こなかっこ通信(子中保育園)

子どもの活動や運営者として思うことをお伝えしていきます(^^)

散歩を続けます

 大津の事故を受けて、保護者から散歩を中止する要請があった保育園や幼稚園があると聞きました。とても痛ましい事故でした。2歳の子どもたちが一瞬にして命を奪われたのは本当に悲しいことです。しかし、この事故で、「散歩の中止要請」をするのは筋が違うと思うのです。保護者や園が不安な気持ちになるのはよく分かります。ですが、中止を要請すべき対象は散歩でなくて危険運転。とはいえ、それもドライバー個人を責めても本質的な問題解決にはならず、人間が犯しやすい認知ミスを回避できるような環境づくり(交通事故で言えば、道路環境や車の機能、認知に依存しにくい交通規則、運転に向いていない人の認知測定・運動測定のしくみなどの改善)を行っていかなければいけません。

 散歩は、子どもたちにとって、心身発達に不可欠の重要な活動です。広々した園庭があり、園外に出る必要のない保育園や幼稚園なら散歩がなくてもよいのかもしれません。しかし、保育園や幼稚園の設置基準は、そのような恵まれた園庭を必須にはしていないのです。様々な環境があることを考えると、道端の自然物に触れ、住宅街や街なかの様子を見て、風や空気の匂いを感じつつ、地域の方々と挨拶しながら歩き、交通規則を守る散歩という活動は、子どもたちにとって重要な学びの機会です。

 話が逸れてスミマセン。保護者が不安を感じたら、保育園や幼稚園に、散歩時のルートや安全対策を確認するのは必要なことだと思います。私たちも、そのような確認に応えられるよう散歩時の基本的な注意や、コース、危険箇所などを職員会議で見直し、散歩マップを作成しなおしました。これまで、散歩マップは園内の情報共有として作成していましたが、保護者の説明用にしました。この改善では心理学者の掛札逸美さんの知見がとても役立ちました。保育関係者にはご存知の方も多いと思いますが、掛札逸美さんは、このような保育の安全に関わる様々な対策や、園内および保護者とのコミュニケーションについての情報発信や保育関係者への研修などを行っているNPO法人保育の安全研究・教育センターの代表をしており、ニュースや社会動向を踏まえてホームページ(http://daycaresafety.org/)も頻繁に更新されています。

 保護者に対して散歩ルートや対策を確認・共有していただくことはできますが、絶対に事故を起こさないように確約することはできません。先日、園見学にいらした保護者から「そんなに遠くまで歩くお散歩で(当園で実施している)、事故が起こったら困りますよね」と言われました。それに対して、「そうですね、保育園以外でも事故は困りますね。安全対策はしますが、私たちは”事故が困るので散歩を止める”という判断はしません。注意はしますが、残念ながら事故を起こさないとお約束することもできません」とお答えしました。このような受け答えは、保護者に優しくない保育園として評判を落とすのかもしれませんが、入園前に、園の方針や考え方を理解していただくのは大切なことだと思います。

 大津の事故時の檸檬会の記者会見で散歩時の注意点は広く世に知られることになったようですが、保育士は列の前後だけでなく、子どもたちの車道側サイドにも配備します。このサイドの担当者は、子どもたちと手をつなぎません。瞬時の判断と反応ができるよう、フリーの立場で歩き、列の前後の車確認や、見通しの悪い場所での確認、列の状態のチェック等を行います。また、散歩に出発する以前に、保育士たちは子どもたちの列の順番や、どの子どもたち同士の手をつながせるかを決めますが、これも重要な判断です。手をつないでいると、子どもたちが急に駆け出したり飛び出したりすることが回避できるからです。昨今の事件を受け、自動車もかなり速度を落とし、注意しながら走っていましたが、自治体への標識要請はしようと考えています。
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 大津の事故後、市原で公園に乗り上げた車に対して、子どもたちを守るため、子どもを突き飛ばし、ご自分が骨折をした保育士さんがいらっしゃいました。この事故について、当園のあるお父さんが、「あの事故について、世の中、”保育士さんがすごい”と美化しすぎなのは違うと思う」と言ってくださいました。ありがたいことです。上記で紹介した掛札さんも、「保育士を英雄にしたてあげてはいけない」ということについて、ホームページで書いています。

 保育士の多くが、市原の保育士さんのように、突然の危険な出来事に対して子どもを守るための何らかの反応をすることでしょう。おそらく大津でも同様だったはず。しかし、それが必ずしも良い結果につながらないこともある。交通事故だけでなく、不審者への対応、災害時などにおいて、保育園や幼稚園が子どもの命を守らなければならないのは大前提です。でも、子どもを守るために、保育士がケガをしたり、命を落としたりするのが美徳のように考えられてしまう危険性を、昨今の美談の報道や世論で感じています。

 保育園や幼稚園の努力だけで、事故回避はできません。保護者も、車・バイク・自転車を運転する人々も、地域も、企業も、交通や道路の政策に関わるすべての自治体や国も、今回限りの対応・対策としてだけでなく、それぞれができることをし続けることが大切だと思います。




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これは3月30日に私たちの園で行った保育士研修の話。ようやく昨年度最期のお話です(^_^;)

新体制になってから、少なくとも一年に一度は保育士全員で同じ研修を受ける機会を作りたいと思っていました。というのも、効率よく学びを共有するには一人が参加した外部研修会の内容を園内で共有すればよいのですが、講師の方の考えや活動が、私たちの園の理念や方針の視野をより広げ、洞察を深めるものであれば、体験を共有することにより、体験後も自分たちで考え行動し、語り合うことによって、学び続けることができるからです。

2年前は、子どもたちに「危ないからダメ」と言わないために、また、自然の中で遊ぶことの楽しさを保育士自身も体感しながら学べるように、ネイチャープロデューサーの長谷部さんから外遊びの楽しさを伝えてもらいました。
保育士、遊びの先生に遊びを学ぶ(1)
https://blogs.yahoo.co.jp/konaka_hoikuen/49862834.html
保育士、遊びの先生に遊びを学ぶ(2)
https://blogs.yahoo.co.jp/konaka_hoikuen/49863282.html

前年度は、どなたに来ていただこうかと考えていたところ、ご縁があり、atelier le matinを主宰されている聡美さんにお願いすることができました。実は聡美さんを直接知る前に、atelier le matinの活動である「保育園の『表現者たち』展」( https://m.facebook.com/hyougenshatachi/ )のことを保育業界の恩人である平井さん( https://blogs.yahoo.co.jp/konaka_hoikuen/50021610.html )から教えて頂いていました(^^)

仕事であれ子育てであれ、人の育ちや学びに関わっている方は、アートには関心が無くてもぜひぜひ「表現者たち」のページを開いてほしいと思います。「表現者たち」の中で発信される子ども観や人間観を読んで、私たちの保育園もこの活動に関われたらと心底共感しました。ありのままの相手を受け止め、共に在ることにより、創造が生じる。そのプロセスには、子どもたちに対して、教える・助ける・支えるという一方的な意識や態度はありません。

私たちもそのような意識と態度で、子どもたちと保育園を創っていきたいと考えました。そして研修後、日常の保育を見ていると、おそらく、保育士一人ひとりにそれぞれの気づきをもたらしたのだろうなと感じます。もちろん私も同様に。

当日の研修は昼食を含めて5時間ほど。それでもあっという間に時間が過ぎ、まだ時間がほしいと思うほど、楽しくて、心穏やかで、でもちょっと心揺り動かされて、無理なく深く考えることのできる時間でした。

子どもたちが日常使っているクレヨンを、「え、こんな使い方もできるんだ!」と思うような自由な使い方で、自由に今の自分を表現しました。

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下記の写真は私の表現作品(^^)

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大人も無心になれる楽しさや気づきを感じられる研修でした。そのような感覚を生み出す内容や構成の素晴らしさはもちろんですが、この研修はプログラムの素晴らしさだけでなく、聡美さんがデザインし実践するから、参加者に豊かな気づきをもたらすのだろうと思います。

かつて、話し合いの学び方を方法論化する研究に携わり、実践法として社会に広めるという活動をしていた立場としては、教え方を汎用化する、すなわち、誰でもが同じように教えて、学ぶ人が学びの効果を得ることができるということを重視していました。そのような方法化ができれば、学ぼうとする人びとにとって教える人の能力や技量に依存しない学びの機会を得ることができます。学ぶ人にとって機会の均等を保証するという点でとても大切な考えです。

一方で、最近「この人に学びたい!」という考え方を、以前より、もっと大切にしてもいいと考えるようになりました。それは今回の研修のように、アート活動という機会を通して、「保育園の『表現者たち』展」の世界観や、聡美さんの人間観を体感したい場合。実際、私たちは、文字や映像を通して共感し刺激を受けていたfacebook上の世界観を、聡美さんと時間を共にし、対話を重ね、表現体験をすることにより、頭で理解するだけでなく身体化できたのでは、と感じています。

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3月のお話。5歳児クラスのAちゃんとBちゃん、経緯の詳細は不明ですが、桜の話をしていて、保育士にiPadで満開の桜の大木の画像を見せてもらいました。

「桜の木、作りたい!」

二人は、トイレットペーパーの芯で幹と枝を作り始めました。幹から伸びる枝を表現する時、枝一本だけ保育士が芯を斜めに切って幹に繋げる方法を教えましたが、それ以外は、幹も枝も、幹と枝の繋ぎも二人だけで行いました。

色画用紙の花づくりでは少しだけ、4歳児クラスの子どもたちが手伝ってくれましたが、お花も殆ど二人で切りました。最後に木の根元をバケツの中で固定するときに、写真のように保育士に手伝ってもらいました。

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次の写真で、根気よく切ったであろう数多くの花や、少しずつ色の異なるピンクの花の濃淡が分かることと思います。

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Aちゃん、Bちゃんは二人で作り上げたことに満足していましたが、私たち職員にとってもこの作品は子どもたちの成長の証しとしての卒園プレゼントのように感じ、卒園式の舞台横に飾ることにしました。舞台上の生花に勝るとも劣らない華やかさと輝きを放っていました(^^)

Aちゃん、Bちゃんをはじめ、今年も年長さんたちは一年を通して多くの作品を創りました。子どもたちはそれらを大切に家に持ち帰りましたが、作っていたプロセスを含め作り上げたときの満足そうな一人一人の笑顔が私たちにとって大切な思い出です。

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以前書いた「保育記録の可視化と共有(1) 」https://blogs.yahoo.co.jp/konaka_hoikuen/50066776.html
では、子どもたちの活動写真の掲示は私が行っていました。

しかし、他の仕事が重なると、なかなか掲示が出来ず、同じ写真が長いこと貼ったままであったり、逆に何も貼れないままであったりしていました。この掲示は、保護者のみなさんと子どもの様子を共有する重要なものなので大切にしているのですが、それでもなかなか手がつけられず‥‥。そんな時はブログを更新する余裕も無く、発信と共有の不足に忸怩たる思いがありました。

4ヶ月ほど前のある日、気付くと、クラスの活動や異年齢の合同保育時の活動の写真が多数貼られており、そこにはいつも子どもたちを見ている先生たちならではのコメントが(^^)
やってほしいと依頼したわけでは無いのに、S先生を筆頭に保育士たちが自主的に行ってくれたのです。

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この写真と言葉の記録は、子どもの可愛い写真を示すことが目的ではなく、活動の様子を共有することが目的です。ですから、下記写真のように、子どもたちは後ろ姿であったり、自分の手元を見ながら熱心に遊びこんでいる様子が撮影されています。その写真を解説するコメントがびっしりと書かれたものもあります。

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コメントを読むと事実描写だけでなく、状況から推察できる子どもたちの考えや感情まで触れて、子どもたちの行動の意味を丁寧に書いています。これはまさに保育ドキュメンテーションです。

以前の「保育記録の可視化と共有(1)」で、現在私たちの園ではまだ保育ドキュメンテーションを作成する余裕は無いと述べていました。保育士一人ひとりが仕事を効率的に済ませて時間をつくり、そして何より子どもたちを見る洞察がより深くなったために、このような言語化が可能になったのだろうと嬉しく感じています(^^)

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前回ご紹介したお手紙遊びから、実際にお手紙を書いて投函してみる、という遊びにつなげたI先生。I先生の日誌から、子どもたちの緊張感や難しさにチャレンジする際の葛藤が伝わってきます(^^)

(3歳児クラスの活動、前回は2月、こちらは3月の記録です)
ーーーーー
A、Bが母宛に手紙を書いたので郵便局のポストに手紙を出しに行く。郵便局に着くと緊張した面持ちで保育士と、A、Bで切手を買いに行く。自分たちで持っていたバッグから手紙を取り出し、保育士の説明を聞きながら水をつけて貼り付けた。手紙を書いていないC、D、Eにも切手を見せると、Cが

「これが、お金の代わり?」

と尋ねてくる。

「そうだよ。これがないと、お手紙が戻ってきちゃうんだよ」

と答えると「うんうん」と頷いていた。

A、Bは緊張していたためか一言も話さず、説明を聞いて「ここ?」と確認して貼り付けた。手紙を持って郵便局の外に置いてあるポストへ投函する際は、初めてのことに少し躊躇して慎重にポストへ投函した。

「おうちに届くの楽しみだね」

と話すとまだ緊張しているのか、イメージがつかないのか「うん」と答えるのみだった。

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この日、終始AとBは緊張気味で、言葉が少なめだった。

郵便局まで歩いている間は、

「郵便局に着いたら切手を買ってからお手紙に切手を貼ってポストに出すよ」

と手順を伝え、「先生が忘れないようにみんなが覚えておいてね」

とお願いする。AやCから「切手ってなに?」との質問を受けたので、

「お金の代わりで、切手がないとお手紙届かないんだよ」

と伝えると「えー」と驚いていた。ポストへ出してからは

「今日お手紙出さなかった子も、やってみたいなとか書いてみたいなとか思ったら先生に言ってね。お手紙書いてまたみんなで出しに来ようね」

と伝えると、Cが

「まだ難しいからなぁ」

と思いとどまるような発言をしていた。

「文字じゃなくても絵でも良いし、お手紙は伝えたいこととか書きたいこととか、好きなことを書いて良いんだよ」

と伝えたが、

「そうなの?うーん」

それ以上の反応は見られなかった。書きたい気持ちがあれば時間が経ってからでも話に出てくると思うので、それ以上勧めることはしなかった。
ーーーーー

リアルな体験はワクワクもするけど、緊張もする。大人がしていることを自分もするんだものね。だから、躊躇したって、自信が出てくるまで辞めておいたっていいんだよ、Cくん。I先生の言うとおり(^^)

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