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「政府は(2月)16日、4月8日に任期満了となる日銀<黒田東彦>総裁を再任する国会同意人事案を提示した。<副総裁>に日銀の<雨宮正佳>理事と早大の<若田部昌澄>教授を充てる。この人事案は<アベノミクス>を支えてきた金融緩和政策の出口を封じたいとの安倍晋三首相のメッセージに他ならない。黒田氏再任は本命だったが、副総裁人事は、さらなる緩和を求める『リフレ派』起用にこだわった。」と「日経」(2月16日)――。
「『ミスター・ワカタベは<リフレ>派らしい』『著書で量的緩和を支持しているぞ』。副総裁に若田部氏が有力との日本経済新聞の一報が流れた16日未明、海外投資家のツイッターでこんな会話が飛び交った。強力な金融緩和を主張していると分かるや円の対ドル相場は瞬時に40銭ほど<下落>した。景気拡大へ次の策を打つためにも、まず市場に安心感を与える――。緩和継続を決意する首相にとって黒田氏再任は市場に強いメッセージを発する重要な手段だ。実際、この5年間のアベノミクスは黒田氏抜きには語れない」(日経)――。
「同氏の交代はアベノミクスの<失敗>を印象づける恐れがある。黒田氏再任が本命とされた逆説的な理由でもある。ただ首相にとって黒田氏再任は『消極的選択』でもあった。『黒田さんにも<財務省>の血が流れていると感じる時があるんだよね』。首相は時折、親しい議員から黒田氏について尋ねられると<不満>を漏らした。首相は2014年4月に消費税率を8%に引き上げた際に『経済対策を打てば<消費>はすぐに戻る』と説明した財務省への不信感が根強い」(日経)…。告白する。火山、経済学士として<失敗>認めたくない――。
「『手腕を信頼している』との言葉とは裏腹に、首相は黒田氏に財務省の影を感じていた。きっかけは15年2月の経済財政諮問会議。黒田氏は『20年度の基礎的財政収支の黒字化というのは非常に重要。もっと本腰を入れねばならないほど危険な状況だ』と主張した。この黒田氏への複雑な思いが日銀の副総裁人事と連動した。財務省へのけん制策として浮上したのが、首相と近い<リフレ>派の<本田悦朗>スイス大使の副総裁起用案だ」(日経)…。
「首相は17年12月、本田氏起用を支持する藤井聡内閣官房参与らと会った。藤井氏はデフレからの脱却速度を上げるため一時的な景気過熱を容認する『高圧経済』などの考え方を説き、本田氏起用を提言した。首相も『面白い考え方だね』などと応じた。財務省や日銀は警戒。『経済がうまく回っている時に本田氏を起用して混乱させる必要はない』。麻生太郎財務相も反対。伝統的に日銀人事の舞台回しを担ってきた財務省は今回も伊藤隆敏コロンビア大教授ら5人ほどの副総裁候補を伝えた。首相側は『財務省の推薦は受けない』と拒んだ。
本田氏も<財務省>出身だが、主計局や主税局という本流に距離がある。金融緩和に加え積極的な財政出動が持論。安倍政権下で2度の<消費増税>延期にも絡んだ。本田氏が日銀幹部になって19年10月の消費税率引き上げに正面から反対されるのは財務省が最も避けたい展開。結局、首相は本田氏の起用は見送った。先に再任が決まっていた黒田氏が本田氏を評価しておらず起用を拒んだとの見方もある。代わって白羽の矢が立ったのが本田氏と同じ<リフレ派>の若田部氏」(日経)…。火山、若田部氏起用の本田氏の動き、歓迎――。
「本田氏は『論争の若田部』と評し金融政策を活性化できる人物と首相側に伝達していた。
首相がリフレ派登用にこだわったのは首相の政権戦略と関係する。『19年10月に消費税を10%に上げると19〜20年に一気に景気が落ち込む』。首相は昨年12月末、自民党の参院幹部との会食で懸念を示した。19年には統一地方選と参院選がある。大規模な補正予算で景気を下支えする歳出拡大にカジを切る構想が浮上する。前提は低金利政策だ」(日経)――。
「黒田氏を再任しながら若田部氏を起用したのも、日銀を金融緩和の縮小といった出口戦略から遠ざけ、低金利を維持しようとの狙いが透ける。欧米の中央銀行には金融正常化の動きが目立つ。市場には日銀も金融緩和の縮小に動くのではないかとの観測もあった。米国発の金融市場の混乱が続き、足元ではマイナス金利政策による銀行経営の悪化など副作用も出ている。世界の中銀にインフレを克服した例はあっても、長期のデフレからうまく抜け出せた大国はない。デフレ脱却をめざす首相に前例となる『正解』はない」(日経)――。
「日銀新体制。異次元緩和の引き際が問題だ」と「読売」社説(3月6日)――。「新たな執行部の在任中には<デフレ>脱却が視野に入ってくる。副作用も出ている異次元緩和をどう軟着陸に導くか。より臨機応変な金融政策の運営姿勢が求められる。政府の日銀人事案に基づき、再任の<黒田東彦>総裁と新任の<若田部昌澄>早大教授、<雨宮正佳>日銀理事の両副総裁候補が衆院議院運営委員会で所信を述べた。黒田氏は2%の物価上昇率目標の達成時期について『2019年度頃に達成する可能性が高いと確信している』と明言した。
その上で『(金融緩和の)出口をその頃、議論していることは間違いない』との認識を示した。黒田氏が異次元緩和の転換時期に言及したのは初めて。2期目の任期中に緩和縮小に向かうのは不可避だとの見方を示すことで、政策変更の市場への衝撃を和らげる狙いがあったのだろう。発言の直後、長期金利は急上昇、円高も大幅に進んだ。市場の<動揺>は大規模緩和を手じまいする難しさを示したと言える」(読売)…。火山も<理解>できる――。
「消費者物価伸び率は上昇傾向にあるものの<2%>目標に対して<0・9%>に留まる。若田部氏は『必要ならば追加緩和を提案することになる』と指摘した。若田部氏は金融緩和を重視する<リフレ>派として知られる。持論を改めて展開、緩和策の副作用には頓着しなかった」(読売)…。「個人投資家」でもある火山、<2%>目標、今も期待している――。
(平成30年3月19日)
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