火山の独り言

時ならめ 風に挑みて 鯉のぼり

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さりにし夢
あのテネシー・ワルツ
なつかし愛の唄
面影しのんで今宵もうたう
うるわしテネシー・ワルツ

その昔、中学の音楽室に集うメンバー。この曲が密かに流行っていた。今も火山は<面影しのんで>…いる。でも今は絶えて歌ったことはない。でも7月23日(金)、地デジのハイビジョンにこの名曲が流れた。BS−TBS「うたの旅人」――。歌うのは江利チエミ。お互い、まだティーン・エイジャー。I was waltzing with my darlin’ To the Tennessee waltz…。ダーリンってなんだ?

♪まだあげ初めし前髪の 林檎のもとに見えしとき 前にさしたる花櫛の 花ある君と思ひけり…。藤村の「初恋」。だが当時は親友から贈られたこの詩の意味も分からなかった。火山の恋、傍目(はため)にもハラハラ、見ていられなかったのだろう。

あれから半世紀が過ぎた。大スターと結婚したはずの江利チエミも美空ひばりも離婚。幸せを全うしたとはいえない。江利チエミは45歳で淋しく死ぬ。雪村いづみだけが健在。「テネシー・ワルツ」はあの頃大ヒット。アメリカでも評判となり、招待され渡米、1ヶ月のアメリカ巡業から、チエミが帰国したら、雪村いづみという大スターが誕生していた。羽田に着いた途端、気にした江利チエミ。「雪村いづみってどんな人?」と真っ先に聞いた。だが意外!大スターのチエミを見てみたい。羽田空港に16歳の雪村いづみが、きていた。

引き合わされ、盛装したいづみを一目見たチエミが息を飲んだ。なんといづみの短いスカートの裾から黒いシュミーズが3センチほど見えていた。「シミチョロ」!大笑いしたチエミ。一気に後輩大スターを許す気になった。その場で二人は握手。これが後の「じゃんけん三人娘」誕生のキッカケになったという。大ゲンカのはずが逆転ホームラン――。このエピソード、今回の「うたの旅人」で、雪村いづみから明かされた。爆笑!人生、何が幸せになるか、分からない。

♪青春、初恋、師との再会  今日確かめる50年の歩み  一人一人が<主役>だった♪

「行く白雲から50年」――。中学卒業から<半世紀>――。倍増<3ケタ>出席を実現した、あの同期会から、また<6年>が過ぎた。上記は火山が創案したキャッチ・コピー。倍増の決め手の一つ。だから気分がよい。今宵、若き日の雪村いづみでも偲びましょうか。もっとも火山、今「断酒」中。いつになったら、飲めるのか。<指おり数え>ています。

さて「テネシー・ワルツ」――。もともとは歌詞がない。メロディーだけの曲。だからアメリカ、テネシー州の<州歌>にもなっているという。そしてまた、親友に恋人を紹介、その親友に恋人を奪われる。悲劇の主人公。江利チエミの歌では、男性になっているが、本来は女性が主人公。なぜチエミが男性に置き換えたのか。今も<謎>だそうです。

思い通りにならないのが人生。それもまた、楽しからずや…。火山には、今も確かめたい「過去」がいっぱいあります。お立会いは、いかがでしょうか。

先日、東大前の教会。「レストラン」と称する<昼食会>に初めて招待され、スピーチを求められました。その日は「洗礼を受けた<うら若き乙女>の記念お祝い会。もう一つ目的があって「英書輪読会」で使っているテキストの著者<元事務次官>で教会の長老、その新著の「出版お祝い会」――。だから、輪読会優等生の火山が、特別招待された。

ある奥様から事前に「短いスピーチをお願いするかも…」とメールを頂戴。大勢の中の一人。似たような話が続いても…、そう考えた火山、自己紹介をかね「敬虔なクリスチャンとの<初恋>が『英書輪読会』参加の動機」。昔のラブレターの一節を紹介。今も彼女には感謝、時おり会っている。つい先日も電話がきた――と、思わせぶりなスピーチをした。爆笑!盛大な拍手喝采――。だが火山、深く傷ついた。なぜか。スピーチはたった二人だけだった。しかももう一人は<外国人牧師>。英語のスピーチ。信仰の篤い話。一方、日本語の火山、<目立ち>過ぎ、カッコ良すぎ(?)――。

次週は「英書輪読会」。教会のドアを開けた途端、事務所にいた全員が火山を<凝視>した。一人の女性が叫んだ。「とっても楽しいお話、有難うございました。後で話題になりました。『あの方は<奥様>がいらっしゃらないのかしら』…」。瞬時に察した火山、即刻、応えた。「家内には『60歳のラブレター』を書き、預けてあります。家族だけの私の『一周忌』に、読み上げてほしい」…。途端に盛大な拍手が爆発。理解していただけたのだ――。ウーン。
(平成22年7月27日)

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「このほど改訂された角川文庫の俳句歳時記(春)を手に取った。使い古した十数年前の版と比べると季語の入れ替えがいくつかある。現代人の生活実感に沿うよう編者が知恵を絞った。例えば芭蕉門下の宝井其角(きかく)を偲ぶ『其角忌』が消えて『荷風忌』が載っている。▼今日30日は永井荷風の命日だ。1959年に没した。荷風には『冬の蠅』(はえ)と題した随筆がある。其角の『憎まれてながらふる人冬の蠅』というユーモアに満ちた句から<想>を得た、と自ら明かしている」と「日経」コラム<春秋>(4月30日)――。

「其角の作品集を座右の書にあげ、菩提寺に墓参するほど傾倒していたというから、泉下の荷風も胸中複雑かもしれない。▼歳時記に誘われ、荷風の墓に参った。『荷風忌の午後へ踏切渡りけり』(宮崎夕美)。この句のとおり、のどかな風情の都電荒川線・雑司ケ谷駅の線路を越えるとすぐ『享年七十九』と刻まれた墓碑がある。作家のファンであろうか。日本酒が供えてあった。夏目漱石も眠る美しい霊園は今、したたるような新緑である」(春秋)――。

「憎まれて ながらふる人 冬の蠅」(其角)――。火山、久しぶりに<句作>を連想、中学2年、そして社会人1年生…。<文芸部>に所属していた頃の<初心>を思い出した。「外人みたいな青い目の美少女」…。夏目漱石の「坊ちゃん」「吾輩は猫である」を文庫本で借りて読んだのが中学2年。「オードリー・ヘップバーン」そっくりの「津軽娘」と知り合ったのが社会人1年生。でもどちらも<恋愛>に発展したとは言えない。まさに火山、<初心>(うぶ)だった――。でも後者とは2年半後、デートを始め、更に2年後、ゴールイン!

♪〜この星に 妻と出会いて 半世紀(火山)――♪〜雨に咲く 紫陽花二つ 我が伏せ屋(火山)――。♪〜五月雨や 鳩の迷走、いま流せ(火山)――。♪〜夕立や テネシー・ワルツを 聴かせてよ(火山)――。♪〜妻老いぬ 小さき庭に 蝶の夢(火山)――。

「▼荷風最期の地、千葉県市川市へ足を伸ばす。京成八幡駅前に『大黒家』の看板がある。死の10日ほど前の日記に『大黒家昼飯』とある。常連の料理屋。が、2階が改修され進学塾になっていた。句想が湧きそうだ。故人に倣い浅草で<一献>傾ける。なんて充実した一日だろう。連休に予定がない暇人の負け惜しみではなく」と「日経」コラム<春秋>――。

♪〜冬の旅 春待つ思ひ 秘めながら(火山)――。♪〜梅が香や 大雄山荘 夢の跡(火山)――。♪〜春の立つ 腹が立つのも この日まで(火山)――。♪〜行く春や 西行法師の 夢を見る(火山)――。♪〜孫去りて 妻と侘びしく 菊を観る(火山)――。

♪〜名月に 楽の音ほのか 窓の影(火山)――。♪〜明日香路に 万葉人と 秋を詠む(火山)――。♪〜もみじ散る 旅路の果ての 高山寺(火山)――。♪〜空蝉も 張り切るや今 神楽月(火山)――。♪〜晩秋の ラジオほのかに ト短調(火山)――。

「(平成19年)1月13日(土)朝8時の<NHK俳句>。兼題は<熱燗>、選者は<矢島渚男>…。何気なく見たが、もちろん知らない名の俳人。年賀状に『中学の仲間と始めた俳句も3年目を迎えました』などと火山、もっともらしく書いた。でも平素は俳句に関心がなく自称<月15分の詩人>。だから知っている俳人は金子兜太ぐらい。自慢じゃないが後は知らない。だが<熱燗>の解説、中島渚男さん、なかなか素晴らしい。酒飲みの火山、思わず惹き込まれた』」…。「俳句と火山」(平成19年1月15日投稿)と題するエッセー――。

「『なみなみの 熱燗に口 寄せていく――。本来零れても仕方がない量のお酒が表面張力のお蔭でなみなみ…。小さなお猪口に溢れんばかり。その上<熱燗>です。思わず口を寄せて飲みに行く。情景が目に浮かびますねえ』と寸評。俳人、いかにも好きそう。解説が巧み。

<熱燗>――。ゲストの高橋克弘に言わせると、日常のありふれた一齣。だから<人事句>が多くなる。<花鳥風月>ではないという意味だろう。だが『その日常にも<詩>が宿っている』とコメントした。若いのに、なかなか言う。たとえ<月15分の詩人>でも火山も俳句を続けよう。ただ火山は<熱燗>という優雅な飲み方はできない。<立ち飲み>だの<一気飲み>だの、まさに<下品>――。現役時代、いろいろな方々からアドバイスを頂戴した。

テレビで宮中の<歌会始>が始まった。天皇、皇后両陛下はじめ皇族がご列席、正殿<松の間>…。朗々たる<詠唱>がのどかに響き渡る。<入選者>10人が全国から招待され、その歌が披露される。『大阪府、吉田<の>敬太…』と名前が呼ばれると、うら若い少年が立ち上がった。火山、仰天。なんと16歳、高校1年。夏休みの宿題で詠んだ歌が<入選>。

帰省して 兄とボールを 蹴りに行く 土手一面に 月見草咲く(大阪府・吉田敬太)――。『ずいぶん素直な歌ね。こんなんでいいのなら私でも詠めそうだわ…』と家内。そうだなあ。二人で始めましょうか。でも吉田敬太が『吉田<の>敬太』とは凄い。火山が入選、招待されていたら『風林亭<の>火山』…。火山にも俳句はある。横浜みなとみらいの居酒屋で<句会>。火山は名句を詠んでいるはずが、入選したためしがない。火山のせいではない。選ぶ人間の問題だ。<憎まれ口>を叩くから火山、人望がない。選ばれない理由らしい――。

NHK俳句で密かに勉強を始めた。今回の<熱燗>!選者の矢島渚男が選んだ3句――。▼<3席>熱燗や 天下国家の 懐かしき。▼<2席>熱燗の 熱さうに来て 置かれけり。▼<1席>譲られぬ 話となりぬ 燗熱し…。この句会(平成19年1月)からひと昔――。火山、半寿(満81歳)となった…。♪〜行く春や 西行法師の 夢を見る(火山)――。
(平成30年4月30日)

明日香と万葉ロマン

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奈良の明日香村にはずいぶん通った。関西への出張があると僅かな時間でも、あるいは週末の連休が利用できれば欣喜雀躍、とにかく何度も足を運んだ。それほど夢中だった。
 
飛鳥寺には蘇我入鹿の首塚と言われる五輪塔がある。行くたびに詣でた。遠く多武峯の段山神社から石舞台まで歩いて下ったこともある。飛鳥板葺宮伝承地、聖徳太子ゆかりの橘寺。甘樫丘は権勢を誇った蘇我一族が邸宅を連ねていた丘。

 ももづたふ 磐余(いわれ)の池に 鳴く鴨を 今日のみ見てや 雲隠れなむ

万葉集巻3「挽歌」にある大津皇子の辞世。持統女帝が我が子「草壁」可愛さに文武の才に優れ、人望もあった強力なライバルの大津皇子に「謀反」の罪を着せ、命を奪う。「今日のみ」「雲隠れ」という文字を読むたび、涙を禁じえない。

黒岩重吾の古代小説、皆、捨ててしまった。悔しい。でもいつの日か、「万葉」片手に、もう一度、明日香を心行くまで逍遥してみたい。見果てぬ夢です。

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<麗しの東欧紀行10日間>に行ってきた。家内と長女の3人。ツアー一行は25名に女性添乗員。ベルリン2泊、プラハ(チェコ)、ウィーン(オーストリア)、ブタペスト(ハンガリー)も各2泊、往復の機中泊も2泊で10日間。昨年8月20日(土)から29日(月)までの思い出です。

嬉しいことに<オーストリア航空>――スチュワーデスはもちろんドイツ語だ。搭乗前、添乗員が言った。「飛行機の中は気圧が地上とは異なります。くれぐれも飲み過ぎにご注意ください。飲み物のサービスもなかなか来ません。これは意地悪ではなく…」。火山、とっさに決意した。<最初から2杯もらおう>――。

Koennten Sie mir bitte noch ein Glas Rotwein geben?(もう一杯、赤ワインをいただくわけにいきませんか)――。何回も練習をした。何しろ1年がかりで勉強した。水平飛行に移って間もなく、ドリンクサービスが始まった。オーストリア女性が来た。よし…<Koennten Sie mir bitte noch ein Glas…>。彼女、あでやかに笑った。大きく頷き、もう一杯。なみなみ注いだグラスが来た。なお一言。「あなたのドイツ語、素晴らしい…」。褒められた…。

やがて食事が来た。またもや<一杯>おねだり…。次に追加ドリンクのサービスが来た。頼む人は滅多にいない。でも火山、頑張った。また<一杯>。合計<4杯>――大満足。

往路は大成功。問題は帰路だ。なんと全日空とオーストリア航空の<共同運航便>だ。日本人スチュワーデスがサービスに来た。ドイツ語を使えない。仕方なく<一杯>だけで我慢。だが次に食事を運んできたのはオーストリア女性。シメタ。火山<2杯>もらってしまった。<Koennten Sie…>――実はこれ<接続法第2=非現実話法>という大変丁寧な<言い方>だ。<もしお差支えなければ、お願いできませんか…>という意味。彼女も大いに笑った。

だが<4杯目>は日本人スチュワーデス。火山、目をつぶって言った。<Koennten Sie…>。彼女、黙って<もう一杯>くれた。同行していた長女が言った。<酔っ払って、日本人かどうかも分からないなんて…>。家内が言った。<そうじゃないの。恥ずかしくって日本語じゃ言えないのよ…>――。ご明察。さすが<長年連れ添った女房だ>…。火山、恥ずかしかった。でもしっかり飲んだ。大満足。同行のツアー仲間で断然<目立って>しまった。

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新宿から山手線に乗った。昼時の車内。意外と空いている。<優先席>(3人掛け)に座った火山、空腹を覚え、オニギリが食べたくなった。田端を過ぎ、隣が空いた。車内はガラガラ。火山、意を決した。家内の心尽くし。よし、パクリ。ウマイ!!そしてとっておき、ペットボトルに入れた<日本酒>もグビリ。ウーン、こたえられない。

「いいですね」――。鈴を振るような綺麗な声。思わず振り向いた。上品な奥様、銀髪とはいえ、素敵な女性だ。服装も見事に決まっている。火山と同じ座席。一つ空いた連結側に座っていた。「えっ…」。火山、息を飲んだ。

「手作りのお握り。おいしそうですね…」――。何て返事をしよう。迷っているうちに電車は「西日暮里」に着いた。くだんの奥様、スラリと立ち上がった。「お先に失礼します…」。火山、途端に気を取り直した。ただの<田舎おやじ>と思われては困る――。「あの、これからコンサート。上野の東京文化会館へ参ります」――。<参ります>!<謙譲語>だって使えるんです。それにコンサートです!!「あら、そうだったのですか。お気をつけて…」――。何か、爽やかな風が吹き抜けた。

「ピアノ協奏曲の午後」――。「題名のない音楽会」にレギュラー出演の日本フィル。指揮は平井哲三郎。江藤俊哉、園田高弘と芸大に学んだ同期生。音楽歴60年という。リスト、グリーグ、プーランク、ベートーヴェンの4つのコンチェルト。素敵な午後でした。

+++ここまで書いて気が変わった。やっぱりあの奥様、火山に注意したのかもしれない。<人前です>――。なんとまあ、古風で奥床しいのでしょう。ホレボレ!

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