。彼女の文章、<杖>を意識はしているが、必ずしも<違和感>を表現していない。むしろ<ありのまま>の自分を受容している。可愛い。

<杖をつく>!火山は喜寿だが<転倒>経験は皆無。<杖>を使ったこともない。でも阿木耀子が<杖>を意識していることは分かる――。「(友人が)唇にグッと力を入れ、笑うまいとしているのが見て取れた。当然だろう。当人の私でさえも、医者の診断を聞いた瞬間、吹き出しそうになったのだから」と続く。まさに<意識>はしても素直に<受容>している。そして笑おうとしている。むしろそういう「<微妙>なお年頃」なのだ――。

「高校時代の友人が、会報誌に載せる原稿の催促の電話をかけてきた。締め切りはとうに過ぎている。言い訳がまし、骨折しちゃって、と私は告げた。友人から、こんなコメントが戻ってきた。『私も去年、冬の日に転んで骨折し、3ヵ月動けずにいたの。でも、それで良かったと思って。ウチに18才の老犬がいたんだけど、思う存分看病できたし、看取ってあげられたから。私、これって神様の御業(みわざ)の気がして……』。我が家にも18歳の老猫がいる。せいぜい大事にしてあげよう、と今はそんな気分でいる」とコラムは結ぶ。

笑ってください、お立合い!これ読むと火山、友人の声は<お婆ちゃん>に聞こえる。でも阿木耀子は若々しい…。ウーン、「神様の御業…」!捜真はやはりミッションスクールだ。
(平成26年6月16日)

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