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「このほど改訂された角川文庫の俳句歳時記(春)を手に取った。使い古した十数年前の版と比べると季語の入れ替えがいくつかある。現代人の生活実感に沿うよう編者が知恵を絞った。例えば芭蕉門下の宝井其角(きかく)を偲ぶ『其角忌』が消えて『荷風忌』が載っている。▼今日30日は永井荷風の命日だ。1959年に没した。荷風には『冬の蠅』(はえ)と題した随筆がある。其角の『憎まれてながらふる人冬の蠅』というユーモアに満ちた句から<想>を得た、と自ら明かしている」と「日経」コラム<春秋>(4月30日)――。
「其角の作品集を座右の書にあげ、菩提寺に墓参するほど傾倒していたというから、泉下の荷風も胸中複雑かもしれない。▼歳時記に誘われ、荷風の墓に参った。『荷風忌の午後へ踏切渡りけり』(宮崎夕美)。この句のとおり、のどかな風情の都電荒川線・雑司ケ谷駅の線路を越えるとすぐ『享年七十九』と刻まれた墓碑がある。作家のファンであろうか。日本酒が供えてあった。夏目漱石も眠る美しい霊園は今、したたるような新緑である」(春秋)――。
「憎まれて ながらふる人 冬の蠅」(其角)――。火山、久しぶりに<句作>を連想、中学2年、そして社会人1年生…。<文芸部>に所属していた頃の<初心>を思い出した。「外人みたいな青い目の美少女」…。夏目漱石の「坊ちゃん」「吾輩は猫である」を文庫本で借りて読んだのが中学2年。「オードリー・ヘップバーン」そっくりの「津軽娘」と知り合ったのが社会人1年生。でもどちらも<恋愛>に発展したとは言えない。まさに火山、<初心>(うぶ)だった――。でも後者とは2年半後、デートを始め、更に2年後、ゴールイン!
♪〜この星に 妻と出会いて 半世紀(火山)――♪〜雨に咲く 紫陽花二つ 我が伏せ屋(火山)――。♪〜五月雨や 鳩の迷走、いま流せ(火山)――。♪〜夕立や テネシー・ワルツを 聴かせてよ(火山)――。♪〜妻老いぬ 小さき庭に 蝶の夢(火山)――。
「▼荷風最期の地、千葉県市川市へ足を伸ばす。京成八幡駅前に『大黒家』の看板がある。死の10日ほど前の日記に『大黒家昼飯』とある。常連の料理屋。が、2階が改修され進学塾になっていた。句想が湧きそうだ。故人に倣い浅草で<一献>傾ける。なんて充実した一日だろう。連休に予定がない暇人の負け惜しみではなく」と「日経」コラム<春秋>――。
♪〜冬の旅 春待つ思ひ 秘めながら(火山)――。♪〜梅が香や 大雄山荘 夢の跡(火山)――。♪〜春の立つ 腹が立つのも この日まで(火山)――。♪〜行く春や 西行法師の 夢を見る(火山)――。♪〜孫去りて 妻と侘びしく 菊を観る(火山)――。
♪〜名月に 楽の音ほのか 窓の影(火山)――。♪〜明日香路に 万葉人と 秋を詠む(火山)――。♪〜もみじ散る 旅路の果ての 高山寺(火山)――。♪〜空蝉も 張り切るや今 神楽月(火山)――。♪〜晩秋の ラジオほのかに ト短調(火山)――。
「(平成19年)1月13日(土)朝8時の<NHK俳句>。兼題は<熱燗>、選者は<矢島渚男>…。何気なく見たが、もちろん知らない名の俳人。年賀状に『中学の仲間と始めた俳句も3年目を迎えました』などと火山、もっともらしく書いた。でも平素は俳句に関心がなく自称<月15分の詩人>。だから知っている俳人は金子兜太ぐらい。自慢じゃないが後は知らない。だが<熱燗>の解説、中島渚男さん、なかなか素晴らしい。酒飲みの火山、思わず惹き込まれた』」…。「俳句と火山」(平成19年1月15日投稿)と題するエッセー――。
「『なみなみの 熱燗に口 寄せていく――。本来零れても仕方がない量のお酒が表面張力のお蔭でなみなみ…。小さなお猪口に溢れんばかり。その上<熱燗>です。思わず口を寄せて飲みに行く。情景が目に浮かびますねえ』と寸評。俳人、いかにも好きそう。解説が巧み。
<熱燗>――。ゲストの高橋克弘に言わせると、日常のありふれた一齣。だから<人事句>が多くなる。<花鳥風月>ではないという意味だろう。だが『その日常にも<詩>が宿っている』とコメントした。若いのに、なかなか言う。たとえ<月15分の詩人>でも火山も俳句を続けよう。ただ火山は<熱燗>という優雅な飲み方はできない。<立ち飲み>だの<一気飲み>だの、まさに<下品>――。現役時代、いろいろな方々からアドバイスを頂戴した。
テレビで宮中の<歌会始>が始まった。天皇、皇后両陛下はじめ皇族がご列席、正殿<松の間>…。朗々たる<詠唱>がのどかに響き渡る。<入選者>10人が全国から招待され、その歌が披露される。『大阪府、吉田<の>敬太…』と名前が呼ばれると、うら若い少年が立ち上がった。火山、仰天。なんと16歳、高校1年。夏休みの宿題で詠んだ歌が<入選>。
帰省して 兄とボールを 蹴りに行く 土手一面に 月見草咲く(大阪府・吉田敬太)――。『ずいぶん素直な歌ね。こんなんでいいのなら私でも詠めそうだわ…』と家内。そうだなあ。二人で始めましょうか。でも吉田敬太が『吉田<の>敬太』とは凄い。火山が入選、招待されていたら『風林亭<の>火山』…。火山にも俳句はある。横浜みなとみらいの居酒屋で<句会>。火山は名句を詠んでいるはずが、入選したためしがない。火山のせいではない。選ぶ人間の問題だ。<憎まれ口>を叩くから火山、人望がない。選ばれない理由らしい――。
NHK俳句で密かに勉強を始めた。今回の<熱燗>!選者の矢島渚男が選んだ3句――。▼<3席>熱燗や 天下国家の 懐かしき。▼<2席>熱燗の 熱さうに来て 置かれけり。▼<1席>譲られぬ 話となりぬ 燗熱し…。この句会(平成19年1月)からひと昔――。火山、半寿(満81歳)となった…。♪〜行く春や 西行法師の 夢を見る(火山)――。
(平成30年4月30日)
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