火山の独り言

時ならめ 風に挑みて 鯉のぼり

阿木耀子

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「あ〜、楽しい。これはここ何年来の私の口癖だ。いや、口癖というのとは多少ニュアンスが違う。もう少し生理的、欠伸(あくび)やしゃっくりに近い。何かの折に、ルンルン気分(流行遅れな表現?)が、お腹の底から込み上げてきて、口を突いて出る。しかし、いつ出てくるかは予想がつかない。道を歩いている時、料理中、入浴している時と、何の脈絡もなく至福感が湧き上がってきて思わず、声になる」(「日経」コラム<あすへの話題>・6月28日)――。筆者は<美女>作詞家<阿木耀子>――。

「阿木耀子をテレビで発見、美女と思って<一目惚れ>したのはいつか、ハッキリしない。でも妖艶な<姿態>を求めてテレビ画面を<逍遥>した記憶は鮮やか。だが容易に発見できない!その<無念>をしたたか味わったことも確か。だが今年(2014年)新春早々、<1月4日・土>に「日経」夕刊で<ご尊名>を発見した。今後、毎週<土曜日>連載で<登場>という。嬉しくて舞い上がった。もっとも「日経」夕刊コラム、昨年7月から「金曜日」の連載だった<千住真理子>は「連載」終了、消えたのはショックだった。

でもいわば<代わり>に阿木耀子が現れた!<昔の恋人>に再会したような気分。さっそく「ウィキペディア」で<故事来歴>を調べた。でも仰天!ナヌッ!「1945年5月1日生まれ」…。<68歳>!――。「捜真女学校の小・中・高を卒業後の1964年、明治大学文学部史学地理学科に入学、軽音楽クラブに入部。そこで、後に夫となる同学年の宇崎竜童(法学部)と出会う。作詞家としてのキャリアスタートは1969年、グループサウンズのジュリーとバロンのデビュー曲『ブルー・ロンサム・ドリーム』(作曲は宇崎竜童)」――。

えっ、<捜真>!ナントいう<運命>!「捜真」最寄駅は東横線<反町>!火山の「通学・通勤」最寄駅も反町!だから昭和27年(1952)から昭和50年(1975)まで毎朝<邂逅>を重ねてきたのだ。何を隠そう!火山の実家は東横線<反町>から徒歩5分の至近距離…。

「一緒に行動することが多いマネージャーは、私のこの声を聞くと年柄年中、そう言っている人って珍しいですよ、と言う。それに反応して私は、そうなの?でも本当に楽しいんだもの、と答える。そんな私がこの3週間、あ〜、楽しい、を忘れていた。路上で転び顔打って3日後に、気付いた。そう言えば、言わないなと。2度目の転倒後はいくつかの病院を廻り、レントゲンやMRIを撮り、その度に溜まるストレス――。

結果を聞く時の不安と緊張。そして、天気の良い日に散歩に出られない無念さと、好きな縫い物を集中できない苛立ちが、それに拍車をかける。しかし、ご安心あれ。あ〜、楽しい、が戻ってきた。骨折した足はまだ痛み、頬のアザも残ってはいるが、気分は上々。どうして復活したかは、自分でも理解不能だ。それこそ生理的な感じで、自然に口を突いて出てくる」――。これが<憧れのマドンナ>の文章。そしてその<転倒>話…。

「何たることか。また転倒した。私にとっては2週続きの魔の月曜日だ。今回は我が家の庭先である。植木に水を撒こうとして、僅かな段差を踏み損なった。ガクンと膝が折れて、そのまま起き上がれなかった」(6月14日)。タイトルは「魔の月曜日」…。では先週――。

「アッ、やったと思った直後、何とも言えない惨めな気持ちになった。通りすがりの人が『大丈夫ですか?』と声をかけてくるが、返事もできない。大袈裟な言い方だが、突如、地獄に突き落とされた感じ。何とも自分の姿が無惨に思える」――。「転倒」がタイトル。

「<憧れ>のマドンナ」――。火山の中の<阿木耀子>は若くてピチピチ。<転倒>などとは無縁。だが<2週連続>とは恐れ入る。まさに「何たることか。また転倒した」――。「その日は仕事があり、医者に行く暇がなかった。翌日、レントゲンを撮ると左足の甲が骨折していた。骨密度には自信があったのに、あ〜あ、残念」と続く。えっ、「骨密度に自信?」…。ホンマかいな。でも阿木耀子、若いどころか意外と<年寄り?>――。

阿木耀子が<68歳>と分かった時、火山、唖然!「信じられない」――。だが「文は人なり」。コラムを読むと嫌でも彼女の<加齢>を意識せざるを得ない――。「前回は心配してくれた友人が、杖をついている私を見て、笑いを堪えていた。唇にグッと力を入れ、笑うまいとしているのが見て取れた。当然だろう。当人の私でさえも、医者の診断を聞いた瞬間、吹き出しそうになったのだから」――。<杖>を意識しているが、必ずしも<違和感>を表現していない。むしろ<ありのまま>の自分を、受容しようとしている。可愛い。

そう!そういう<微妙>なお年頃――。「半年、楽しくエッセイを書かせていただきました。今回はアップデイトな話題をと思い、同時進行的な感じを試みました。拙文にお付き合い下さり、ありがとうございます。失礼ながら、あ〜、楽しかった!」と、阿木耀子は結ぶ。

先週(6月21日)のタイトルは「仲良し時間」!ピンと来た。彼女、<ラス前>を意識したのだ…。――「仲良し時間は死の間際に訪れる。その人の人生や周囲の人と和解をするための時間のことらしい。蝋燭(ろうそく)が燃え尽きる寸前、一瞬炎を高くするように、死に行く人が突然、生き生きとすることがあるという。元気そうに喋り、振る舞う。その時、その人はやり残したこと、言いそびれていたことを、周囲に伝える。大事なのは、その人の話に耳を傾け、ただそれを受け止めることだという」――。いかにも「ラス前」!

阿木耀子、やはり<文筆>の人だ。素晴らしい。「文は人なり」!火山、惚れ直した。
(平成26年6月28日)

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