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「ダスゲマイネ」のヴァイオリニストは火山の見るところ、かなりデフォルメされた虚構。ただ「親父は地主か何かで、かなりの金持ちであるらしく…様々に服装をかへたり…地主の倅の贅沢の一種…二人で飲み歩いてゐると勘定はすべて彼が払ふ…私との交際は、はじめっから旦那と家来の関係…その頃の私は金魚の糞…無意志の生活」というのは事実だろう。ダスゲマイネの世界は荒んだ青春。主人公の佐野次郎(太宰の分身)は事故で若死に。太宰も実名で登場するが、ヴァイオリニストも大学8年という放蕩ぶり。実像ではない。 |
「『ダス・ゲマイネ』との再会」
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家内は「太宰治全集」(全12巻)を鬼気迫る勢いで読んだ。妹夫婦の上京前に、太宰の親友だった義弟の父親を探そうとしたのだ。義弟の父は地元の名門、青森中学(現青森高校)、弘前高等学校(現弘前大)と太宰と同じコースを辿る。太宰と親友の4人は、文学、絵画、音楽、金融とそれぞれ別の道を志したが、義弟の父は上野(芸大)でヴァイオリンを学ぶ。 |
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高校3年の昭和30年10月。筑摩書房から「太宰治全集」が刊行された。全12巻を予約、毎月1冊、箱入り豪華装丁の新刊を読み始めた。我が青春の記念碑。大事業だった。ある作家の全作品を読んだのは太宰治ただ一人。最初の配本の「思い出」に国語教師から太宰が聞いた赤い糸の話があった。私たちの右足の小指には目に見えない赤い糸が結ばれていて長く伸び、もう一端がある女の子の同じ足指に結びつけられている。私たちはその女の子を嫁にもらうことに決まっているという。 |
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