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「ドイツ皇帝が愛した<幻の楽器>と日本人」――。「火山が驚愕した<音の世界>(純正調)があった」と昨日、投稿しました。では「純正調」とは何か。対比される「平均率」とは何か。火山の体験を交え、もう少し、考えてみたいのです。
小学生の火山。ピアノに憧れ、鍵盤(キー)のことばかり考えていた時期がありました。「ド・ミ・ソ」という<和音>は、どんな組み合わせか。ひたすら考えました。気づいたのが「ファ・ラ・ド」も「ソ・シ・レ」も同じということ。途中に「半音階」のキーが1つ入る。専門的にいえば「完全5度」(長3度と短3度)の組み合わせ。「音階<ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド>は、これを基本にできている」という発見でした。
中学3年の頃、級友ミッチンの影響でオーケストラを作曲しようと、考え始めた。それには「楽典」の知識が要る。「和声学」とか「対位法」とか…。バカみたいに<独学>。「完全5度」などという知識も得た。小学生時代から「感覚」で感じていたものが整理され、体験(実技)が理論に発展した。
オーケストラ用の多段の楽譜(総譜)も小遣いを節約、買い求めた。でもピアノはおろかオルガンもない。まして演奏してくれるオーケストラが身近に存在するはずがない。だから「総譜」の使い道もない。それでも「未完成」や「運命」など大作曲家の「総譜」を買い込み、ラジオを聴きながら、必死に眺めていた。その時、出会ったのがシューベルト…。
「未完成」には溢れんばかりの「転調」があった。「音の世界」が一気に広がった。自由奔放、甘美。びっくり仰天!ベートーヴェンにも、モーツアルトにも、「転調」はある。でもシューベルトの<天才>は、火山の想像を絶するものでした。
サラリーマンになって、真っ先に買ったのがオルガン。でもすぐ飽きた。やっぱりピアノじゃないとダメ。新婚早々、お金もないのにピアノを買った。家内も呆れたと思う。
そんな火山に「転調」ならぬ「転機」が訪れた。40代最後の頃、NHKが突然、衛星放送を始めた。魅力が「Bモード・ステレオ」――。再生できる音域(周波数帯)が20,000Hzまで、ダイナミック・レンジ(音の強弱の幅)が最大90デシベル。「感動の幅」が違う。
国内営業部門に<新設>されたマーケティング本部。その<初代>研修部長に指名された。お得意先と営業社員に「BSの魅力」を普及させるのが「使命」。花の美女軍団も指揮下に入った。展示会や店頭で美女が「BS」と「Bモード」をデモする。演出に華を添える。火山の音楽センスが初めて脚光を浴びた。でも誰も、その由来を知らない。
「純正調」――。神様が見つけた「音階」という。でも人類が長い歴史の中で磨き上げた美しい「音程」と「和音」が「純正調」。キーごとに<音>(周波数)が固定される「鍵盤楽器」の上では不都合があった。「ハ長調」の「音階」で美しい<レ>と<ラ>の「完全5度」の「和音」が「ニ長調」の「音階」で演奏すると「完全5度」にならない。つまり「転調」できない。この不都合・不便が<ド>と1オクターブ上の<ド>の音程を機械的に均一にする<平均率>を発明させた。
「2の12乗根」は1.0594830943593。周波数をこれだけ倍して行くと「平均率」では「音程」が「半音」ずつ上がっていく。だが今朝、インターネットを見ていて、また仰天!新たな事実を発見した。「ピアノの詩人」ショパン(1810〜1849)は「純正調」を知っていたらしい。美しい「純正調」の和音だけで作曲したのが「子犬のワルツ」――。
リスト(1811〜1886)の「パガニーニ練習曲」第3番「ラ・カンパネラ」も、そしてウェーバー(1786〜1826)の「舞踏への勧誘」も「純正調」の和音だけで演奏できる。ウーン!
さらに美しい「和音」を尊重するオーケストラは「基音」<ラ>を440Hzではなく、448Hzで調音するという。またピアノでも「黒鍵」を「ピタゴラス音律」で<調律>すると「白鍵」を含め「純正調」を確保、上記のショパン、リスト、ウェーバーを濁りのない和音で堪能できるという。ああ、火山、知らなかった。参った!
「純正調」の世界は「相対音感」!「絶対音感」では不都合が生じる。それが「2の12乗根」で調律する「平均率」の世界。音が濁る。でも「純正調」を追求しても「完全5度」にならない<隙間>が生まれる。ウーン、「矛盾」している。矛盾を克服できるのは、やっぱり「弁証法」か。最近、マルクスを思い出し始めているのも、事実。「サブプライム危機」「ギリシャ危機」――。世の中、なかなか「純正調」とは行かない。火山ももう少し丸くならないとダメらしい。偶然、会った畏友・道三さんのアドバイスだ。
(平成22年5月21日)
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