火山の独り言

時ならめ 風に挑みて 鯉のぼり

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「働き方改革の法案審議が本格化しています。日本人の働き方に問題は多々ありますが、そもそも<政府>が画一的に<ルール>を決めるべきなのでしょうか。花粉やウイルス対策用のマスクなのに1枚650円…。びっくりするほどの高価格ですが、3年前の発売以来、花粉の飛散時期を中心に注文が引きも切らない。その秘密は抗菌や消臭に有効なナノ銀イオンが独自開発の染色技術でたっぷりと生地に定着させてあるから。繰り返し洗濯しても効果は続き、長持ちするのでお値打ちでもあるのです」と「東京」社説(5月13日)――。

「繊維産業が盛んな福井県の『ウエマツ』という染色メーカーが手がけた。従業員45人の小さな会社ですが、全国コンテストで最高賞をとるなど染色加工に実績がある。高い技術力で右肩上がりの経営を続ける秘訣を尋ねると、上松信行社長(69)からこんな答えが返ってきた。『タイムカードもなければ、残業もありません。心がけているのは社員が仕事を好きになる環境づくりだけ』。「同社には染め、仕上げ、検査、出荷、試験、開発、事務の部署があり、社員に各部署を経験させてみて、自分に向いていると思う仕事に就かせている。

職場環境の改善要望もアンケート。仕事場は乾燥作業などで室温が50度にもなる。その『暑さ』を何とかしてほしいとの声が強かった。1千万円以上かけて地下2百メートルの井戸を掘り、スプリンクラーで屋根に散水、室温を5度以上下げた。『もっと下げる』と意気軒高。

上松社長の言葉で驚かされたのは『経営者の仕事は<人件費>を<増やす>こと』。多くの経営者は乾いたタオルを更に絞るように『経費節減』『人件費削減』と叫んでいる。それに<抗う>よう社員のための投資を惜しまず付加価値の高い製品づくりを目指している。育児休暇や手当などの支援も手厚く、そうした配慮を意気に感じた社員は、他社がマネできないような多品種・スピード処理といった高い<生産性>で応えています」(東京)――。

「『社員を幸福にする役職』――。経営者が働きやすい環境に努めれば生産性が向上する。何も理想論ではない。米心理学者3人の共同研究(「幸福は成功を導くか、2005年」)はその答えを証明しました。幸福度の高い従業員は、そうでない従業員に比べ生産性は30%、営業成績は37%、創造性に至っては3倍も高い!『幸せ』を感じながら行動すると脳内の神経伝達物質ドーパミンが多く分泌され<やる気><学習能力>が高まるからという――。

欧米では、社員が幸福に働けるよう専門的に取り組む役職を設ける企業が増えています。CHO(チーフ・ハピネス・オフィサー)という役職。かのグーグル社が先駆けとなるや米西海岸のIT企業などに広まりました。オフィスで瞑想の時間を採り入れたり、女性のCHOが一人一人の座席を回ってコミュニケーションを深める。社員の幸福度と会社発展が車の両輪のように回るのを目指している。『働き方改革』に目を転じてみると、どうでしょうか。

政府は<成長戦略>に位置付けて生産性を高めよう、女性も高齢者も一億総活躍で働こうとルールを押し付けます。財界、つまり働かせる側の論理が優先され、働く人の幸せなど置き去りです。時間外労働に法定上限を設けるのが画期的だと喧伝するが、繁忙月は百時間未満まで認めるなど、ワーク・ライフ・バランスはおろか過労死防止も怪しい」(東京)――。

「焦点の高度プロフェッショナル制度(高プロ)は残業代も深夜や休日の割増賃金もなく、働く人を保護する労働法制が適用されない、極めて危うい制度。制度に適した働き手が少なからずいるとしても、いずれ普通の人まで拡大される恐れが強いのも、また事実――。高プロのモデルである米国ホワイトカラー・エグゼンプション(WE)を現地調査してきた三浦直子弁護士は、こう語ります。『残業代を払わなくてよいなら、使用者側は間違いなく長時間働かせる。そして本来適用されない人にまで拡大していく』

米国ではWEが低賃金労働者まで拡大、長時間労働と健康被害の蔓延で規制強化に動いているが、日本は明らかに逆方向へ進もうとしている。働き方は労使が自発的に決めるべき慣習。政府が制度や法改正して上から決めるのは本来、不自然…。『働き方改革』が本当に働く人のためか、見つめるべきです」(東京)――。使用者側は<生産性>向上を顧慮しない!

「肌に心地良い風が吹き、青葉から柔らかい光が漏れる。気分のいい季節を迎えた公園のベンチに腰掛けていると、せわしなく動く影が足元に寄ってきた。パンくずの一つでも欲し気なハトたち。▼平和の象徴も2つの大戦では通信手段として軍に大量動員されている。第一次大戦の激戦地、フランス・ベルダン戦跡には1羽のハトを顕彰するプレートがある。包囲され全滅寸前の部隊が助けを求めて放った伝書バト。毒ガスの中を飛び、瀕死で鳩舎に戻ったという」と「東京」コラム<筆洗>(5月12日)…。単なる<本能>とは言うまい――。

「▼少々愚かなイメージのある鳥だけに、哀れさも漂う話だが、帰巣の能力は人間を遥かに上回る。▼秘めた能力は、それだけではない。今春出版された『鳥!驚異の知能』(ジェニファー・アッカーマン著)は、鳥の知られざる知性を紹介した驚きの本だが、これによるとハトは一部の統計問題を多くの人より正しく解く。人の顔から感情を読み取る。かなり賢い。

▼思うのは、彼らは食べ物の独り占めが下手ではないかということ。くちばしのつくりと大きさのせいか。せっかくパンくずを最初に見つけても、懸命につつくうちに多くは小さくまき散らし、寄って来た仲間に食べられる。▼ただ自動的に食べ物を分け合う社会的な仕組みと思えば、これも賢さ。世界で繁栄する鳥。やはり平和が似合う。愛鳥週間は16日まで」とコラム「筆洗」…。火山、何か<切ない>!これも自然の<摂理>…。生きる知恵――。
(平成30年5月14日)

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夕暮れの銀座はやはり興奮する。行き交う男女の人間模様を見ていると<ああ、自分は生きているんだ>と思う。でも自分は傍観者、主役ではない。主役は腕を組んだり、手をつないだり、もたれ合って通り過ぎて行く恋人、夫婦、親子なのだ。

輝くネオンの彼方には一段と高く<汐留シティセンター>ビルが聳えたっている。凄い。あのビルの中にもまた大きな雑踏があり、男女が歓談しているのだ。でも自分は傍観者。

酔ってぼんやり人通りを見ているのが好き。銀座4丁目の交差点を通過する男女は皆、幸せそう。顔が輝いている。着飾って主役の演技に自信たっぷり。

いつの頃からか知れないが、年に数回、こうやって<傍観者>を演じるのが楽しくなった。表参道でもやる。あそこはもっと若い人、ティーンエイジャーが多い。もっとド派手だ。ケバケバしている。六本木ヒルズも面白い。渋谷、下北沢にも不思議な魅力がある。

でも横浜では傍観者というか、ホームレスみたいな心境を味わえる場所はない。伊勢佐木町でも馬車道でも元町でもダメ。幼い頃から知っている街だからかも知れない。<旅の恥は掻き捨て>みたいな、気楽なボヘミアンの、エーリアンの、気分を味わえる場所がない。

いつだったか、渋谷でボヘミアンをやっていたら<あれ、火山さん>と声をかけられてしまった。見たら小学校のクラスメート。<何やってるの>。何しろ道端に腰を下ろして、人通りを見ているだけ。<何やってる>と聞かれても困る。第一、今はホームレスだよ。ボロを来てドロの上にアグラをかいている。見つけられては困る。

仕方ないから彼にも道端に腰を下ろしてもらった。向こうはシラフ、こっちは<ほろ酔い>ならぬ<泥酔>。まだ日暮れ前。困ったなあ。

でも年に数回は、こうやって<命の洗濯>をする自由を認めて欲しい。家に帰れば普通の夫であり、父親であり、孫娘二人のママパパちゃん(祖父)なのだから。

昔、住んでいた郊外のテラス・ハウス。お隣の旦那、ひょうきんで洒脱な人だった。<飲むほどに、お家が遠くなる>というのが口癖。酔っ払いの習性を言いえて妙だ。この旦那、ホームレスになりたいと憧れていた。このテラスハウスから引っ越して数年が過ぎたある日、スーパー<U>にパート勤めをしていた家内。笑いをかみ殺して帰ってきた。「本社から<偉い人>が来る」というので店長以下、全員が緊張して迎えた。なんとお隣の旦那だった。職場では謹厳実直、威風あたりを払う大部長だった。

火山もこの日、銀座でドイツ語のテキストを買い、鳩居堂で高級便箋を2冊、「郵貯崩壊」(岩瀬達哉・祥伝社)という凄い<投資参考書>を買った。……つかの間のホームレスなのでした。
(平成17年11月5日)

さいしょのペンギン

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「水族館などでペンギンの行動を観察していると面白い。水辺に並び、なかなか飛び込まずに『どうぞお先に』と譲り合っているように見える。微笑ましい光景だが、背景には自然界の厳しい掟がある」――7月21日のコラム「明日への話題」。何とも楽しい記事。筆者は脳科学者・茂木健一郎。ここからが凄い。

海に飛び込むのは実は凄いリスク。ペンギンは氷雪の上にいる。海に入らないと餌にありつけない。だが水中には天敵のオットセイが待ち構えているかも…。いないことを確かめたい。誰かが先に飛び込むのを待っている――げっ。誰か先に飛び込まない限り、餌を取れない。誰が「さいしょのペンギン」になるか。「成功が保証されていない中で、フロンティアに挑戦する。そのような『さいしょのペンギン』を人間の社会も必要としている。特に横並び意識の強い日本では、もっと多くの『さいしょのペンギン』が出現する必要があるようだ」と続く。――凄い。

郵政国会の小泉さん。「小泉内閣が初めて<民営化>を言った。他の内閣だったら絶対やらない」と絶叫…。今や<袋叩き>――『さいしょのペンギン』は辛い。現役時代、銀行から会社<再建>のため派遣された社長がいた。苦労人だった。銀行では学歴がないのに叩き上げで筆頭専務になった。独学で教養も身に付けた。そんな社長が「リスクをとらない『横並び意識』にハッパ」をかけた――「年頭挨拶」で言った。「走らなければ転ばない。寝転んでいれば楽だ。でも自分は寝転んでいるくせに、走って転んだのを見て笑うのは最低だ」――。日本には「出る杭を打つ」という伝統もある。だから困るのです。

何もしなければ「失敗」しない。笑ったり、批判をしているのが一番楽。でもそれでは何も始まらない。誰かが『さいしょのペンギン』にならないと…。イニシアティブです。『さいしょのペンギン』をもっと大切にしませんか。

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