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「昔とは全く違う労使関係。現状では裁量労働はうまくいかない。<空転>した国会。人手不足、生産性上昇率の低下という問題を抱える日本。『働き方改革』には大きな<期待>…。成果を挙げれば、労働者も企業も、そして日本経済にも大きな<メリット>が期待されます。だが裁量労働制を議論する国会が空転、日本が抱える様々な問題を<露呈>しました」――。
「これじゃ『働かせ方』<改悪>。政府が本当に議論すべき日本企業の課題とは」と「マネーボイス」(3月1日)――。「政府は『裁量労働制』の今国会での成立を<断念>、働き方改革関連法案から削除する方針を固めました。今回、裁量労働制を議論する国会が<空転>したことで日本が抱える様々な問題が露呈しています。問題が多いということは改善すれば良くなる余地も大きいということです(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)」――。
<斎藤満>…。1951年、東京生まれ。一橋大卒後、三和銀行に入行。資金為替部時代ニューヨーク赴任。シニアエコノミストとしてワシントンの動き、特に<FRB>の金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。<為替>や<金利>が動く裏で何が起こっているかを分析している。
「裁量労働制の取り入れ自体は、悪い話ではありません。米国でも在宅勤務などを取り入れる企業が増え、働き方の自由度を認め、より効率的で生産性の上がる働き方が検討されました。労働者側にも『ワーク・ライフ・バランス』を重視する考えが増え、それに対応できる職場が増えました。これは日本にも当てはまります。かつてのように『滅私奉公』『立身出世』ばかりではなくなりました」(マネーボイス)…。元<人事>マンの火山、刮目――。
<欧米化>する<企業>とそれを後押しする<政府>。企業の姿勢も欧米化、短期収益を追求、<株主>に答えようとして<日本的>経営を<放棄>…。即戦力の労働力を中途採用したり、パートなど非正規労働者を増やしたり、<固定費>の労働コストの<変動費>化を進めました。企業の労働者に対する評価も10年後・20年後を見据えたものでなく、1年・四半期ごとの『成果』を<数量化>して測るようになりました」(マネーボイス)…。
「専門職の成果をどう数値化するのか?それでも企業の論理で特定の職種を裁量労働制に押し込むと、ただの『残業代減らし』のそしりを受けます。『要は成果を挙げれば良く、そのための働き方は自由』という言葉には『毒』があります。裁量労働制に向いていると考えられる『専門職』では『成果』を測る基準が曖昧で、逆に客観的な数字で成果を図れる職種は製造ラインや営業などに限られます。一般に『専門職』と言われる職種では、顧客評価やノーベル賞などの外部の賞を取る人以外は、客観的評価が困難です」(マネーボイス)…。
「人事や企画部門の『専門職』の成果はどうやって測るのか。エコノミスト、アナリストも、レポートの数では評価できず、その内容は誰が評価するのか。証券など、顧客に売り込む側の業態のエコノミスト、アナリストは顧客の人気ランキングなどでの評価がありますが、運用会社・銀行などのエコノミスト、アナリストは客観評価がありません。
米国では在宅勤務を廃止する企業も。米国でも在宅勤務を見直し、廃止する企業が出ています。チームで仕事をする方が生産性が上がるとか、昇給昇格には人との接触が欠かせないとか、在宅勤務のメリットとともにデメリットも認識されるためです」(マネーボイス)…。
実は火山、1997年(平成9年)6月、7000人規模<中堅電機>の教育部長(理事)で定年を迎えたが、37年余の現役の大半を<人事>畑で過ごした。目標は「組織活性化」!「企業は<自己実現>の場。人生は一人一人が<主役>」がモットー。そんな価値観・習慣・風を職場に生み出したい。つまり<裁量>余地が大きい<働き方>推進!裁量が<付加価値>を生み、<生産性>を高める。<自己実現>と<主役>が<戦略>の決め手――。
「旧来の日本的経営と欧米型の成果主義とが混在する中での裁量労働制移行には困難が伴い、労使間の信頼関係が不可欠です。労働者に裁量労働の選択権を与えた上で働き方についても労働者に任せるよう、制度的に保証した方がよいでしょう。私もかつてエコノミストとして金融機関に勤めていましたが、オペラの上演があるので定時に退社しようとすると、当時の上司に『もうお帰りですか』と白い目で見られました。ある程度の地位にまで上がらないと、裁量労働の余地は多くありません」(マネーボイス)…。早い話が管理職は裁量労働。
「裁量労働制を進める場合、評価方法や条件を明確にした上で労働者に選択させるしかありません。専門職でなくともワーク・ライフ・バランスの面から出世よりも家庭事情に合った働き方を求める人もいるはず。彼らにも働き方の選択ができるようにしたら良い。裁量労働制を始めるには、まず企業と労働者との信頼関係が大事。労働者より株主や利益本意の会社では、裁量労働制はうまく機能しないと思います」(マネーボイス)…。だが安倍一強の真の狙いは「長時間に及ぶ<サービス>残業」の<隠れ蓑>捏造。つまり、正反対だ――。
「労働者の労働意欲を掻き立てる制度になれば、おのずと生産性が上がり、賃金、企業収益、成長のいずれも改善する『ウイン・ウイン・ウイン』が得られます。それにしても、データの基礎的なミスなど、省庁統合の悪い影響があちこちに見られます。統計データの集計・チェックもできない体制には問題があります」と「マネーボイス」は結ぶ…。「ウイン・ウイン・ウイン」こそ<火山>提唱のシナリオ。だが最も遠いのが、ミスだらけの財務省――。
(平成30年3月5日)
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