火山の独り言

時ならめ 風に挑みて 鯉のぼり

阿木耀子

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「82歳の今なお、聖心女子大のゼミを持ち、エッセイストであり、セラピストでもある鈴木秀子さんのお書きになった『死にゆく者からの言葉』に目を落としていた時のことだ。冒頭の部分に“仲良し時間”という言葉を見つけて、ドキッとした。例により私は熊のように部屋中をウロウロし、はやる胸の鼓動を静めた」と「日経」コラム<あすへの話題>(6月21日)。筆者は美女・作詞家<阿木耀子>――。

「阿木耀子をテレビで発見、美女と思って<一目惚れ>したのはいつか、ハッキリしない。でも妖艶な<姿態>を求めてテレビ画面を<逍遥>した記憶は鮮やか。だが容易に発見できない!その<無念>をしたたか味わったことも確か。だが今年(2014年)新春早々、<1月4日・土>に「日経」夕刊で<ご尊名>を発見した。今後、毎週<土曜日>連載で<登場>という。嬉しくて舞い上がった。もっとも「日経」夕刊コラム、昨年7月から「金曜日」の連載だった<千住真理子>は「連載」終了、消えたのはショックだった。

でもいわば<代わり>に阿木耀子が現れた!<昔の恋人>に再会したような気分――。さっそく「ウィキペディア」で<故事来歴>を調べた。でも仰天!ナ・ナヌッ!「1945年5月1日生まれ」…。<68歳>!げっ。ビックリ…。何ともはや、ウーン。だが…。

「捜真女学校の小・中・高を卒業後の1964年、明治大学文学部史学地理学科に入学、軽音楽クラブに入部。そこで、後に夫となる同学年の宇崎竜童(法学部)と出会う。作詞家としてのキャリアスタートは1969年、グループサウンズのジュリーとバロンのデビュー曲『ブルー・ロンサム・ドリーム』(作曲は宇崎竜童)」――。えっ、<捜真>!ナントいう<運命>の出会い!「捜真」最寄駅は東横線<反町>!火山の「通学・通勤」最寄駅も反町!だから昭和27年(1952)から昭和50年(1975)まで毎朝<邂逅>を重ねてきたのだ。

「読書中、感動的な言葉に出会うと、私はページの端を折り曲げ、本を閉じる。そして部屋をグルグル歩き廻る。食べ物なら一時に、美味しい物を食べてはいけない、そんな気分だ」――。これが美女・作詞家<阿木耀子>のコラム「仲良し時間」の書き出し。

何を隠そう!火山の実家は東横線<反町>から徒歩5分の至近距離。<中2>(14歳)からの中区<吉浜橋>への通学。<高1>(16歳)から東横線「日吉」<慶應高校>への通学、大学もいわゆる<予科>は日吉。サラリーマンとなった<23歳>からも南武線の「武蔵新城」への通勤で<毎朝>「反町」駅まで歩く。嫌でも<捜真>の女学生らと顔を合わせていた。その中に<青春>真っ盛りの<阿木耀子>もいたはず。ウーン。知らなかった。

「<憧れ>のマドンナ」――。火山の中の<阿木耀子>は<溌溂>たる美女。若くてピチピチ。ところがナント、この美女が<転倒>したと告白、「日経」コラムに寄稿した。それが「<梅雨入り>宣言」直後の<6月7日>――。ビックリ、したが、ナント<翌週>の<6月14日>もまた<転倒>が話題…。<2週連続>とは恐れ入る。まさに「何たることか。また転倒した」と<美女>が書く…。えっ!

「アッ、やったと思った直後、何とも言えない惨めな気持ちになった。通りすがりの人が『大丈夫ですか?』と声をかけてくるが、返事もできない。大袈裟な言い方だが、突如、地獄に突き落とされた感じだ。何とも自分の姿が無惨に思える」――。これが「6月7日」。

「何たることか。また転倒した。私にとっては、2週続きの魔の月曜日だ。今回は我が家の庭先である。植木に水を撒こうとして、僅かな段差を踏み損なった。ガクンと膝が折れて、そのまま起き上がれなかった。顔やスカートに容赦なく水が掛かる。しかし、水栓を止めることができない」…。これが「6月14日」)――。タイトルは「魔の月曜日」!

「(エッセイスト、セラピスト・鈴木秀子さんの)著書によると、仲良し時間は死の間際に訪れる。その人の人生や、周囲の人と和解をするための時間のことらしい。蝋燭(ろうそく)が燃え尽きる寸前、一瞬炎を高くするように、死に行く人が突然、生き生きとすることがあるという。元気そうに喋り、振る舞う。その時、その人はやり残したこと、言いそびれていたことを、周囲に伝える。その時、大事なのは、その人の話に耳を傾け、ただそれを受け止めることだという」――。阿木耀子、やはり<文筆>の人だ。素晴らしい。

火山、この1月4日(土)から既に半年近く、彼女の文章を<味読>してきた。正直に言おう。詩人らしい文章と思ったことがない。深みがない。あまりに日常的に過ぎる。平凡なのだ。さらりと暮らしの断片を切り取っている、ともいえる。でも「感情移入」がしにくい。素直なのかも知れない。でも…。ところが今回は違う。そして来週は「最終回」のはず。するとこれ、今回のこれ、限りなく「仲良し時間」に近づいているのかも――。

「臨終間際、人は自分の死が近いことを悟ると、心に積もったチリを吐き出したいと願うもののようだ。それが出来た人は、安らかに旅立てる。逆に何かの理由で仲良し時間が持てなかった人は、心残りのままだ」と続く…。結構いいが、まさかこれ「請け売り」?

「聖心会のシスターでもある鈴木さんは、著書の中で何度となく、“聞く”という言葉を使っていらっしゃる。死に行く人の声を聞く。相手の話を聞く。自分の体の悲鳴を聞く。心の叫びを聞く。真に優しい人とは、話し上手であるより、聞く耳を持ち、準備が整った人なのかもしれない。そんなことを考えさせられる一冊だ」と彼女は結ぶ。
(平成26年6月23日)

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