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とうとう出ましたね。
といっても、吉田拓郎さんの新しいアルバムの話じゃないですよ。
小保方さんについてのNHKの放送に対するBPOの判断が出されたという話です。
過去に認定された人権侵害報道についても、その後放送局側がすぐに和解の意思を示したり、裁判になっても刑事事件になる前に(普通は報道系訴訟は民事が先で刑事はあと)裁判所の和解勧告を受け入れたりした場合がほとんどです。
もっとも有名な例では、「松本サリン事件」における河野義行さんの場合があげられるでしょう。
1994年に起こった松本サリン事件の被害者でありながら、ほぼすべての報道各社から犯人扱いされ、実名報道や顔写真まで出されてしまった方です。
長野県警の最初から犯人だと決めつける捜査手法と容疑者発表は、いまも権力乱用の典型として犯罪捜査の話になると必ず語られるほどですね。
河野さんの奥様はこの時の被害により植物人間に近い状態になり、意識を取り戻すことなく4年後にお亡くなりになりました。
放送被害のケタで言えば、小保方さんよりもひどかったのはお分かりいただけると思います。
この時もBPOによる人権被害審理が行われ、放送局すべてが一斉に共同で謝罪報道を行いました。
(認定が行われる直前で、河野さん側は審理請求を取り下げ)
その翌日には長野県警も謝罪会見を行いました。
しかし、両者とも直接河野さんに会って謝罪したことはありません。
これについてはあとで述べようと思います。
BPO判定でもっとも誤解されているのは、「BPOは報道が事実かどうかを認定する会議ではなく、人権侵害が行われたかどうかを審理する機関」だということです。
つまり、放送が事実であったかどうかなど関係なく、人権侵害が行われたかどうかだけを認定するんです。
たとえ事実であっても、報道者たちが個人の権利を侵害するような報道を行うことは法治国家では許されていません。
未成年の名前が公表されないのも、このためです。
これもよく誤解されていることなのですが、名誉棄損は嘘を言われたから成立するものじゃないんですよ。
たとえ真実を報道していたとしても、個人の権利と公共の利益をはかりにかけた場合、人権侵害の方が大きいと判断されたら名誉棄損なんです。
私は身をもって知っております。(笑)
事実ではない報道で相手を傷つけたら「名誉棄損」ではなく「虚偽・脅迫」にあたり、もっと重い刑事罰となります。
だからこそ、これはBPOではなく、警察などの捜査機構が行うべき案件なんです。
さて、今回のコボちゃん事件の場合、すでに兵庫県警にES細胞窃盗容疑(それも被疑者不詳で、コボちゃんが容疑者とは全然言ってない)について告発がなされ、神戸地方検察局において不起訴判断が出されています。
「事件の発生自体疑わしい。こんな訴え、常識ないんじゃないの?」という検察官の談話まで出てますから。
つまり、訴えが事実無根であることはすでに公的機関によって立証されている。
もしSTAP細胞が存在しなかったにしても、それは実験上の失敗にすぎず、刑事罰どころか社会的糾弾を受けるいわれはない。
そして今回のBPO判断です。
「報道されたことによってコボちゃんは人権侵害を受けた(それもNHKの番組で)」と認定したと。
つまり、「事件自体が事実じゃないし、それによって権利が侵害された」と立証されたと。
ちと長くなりましたが、今回のBPO認定はこういう重い意味を持っていたわけです。
さて、ここからは生臭い話です。
先ほどの松本サリン事件の河野さんの話ですが、長崎県警も各報道機関も直接謝罪には行っていません。
当然河野さんとしては民事裁判に訴えてでも自分の権利を主張したはず。
しかし、彼は一切そういう行動には出ていないんですよ。
ただし、その後の彼の足跡を追うと、とあるNPO法人を立ち上げているんです。
特定非営利活動法人リカバリー・サポート・センター。
この組織は、犯罪や事故、災害などで被害を受けた被害者及びその家族に対して身体的及び精神的後遺症の回復のため、検診・治療支援活動を国内外の医療、薬学救済組織ネットワークにより行っています。
しかし、この組織の立ち上げのための資金を河野さんは当時持っておらず、この組織が特別法人として認められたのは2002年のこと。
報道機関が謝罪報道を出した1年後です。
つまり、裁判を起こす代わりに、どこかから大金が手に入ったと。
コボちゃん弁護団の代表三木秀夫弁護士は、現時点ではNHKを訴えるつもりはないと発表しました。
そりゃそうですよ。
NHKを訴えるということは、国を相手に戦うということ。
時間も驚くほどかかるし、儲けも少ない。
なら、どうするつもりか?
来年あたりにコボちゃんが若い研究者を支援するNPO法人でも立ち上げたら、私は「やっぱりなー」と思っちゃいますね。
後味の悪い事件でしたが、小保方さんには素敵な第二の人生を送ってほしいと思います。
今度の人生には、幸多からんことを。
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