火山の独り言

時ならめ 風に挑みて 鯉のぼり

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台風の中、芸大の奏楽堂へ行ってきた。帰りはウソのような穏やかな夜。でも一時はご自慢の奏楽堂が浸水、トイレも使用禁止になった。チケットは「完売」というのに客席は空席が目立つ。6部の入り。台風のせいだ。でも素晴らしく楽しい。さすがモーツアルト。こういうオペラは人生を幸せにしてくれる。

3週間前にも「みなとみらい」でウィーン近郊のバーデン市立劇場チームの公演で「女は皆、こうしたもの」を観たばかり。ストーリが奇抜・痛快。

――親友の男二人が、美しい姉妹に恋をする。彼女ら二人の<貞節>を讃美していると、人生の機微に通じた老齢の哲学者が笑う。怒った男二人。「我々の恋人に限っては違う」と息巻く。哲学者が言った。では試してご覧。異国の貴族に化けた二人、相手を代えて姉妹に言い寄る。最初は<貞節>に見えた。だが…。ここからが「女とは皆、こうしたもの」…だ。

このオペラ。火山、驚嘆した。モーツアルトは思っていた以上にロマンチック。恋の機微を見事に描く。音楽も完璧だ。凄い。

この日の6チャン「時事放談」。アメリカ大統領選挙が話題だった。宮沢元総理と国連で活躍した緒方貞子さんが出演。二人とも民主党の大統領候補ケリーをよく知っていた。二人ともケリーを買っていた。だが結果は分らないと宮沢。不幸にもこの予測は当たった。

ギリシャやローマの<市民社会>で育った<民主主義>。素晴らしい文明・文化の遺産を現代に残してくれた。ギリシャ市民自身、自分たちの精神の若々しさを自覚していたという。女子美の公開講座で聞いた。素晴らしい。

45年ぶりに会ったゼミのマドンナ。テキサス在住。大統領選のディベートを聞いているかと火山に質問。火山が読んだボブ・ウッドワード「攻撃計画」では見方が甘いとも指摘。女性が男社会の腐った政治を変革してくれたらと思うことが多い昨今、「女は皆、こうしたもの」と笑っていたくない。

「オーソレミオ」。ソーレとは「太陽」。フランス語のソレーユと語源は同じ。ミオとは私。英語のマイ、ドイツ語のマインと語源が同じ。このオーソレミオの歌い出しに「ケベラコーサ」とあるが、ケは「何と」、ベラは「美しい」、コーサは「このように」。「コシファントゥオッテ」の<コシ>とは<コーサ>。トゥオッテは「皆」、たぶんトータル(オール)と関係がある。ファンはフランス語のファム(女性)。手元のイタリア語の辞書には2冊とも収録されていない。ナポリ地方の方言か…。このオペラの舞台はナポリだ。

ナポリ民謡のイタリア語も方言が多いのか、良く分らない言葉が多い。学生時代、大好きなジュゼッペ・ディ・ステファーノのカタリカタリ(不実の心)=コーレ・ウングラートのコーレは「心」。ウンとは英語にもある否定表現、アン・ウン・インなどと一緒だろう。信頼できないのがウングラート。(ブッシュはウングラート)。ヨーロッパは昔からお互いの交流が多い。女子美の公開講座。キャンパスの本屋で1割引の特権を利用。「英国史」を買った。凄く面白い。外語短大で聞いている「女王陛下の大英帝国」が一段と興味深くなった。

ここでも民主主義の歴史を学んでいる。火山、この時、アメリカの民主主義が健全かどうか必死に見守っていた。今も必死。人類の運命を握っているから。ブッシュさん。テキサスの牧場でバーボンをがぶ飲みしている場合じゃない。離婚などしないでください。ファーストレディは賢夫人の誉れが高い。「女は皆、こうしたもの」でしょうか。

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親友がブログに「月末には<都心>に出かけることに決めた」と投稿した。素晴らしい。元サラリーマンとして共感、大いに郷愁を覚える。ガード下の赤ちょうちんなんて羨ましい。でも火山には<屋台のおでん>という贅沢な体験はない。<博多>出張の時、名物の<屋台>を数回楽しんだ程度。

現役時代に通ったのは<立ち飲み屋>。<のれん>をくぐると<お帰りなさい>という嬌声が響く。美人三姉妹がやっている。中央にぐるりとカウンターがあり、真ん中に陣取る女性が酔っ払いのお相手をしてくれる。<ほろ酔い>で入り、<泥酔>寸前まで飲んだり、食べたりが決まりだった。

回りは全部安サラリーマン。美人三姉妹を適当にからかい、勝手な話で気炎を上げている。気楽だ。時々<俺はエリートだ>という顔をしたり、話題にする手合いがいるが、それこそ<おサト>が知れている。2000円も飲もうとしたらグデングデン。こんな<安い>店にエリートが来るわけがない。――火山はいつも一人。黙って飲むだけ。しゃべったことはなかった。でも周囲のオシャベリを聞いたり、酔態をみていると<天国>だった。

定年になり、ぴったり行かなくなった。当たり前。近くを通らないのだから。でも3年前、会社近くの高層ビルでフォーラムがあった。現役時代を思い出しながら参加した火山、帰路、酔った勢いで寄ってみることにした。――<これが最後>と思った。カウンターの彼女と初めて言葉を交わした。美人三姉妹と書いたが、実は全員が70代。シワシワのおばあちゃんばかり。でもカウンターの彼女、気風(きっぷ)がいい。<華>もあるし、人気者だ。

――定年から4年。覚えているはずがない。でも<常連だった>と打ち明け、彼女の仕事っぷりを褒めたら喜んだ。大いに談笑した。周囲が呆れた。でも大散財。懲りた。今の火山、<立ち飲み屋>に行く余裕もない。外語短大に通う<かんのん通り>に一軒見つけた。でも入ったことはない。今後も入らない。定年になってもガード下の<屋台>に行かれる親友がうらやましい。

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