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恋しいマイクが浮かぬ顔で立ち上がった。外資系飲料メーカーのオフィス。美咲は24歳のお年頃。英語が苦手というのにアメリカ人が米国本社からやってきた。上司のリンダはケイヒサクゲンが口癖。知ってる日本語はたった一つ。でも美咲はマイクを追いかけて屋上へ急ぐ。
じつは美咲にはライバルがいる。帰国子女のエリ。英語ペラペラ。仕事もできる。恋でも仕事でも手強い。だからマイクのことで頭が一杯。
天使見習い中のアンジェラだけが美咲の味方。<I didin’t mean to pressure on you. I just wanted to remind you of the deadline.>(締め切りのこと忘れてるんじゃないかと、気になっただけよ)とか結構、気を使ってくれる。他の人間にはアンジェラが見えない。だからピンチになると出てきて助けてくれる。
今朝もパソコンが壊れた。<The cursor doesn’t move.>(カーソルが動いてくれない)とパニクった美咲に「再起動させなさい」と助言。美咲は<I’ll restart the system.>(再起動してみる)とやる気にさせてくれた。
その時だ。恋しいマイクが見にきてくれた。<May I help you?>(どうしたの)とは言わなかったが、隣に腰掛け、黙って消えたデータを探してくれた。だがライバルのエリの目が鋭く光った。
おやつの時間。英語に弱い美咲は雑用係。久保田部長がプレゼントしてくれたチョコを配ろうとした。<Does anyone want some sweets?>(甘い物、欲しい方?)―――。
だがエリが邪魔をした。<Let me pass them out.>(私が配る)…。その上「仲間にもっと気配りしろ、と私に言ったのはあなたでしょ」と言う。<You told me,I should be more friendly to my colleagues.>―――。
雑用だけを押し付けられた美咲。エリに「ちょっと手伝って…」と泣きついたのは事実だ。
ちゃっかりしたエリ。チョコを届けに行ったのはマイクだった。「これじゃあ、踏んだり蹴ったりじゃない」―――。美咲は泣きたい。だからマイクが立ち上がったのを見て、すぐ後を追いかけた。
<Mike, is anything wrong?>(マイク、何か心配事でもあるの)―――。アンジェラが応援してくれていると思うと、美咲、勇気が出て英語も使えた。
<I miss my mother, I miss my family. This chocolate reminds me of my mother’s cake.>(お母さんのことを思い出した。会いたいなあ。家族がいないと寂しいよ。このチョコがお母さんことを思い出させたんだ…)。
<Here, I’ll show you.This is my mom.>(見て見て。これがお母さんなんだ)。嬉しい。マイクが心を開いてくれたみたい。美咲、思い切って言ってみた。
<If you make many friends here, you won’t feel lonely.>(ここで大勢、お友達をつくったら寂しくなんかならないと思うの…)。<あー、I think…。If you don’t mind,we can become friends.>(もしよかったら、私たち2人、お友達になれると思うんだけど…)。
凄い。美咲。でもドキドキだね。ああ、マイクは何て返事をするのだろう。
<We’re already friends.aren’t we?>―――ナニ、コレ!! これを何て訳すの。いかに火山でもこれが良い返事とは思えない。可哀想な美咲。火山に代わってどなたか訳してください。
その時です。またあのエリが現われた。上司のリンダの<御用>という。邪魔しに来たんじゃないの。だって今、美咲、「もうボクたちお友達だよ。違うかい」って言われたばかり。
ウーン、そういうことじゃないんだけどなあ。ね。<友達以上、恋人未満>でもなくって、ああ、焦れったい。
―――<翻訳>は例によって火山の独断。テキストの訳とは一致していません。わざと変えました。でも誤訳はないはず。
ところで、先日、京浜急行の車内にいた可愛い女の子2人が凄い会話を交わしていた。<カレ>の話。一人が言った。「<結婚>したいくらい<好き>なんだ…」―――ナヌ。結婚って<好き>の<一里塚>なの。ただ<好き>の一種なの。げっ、この火山の疑問、通じますか。これでも日本語、日本人なのですが―――。
新連載<英会話「恋のバトルは燃え上がる」>シリーズ。NHKの「1日まるごと英語で話そう」です。本日、もう一つ出ています。併せてご覧ください。なお毎日、投稿予定です。
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