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先輩なんて、手の届くはずがない。
遠くから見れるだけで幸せだ。
でも・・・ 話したりとかしてみたいな。
1年生の春、部活動を巡っている時にすれ違った1人の先輩。
彼の向かう先は・・・ サッカー部の部室だろうか。
一瞬見ただけでも目を引くほどのオーラを放ち、彼は部室へと消えていった。
彼がサッカー部だと知り、入るつもりだったバレー部を諦めて
サッカー部のマネージャーに。
1つ上の彼。
彼は人一倍、一生懸命で、だけどクールで。
私は全然話しかけることもできず、それでもずっと彼の背中を見ていた。
それだけで、幸せだった。
「準備、いつもありがとな」
「いっいえ、土方先輩こそ、いつも練習お疲れ様です///」
先輩は覚えていますか?
初めて話しかけてくれたこと。
先輩から声をかけられるなんて、絶対ありえないと思っていた。
だからこそ、何倍も嬉しくて・・・
その後、緊張しすぎて訳のわからないままメアド聞いたり、
何時間も悩んで、やっとメール送ってみたり。
先輩のためにドキドキした、幸せな時間。
「ずっと、好きでした」
一生分の勇気を振り絞ってした、一世一代の告白。
「・・・俺でよければ」
相変わらずぶっきらぼうだったけど、顔を赤くしながらこたえてくれた放課後。
これといって、若い恋人らしいことは何もしなかったけど、
2人で図書館で勉強したり、一緒に下校したり。
それも私にとってはとても大切な時間で・・・
私には先輩が必要不可欠だった。
だからこそ、恐れていた。
学年の壁
私が2年生になれば、先輩は3年生。
もちろん、受験が待っている。
時は止まらず、進み続ける。
私も先輩も・・・・
「受験勉強で忙しいんだ、ごめん」
言葉の意味が、よくわからない
先輩が受験を乗り越えるには、私は邪魔ということだろうか・・・・
「ごめんな。お前には、俺よりもっといい人を見つけて欲しい。
お前なら、もっともっと、いい人と付き合えるから」
きっと先輩なりの、精一杯の優しい言葉。
私には、優しすぎて痛いくらい・・・
やはり先輩の言葉をちゃんと理解できないまま、家路を急ぐ。
この道・・・
先輩と通った道。 部活でへとへとになった体で、途中まで送ってくれた道――
「・・・・うっ、うううう」
別れを告げられたその時には、出なかった涙が、目から零れ落ちる。
辛い時、いつも温かかった私の隣を夕暮れの風が通り過ぎていった。
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