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「2019年10月に予定する消費税増税に向け、政府がまとめる対策の<原案>が分かった。住宅や自動車の購入者に減税を実施、増税後の買い控えを防ぐ。商品価格が急激に上がらないようにする対策も打ち出し、増税ショックを軽減する。経済に万全の対策を用意することで、消費税率10%に引き上げやすい環境を整える。政府は内閣官房に省庁横断の作業部会を設置、増税後の反動減対策の検討に入った。原案を土台に議論を重ね6月頃にまとめる経済財政運営の基本方針(骨太の方針)に方向性を盛り込む」と「日経」(5月14日)――。
「制度設計の詳細は、年末までに与党税制調査会などで詰める。政府が増税に向け本格的な対策に乗り出すのは、安倍晋三首相が2度にわたって増税を延期した経緯があるためだ。首相は経済成長と財政再建の『二兎を追う』姿勢で、増税後の経済の低迷を極力避けたい考え。消費増税の増収分5兆円強のうち、軽減税率の導入や教育無償化に振り向ける計2兆円超を差し引いた2兆〜3兆円を対策費に計上する構想が浮上している。対策の柱は国内総生産(GDP)の<6割>を占める<個人消費>の喚起だ」(日経)…。消費刺激、火山も賛成。
「1月は野も丘も木々も静まるから、<しいん>、2月は氷の割れる音なのだろうか、<ぴしり>、3月は雪解け水の<たふたふ>、4月は花びらやチョウが目に浮かぶ<ひらひら>。詩人、那珂(なか)太郎さんの『音の歳時記』。それぞれの月によく似合う『音』を教えてくれる。▼5月のオノマトペ(擬音語)は<さわさわ>であるとその詩人は言っている。「新緑の木立にさわさわと風がわたり/青麦の穂波もさわさわと鳴る(略)/さつきなかばはなほさわさわと清(す)む』」と「東京」コラム<筆洗>(5月14日)…。
▼<さわさわ>の5月。音に『濁点』を冷酷に打ちつけ、心落ち着かぬ<ざわざわ>の5月へと変えられてしまった。新潟市西区のJR越後線の線路で近くに住む小学2年生の大桃珠生さん(7)の遺体が見つかった殺人、死体遺棄事件。▼事件当日の7日から一週間が過ぎた。カレンダーを見る。その日はこどもの日から2日後。そして昨日の母の日へと続く。
▼何もなければ、1年で最もすごしやすく、家族の笑い声が似合う一週間かもしれぬ。その1週間を、大切な子どもを突然に奪われた家族がどんな思いで過ごしていたか。想像するだけで胸が痛い。▼その女の子には5月の<さわさわ>が2度と巡ってこない。6月の<しとしと>も7月の<ぎよぎよ>も8月の<かなかな>も9月の<りりりり>も、もう聞くことはない。やりきれぬ」(筆洗)…。そう、自然には豊かな<生命>に溢れている――。
そこで再び、人間の営み…。「中でも価格の高い<住宅>や<自動車>といった耐久消費財は、増税前の駆け込み需要や増税後の買い控えから経済の需要変動が大きくなるため、これを<平準化>する必要があると判断、減税を検討する。消費増税に対応するためのスタンプと値札シール。住宅では現在、購入資金の借入残高に応じて税負担が10年間で最大500万円軽くなる住宅ローン減税を拡充する考え。19年10月の消費増税後に減税額を一時的に引き上げる案や、21年12月末までの期間を延長する案などが浮上する」(日経)――。
「現行法では分譲の戸建てやマンションを購入する場合、19年10月1日以降の引き渡しになると原則10%の税率が適用される。自動車を巡っては現在、消費者が車を買う際、購入価格の3%(普通車)を納める自動車取得税がある。政府は消費税増税に合わせて取得税を廃止、車の燃費に応じて税率が0〜3%に変わる新税を導入する予定。購入者の負担を更に減らすため、この新税を再設計する案がある」(日経)…。火山の父は昭和初期に運転免許を取得、プロのドライバーとなった。だが今春、81歳の火山、免許もクルマも、ない。
「もう一つの柱は企業への対策だ。増税後に企業が一斉に商品価格を引き上げるのではなく、増税前からなだらかに反映するようにする。まず、増税後の『消費税還元セール』を禁じた転嫁対策特別措置法を改正する。14年4月の前回の消費税増税の際は還元セールが禁じられた。そのために企業が4月に一斉に価格転嫁し、商品価格が大きく跳ね上がった。厳格な消費税の価格転嫁を監視する『転嫁Gメン』と呼ばれる専門調査官の運用も見直す。
小売業者には税込みの『総額表示』を推奨する。消費税の存在を消費者が意識しにくい上、増税前から値上げしやすいとみている。欧州では価格の引き上げ時期にバラツキがあり、駆け込み需要や消費の反動減は小さいとされる。一方、外税方式も認める日本では価格への転嫁が急なため、経済へのショックは大きくなりがちだった」(日経)…。フザケタ話――。
「▽…モノやサービスを取引する際にかかる間接税。欧州では付加価値税と呼ばれる。負担構造が特定の層に偏らず、薄く広く負担するため、経済活動には中立的な税制とされる。2018年度の一般会計予算で消費税収は約17.5兆円で、税収の3割を占める。▽…一般消費税の導入を掲げた大平正芳首相は79年の衆院選のさなかに導入を断念したが選挙戦は大敗した。86年の衆参同日選で『大型間接税は導入しない』と言った中曽根康弘首相は選挙後、売上税導入法案を提出したが、公約違反と誹りを受け、同法案は廃案となった」…。当然!
「89年4月に竹下登首相が初めて消費税を導入した。97年4月に5%に税率を引き上げた橋本龍太郎首相は、金融危機も重なり、増税後1年余りで退陣。▽…民主党の野田政権では12年6月に民主党と自民党、公明党の3党が消費増税と社会保障の一体改革で合意したものの、その後の衆院選で民主党は大敗。政権に返り咲いた自民党は安倍晋三首相が14年4月に税率を8%に引き上げた。その後、消費税率10%への増税を2度延期した」(日経)…。「大敗」「延期」が何を<意味>するのか。「日経」は、真摯、真剣に再検討すべきだ――。
(平成30年5月28日)
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