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「『映画や観劇の余韻が残る人も店を訪れる。その時どんな飲み物を出せるか。やってみたい』。こんな思いがバーテンダー岸久(52)の背中を押した。31歳で世界最高峰のカクテルコンクールで優勝。バーテンダーで初めて現代の名工に選ばれた岸は今、東京・銀座に近い商業施設、東京ミッドタウン日比谷でシェイカーを振る。大型連休は入場制限をするほどの人出で賑わった(東京・千代田の東京ミッドタウン日比谷)」と「日経」(5月29日)。
「『芸術文化の街の再興』を掲げ再開発に取り組んだ三井不動産。口説き落とすなら『トップから攻めよう』。開業まで2年、テナント交渉を担う商業施設営業1部の村田麻未(38)は新しい街の顔として岸に狙いを定めた。経験を売るコト消費でヒトを呼ぶ戦略はあたり、3月下旬の開業から2カ月を待たず来館者は400万人を超えた。今、東京は再開発ラッシュだ。都市再生特区で誕生したビルの延べ床面積はこの10年で約400万平方メートルと東京ディズニーリゾート4個分。これから10年で更に2倍の規模の開発が進む。
中でも目立つのが都心東側の『イーストサイド』だ。東京駅から人の動きが広がり、臨海部に次々建つタワーマンションの住民の需要ものみ込む都心再開発。実は00年代半ば以降の都市再生事業の果実といえる。当時の小泉純一郎政権がビルの容積率の緩和をテコに再開発を促す都市再生特別地区を創設。街づくりの計画が次々沸き上がった。13年には手続きを早める国家戦略特区も誕生。ミッドタウン日比谷はその第1弾だ」(日経)…。
行く春や 西行法師の 夢を見る(火山)…。「古希」を迎えた火山の心境。火山の余命も先が見えた。西行のように桜満開のシーズン、満月の夜に世を去りたい。<願はくば 花の下にて 春死なむ あの如月の 望月の頃>(西行)――。西行が<入寂>したのは建久元年(1190年)旧暦2月16日。新暦で3月30日。なんと火山の誕生日。数年前、NHKの放送で見た。西行の享年は73。同じ運命なら、火山が<桜>を眺められるのは、あと4回。
そんなある日、「東京ミッドタウン」のグランド・オープンが話題になった。 新しい価値を紡ぎ出す。都市機能のコラボレーション。働く、住まう、遊ぶ、憩う…。全てが一体となった複合都市。オフィス、ホテル、公園、美術館など、それぞれ高い<機能>を備えています。互いに受け入れあい、刺激しあい、結びつき、新しい「何か」を生みだしていく。新らしもの好きの火山、飛びついた。これだ!ついでに皇居の千鳥が渕で<桜>も見よう!お堀に映える桜は<絶景>。グランド・オープンがナント<3月30日>!火山の誕生日…。
ここまで偶然が重なれば、家内を説得できる。その昔「恵比寿ガーデンプレイス」がオープンした時も火山夫婦は観に行った。「六本木ヒルズ」も「表参道ヒルズ」も…。昨年7月、「日本橋三井タワー」がオープンした時は最上階のマンダリン・オリエンタル・ホテルのレストランで食事をした…。4月5日の結婚記念日は快晴。<千鳥が渕>と<東京ミッドタウン>見物が実現した。地下鉄の「半蔵門」で下車。お堀端を歩き、千鳥が渕の桜を見た。
「再生特区ではJR大崎駅にも大型オフィスビルが開業。夏には高層マンションも完成する。かつては木造住宅がひしめき『火事でも消防車の放水ホースが届かなかった』。町工場を経営する再開発組合理事長の小林定美(83)は調整に奔走。20年かかるところを5年で合意にこぎ着けた。都内で広がる再開発。地図を広げてみるとJR山手線を中心に『東高西低』の姿が浮かび上がる。例えば再生特区プロジェクト。渋谷・新宿・池袋といった「ウエストサイド』では6つだが、品川周辺も含めたイーストサイドは30を超える」(日経)…。
「東京は関東大震災後、西に向かい開発が進んだ。イーストサイドは90年代に企業の流出が目立った時もあったが、更新の波と開発資金がちょうど押し寄せている。日本大学特任教授の岸井隆幸(65)は『東京は<式年遷宮>のように更新する街だ。いまは東京駅周辺など東側の開発が実を結んでいる』と指摘する」(日経)…。
「『東京のへそ』は杉並区にある。かつて私鉄の沿線開発などで西に向かった人口の重心は、15年〜25年の10年で約380メートル東へずれる見通しだ。23区の西側で渋谷区や世田谷区がある『城西』は高級住宅街も多い人気のエリアだが、へそはじわりじわりと東へ傾く。
「『北千住は下北沢になった。もうシニアばかりではない。こんなにも若者があふれている』。
足立区の職員、工藤信(58)は街を歩きながら振り返る。つくばエクスプレスが開通したのは05年。前年まで北千住駅前の再開発を担当した。江戸時代、日光街道の宿場町だった街を大学誘致が変えた。路地にはお洒落なカフェやネイルサロン。アートな施設も顔を覗かせる。今や1万人余が通う学生街だ」(日経)…。
「『駅前の廃校跡地を生かせないか』。東京芸術大学の副学長、宮田亮平(現文化庁長官)から新キャンパスの相談をうけたのは04年。芸大を呼び水に東京未来大学、帝京科学大学が相次ぎ進出。12年にはマンションの建設計画を変更、東京電機大学を呼び込んだ。
この10年で乗車人員が増えた駅をみると、東京や品川などイーストサイドが目立つ。新宿や池袋は横ばい。渋谷は14%減った。ただ渋谷では27年までに東急グループによる駅上超高層など6プロジェクトが完成。池袋では東武鉄道が再開発を計画し、新しい新宿駅の整備構想もある。東京五輪後を睨み、西の逆襲も始まろうとしている。大型再開発の他にも、首都圏でつながり始めた環状道路や林立するタワーマンションもヒトやモノの流れを変える。東京五輪まで2年余り。大変身する『TOKYO』を追った」(日経)――。
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