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「お久しぶりです。」の声に振り向くと、見慣れない若い女性が一人。
どこであったっけ?
というか、私に女性の知り合いはほとんどいないぞ?
アメーバ以外では。(笑)
あの人たちとは会ったことがないからねー。
それにしても野暮ったいなりだね。
膝下までのズボンにあっさりしたシャツ。
砂漠にでも行くのかよ?
さすがにコートは着てるけど、寒かっただろうなー。
「相変わらず『だれ?』って顔して人をじろじろ見ますねー。
いい加減に覚えてくださいよ、先生。」
覚えてる!おぼてるよ!
きみは、そのー…
「うそつき。」
嘘じゃないって。
ただ、名前が思い出せなくってさー。
「私、名乗ったことありませんから。」
そうそう、そうだった!
……って、そんなの知り合いとは言わないんじゃない?
「あんなに熱く語り合ったのに!」
ちょっとまてい。
さすがにそこまで行くとウソにしか聞こえないぞ!
どこでなんだよー!
「3年ほど前に、大河原邦夫さんの原画展で、語り合ったじゃないですか!」
3年前… 大河原邦夫… ああああ!
あの時のバイクガールか!
てめー、ヘルメタル返せ!!
というか、よく後ろから見て私だと分かったねー。
「フランダースの犬の原画一枚を30分も見てるような人、ほかにはいないですよ。」
そんなに見てたんだ。
というか、ずっと見ている私を後ろからずっと見てたの?
それってストーカーじゃない?
「私も同じ絵を見てたんですよ!」
あ、そうなんだ。
たしかに、設定集としてだけじゃなく、作品としての価値も高いからね。
「そうなんです。
何がすごいって、アタリも書いてないし、書き直した部分がほとんどない。
一筆で書き下ろしているのがびっくりです。」
このころのキャラデザの人たちは、書き直しを一切せずに一気に絵を完成させちゃうからね。
ガンダムの人物デザイン安彦良和さんなんて、シャアの全身像描くのに2分だってさ。
「すっごーい!」
だろ?
「いや、すごいのは先生ですよ。
相変わらず無駄知識が豊富ですね。」
ほっとけ。
っていうか、前回はドロンジョコスプレだったけど、今回は何?
トム・ソーヤ?未来少年コナン?
「大草原の小さな天使 ブッシュベイビーのジェーンです。」
オタクすぎるだろ!
誰も知らないって!
「私が物心ついたときは、リアルタイムでこれだったんですよ。
だからいいでしょ?」
そうなんだね。
ってことは、この作品が1992年だったから、今の君の年齢は…
「それ以上言ったら大声出しますよ。」
冗談に聞こえないから怖いわ。
「本気です。」
と、話しながらも時々足を止めて無言で設定画を見る二人。
ひげだらけのおっさんと足もあらわな女子大生の組み合わせは、さぞや周りから見たら変だろうな。
まあ、みんな原画に夢中でこっちは気にしないけどさ。
後期の作品では、キャラデザが女性になったせいか、初期のものとは違って何度もなぞって絵を描いてるんです。
もちろん消しゴムで消して、腕を曲げたり服の袖を伸ばしたり。
この何度も書き直すところが女性のキャラデザ職人さんの特徴なんでしょうね。
若草物語の設定集は、何度も書き直した跡があって、なかなか面白かったです。
書き直すごとに、キャラの性格が変わって見えるのがすごいなと。
やはり40年も続いてきたのは伊達じゃないと。
途中で何度も液晶画面にアニメ作品の一シーンが映し出されていたのですが、フランダースのあのシーンだけは目を背けて歩いてました。
まだ愛犬の思い出がつらくって…
「なんでアニメは見ないんですか?
絵の方がいいとか?」
何でもない…
いつの間にか一緒に見てるぞこむりん!
そんななし崩しでいいのか!
次回最終回、きみはこむりんの涙を見る!
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