大陸にて

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 胃も重いが、気も重い。
 眼底出血を診てもらうための院長先生は第1土曜日は休診だった。また延びた。昨日は胸が重くて一時呼吸困難に陥った。色々のところに電話したが、弟の「煙草を減らしたとはいえ、肺が弱っている証拠でしょう」が正解かもしれない。幸い今日は大丈夫だ。
 気分が重いときには重い本を読むに限る。相殺されるからだ。
 辺見庸の『今ここに在ることの恥』を読んだ。同題の講演を読んでいろいろ考えることがあった。拙いが思っていることを述べてみる。政治的なことだからだ。概して政治的な話題は苦手だ。時事的知識に基本的欠落がある。ニュースばかりしか見ないが、マスコミの意見をそのまま敷衍してのべることは致命的なことを知っているというくらいが取り柄か。
 
 いま東京は皇居の隠微な暗さに対応して、実体的に暗くもあり、全体も暗いのだろうか? 地震が襲って節電で日本全体が暗い。
 ところで東京は大阪のことをどうとらえているのだろうか? はなから無視というか念頭にも上がらない日々が続いているのだろうと思う。実は大阪は大変なことになっている。
 
 次の辺見氏のブレヒトからの引用を読んでもらいたい。
 「賢明でありたい、と思わぬこともない。/昔の本には書いてある、賢明な生き方が。/例えば世俗の争いをはなれてみじかい生を。/平穏に送ること/欲望はみたそうと思わず忘れること/が賢明なのだとか。/どれひとつぼくにはできぬ。/そうなのだ、ぼくの生きている時代は暗い」
 おのずから災害後の暗さとは異質なことがわかるはずだ。1938年の欧州のファシズムの時代に書かれた詩だ。それからブレヒトは書く。
 「不正のみ行われ、反抗が影を没していたときに
 『今ここに在ることの恥』は2006年7月に刊行された。コイズミというわけのわからない首相が権力を大いに奮っていたときに書かれた本だ。その反動的な政治に抗してこの本は書かれた。そのファシズムに対して書かれた。
 人間が恥というものを忘れたころだ。
 テレビのバラエティショーか何かを、口を半開きにして見ている。すると突然、ほんの一刹那、「ああ恥ずかしいなあ」と思う。一瞬の人間的な蘇生、一刹那の覚醒。それはおそらくわれわれが人間だからです。恥の感覚というのは、そういうものです。
 (人間の)恥辱というものは、そういうものです。それに取り巻かれれば、恥ずかしくもなんともなくなってしまう。日常の何気ないルーティンは、子細に見れば、恥辱に満ちています。それを養分にして、今風のファシズムが着実に育っている。
 
 ここで大阪に話を戻せば、今「大阪の時代は暗い」。
 東京の人でも名前は知っているだろう橋本前知事が、これを大阪流というのか、あくまであけっぴろげに稀大のファシストだからだ。
 「今の日本の政治で一番重要なのは独裁。独裁という力だ」
 と市長選挙に鞍替え出馬したのっけに放った言葉だ。
 「日本が一番情けないのは単独で戦争を行えないことだ」と発言し、核武装論を示唆している
 独裁という言葉をキーワードに次々に政治的発言が続く。
 自身は同和地区で育った。しかし
 「差別意識はいけないですけれども、同和地区を特別扱いするつもりはない
 彼が府政4年にやったこととは何か。
 のっけから大阪府財政非常事態宣言を出し、職員の大幅給与カット、退職金減額、文化活動の見直し(大阪センチュリー交響楽団の補助金削減、、わっは上方の運営費削減その他)、確かに単年度黒字100億円を出したが、それも後で各種基金からの借り入れで賄ったことがわかって、実質は80億円の赤字だった。
 国家国旗掲載への拒否をした教職員の免職あるいは停職。
 最近話題になったが、教育基本法改正。Cレベルという査定を出した教員が翌年度も同じレベルなら免職。定員割れした高校は統廃合する。教育に競争原理を持ち込むために民間の校長を増やす。その他。さすがに教育委員会は総辞職して、抵抗の態度表明をした。
 独裁つまりファシズムの道以外の何ものでもない。
 ここで大阪住民はどう言っているか。
 「はっきりものをいい、行っているからいいやん」の一言だ。
 
 つまり辺見氏の次の引用にあるようなものだ。
 日本にはたぶん、ファシズムの精髄ないし精華があるのです。なぜかというと、日本のファシズムは純粋ファシズムだからです。それは上からのファシズムではない。わたしたちみんなの下からのファシズムでもあるからです。私たちが躰の隅々まで染みこませたファシズムだからです。
 
 さて、ジョルジュ・アガンペンの「ホモ・サケル」これは私も要約したが、ホモ・サケルとは、古代ローマの言わば罪人でもあった。サケルは聖という意味で、この人間を殺しても罪には問われなかった。しかしその死体を神の犠牲として供することはできなかった。
 ホモ・サケルは人間存在以下のもの、忌むべき実在としてあった。この人たちは法的な保護や庇護を受けられない。生きた存在そのものが、むきだしの状態である。
 私は(中略)日本にだってホモ・サケルがいると思います。(ホームレスなどの人のこと)人々の多くは自ら手を汚すことなく<あの臭いものたち>を一掃し、クレンジング(cleansing)したがっている。(中略)自称文化人らの多くも、無意識にそう願っている。「公共空間」を浄化したがっているのです。
 橋元知事の同和地区に対するあからさまな敵意。彼ならホームレスを一掃してくれるだろう、実際やって見る器量の人間だと思っている大阪人は多いと思う。
 彼の全体像に見え隠れする差別意識が明らかだからだ。
 圧倒的メディア露出で彼は大阪府民を呑み込みかけている。維新の会という明らかに和製ファシズムの呼称のぷんぷんする党を率い、彼はわたしたちをどこへ連れて行くのか?
 
 ここで心安らぐ心奮い立たせる辺見氏の文の引用に戻る。
 われわれそれぞれの「個体知」により世界を自由に創造し気づかうのではなく「メディア知」のみを絶えず食わされて、権力と市場と資本に都合のよいテーマだけを日々、投げ与えられ、もっぱらその枠内で発想し、喜び悲しみ反発するように導かれている。もうそろそろ、それを拒んでもいいのではないか。まず、せめて自分の内面の境界線をなくすこと。境界線をあえて踏み越えていくこと。テーマをやつらから投げ与えられるのではなく、われわれ自らが「個体知」にこすりつけながいま最も考えるべき主題を設けること
 
 いまの日本の「時代は暗い」。しかし違った意味で大阪はもっと「時代が暗い」のだ。東京に国政に進出したらというファシストがいま大阪を席巻しているからだ。
 人々はいつも時代に遅れている。遅らされている。
 対処する道はひとつ。「個体知」を研ぎ澄ますこと。知識を得、辺見庸氏の著作のような良心的な書物を読むことがそれには役立つだろう。私自身にも突き付けられた課題ではあるが、それからどう一歩を踏み出すかだ。
 ブログで最近もやもやしていることを一応整理した。つきあってくれてありがたい気持ちです。
   
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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かなり古い文章ですが、言われていることは的確だと思います。橋下の持っている感性が、露骨な大衆迎合主義で反吐が出そうになるのですよ。わかりやすさだけを追求し、安易な方へ流れる。もう堪らないですね。
今度は首相に安倍がなり、同じことをやっている。嫌になりますよ。

2013/12/31(火) 午前 1:42 [ Bird ]


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