http://jp.reuters.com/resources/r/?m=02&d=20111105&t=2&i=527542123&w=450&fh=&fw=&ll=&pl=&r=img-2011-11-05T102240Z_01_NOOTR_RTRMDNC_0_JAPAN-240066-1 誠より 10月26日夕方から始まったギリシャ債務危機をめぐるユーロ圏首脳会議。翌日午前4時まで 10時間というマラソン会議で、ようやくギリシャ支援パッケージがまとまりました。。 ギリシャ国債を保有する民間銀行は、自発的に元本の50%を償却することになります。一方で 銀行は、協議の中核的自己資本比率を9%とし、約1100億ユーロ(約11兆8000億円)と 見積もられる資本増強を来年6月までに行うことになります。EFSF(欧州金融安定基金)の 実質的な資金規模を1兆ユーロ(現在は4400億ユーロ)にまで引き上げます。さらに財政・経済 統合案の最終報告を来年3月までに行う。イタリアに対して財政健全化のための構造改革を 求めることになります。 これでギリシャが無秩序な債務不履行となって、金融機関の信用供与という枠組みが崩れ、 欧州発世界金融恐慌に陥るという恐れはいったん遠のいたようにみえます。実際、この決定を 受けて世界の株価は急反発しました。リスク回避に走っていた投資家がいっせいにリスク資産 である株の買戻しに動いたからです。 しかし、その高揚感は、イタリアの国債入札で水を掛けられた形となりました。10年債の 利回りが5.86%から6.06%と先月よりも上昇したのです。この数字は、ユーロ圏の包括策には まだ詰まっていないところがあり、さらに将来にわたってさまざまな問題が噴出する可能性が あることを示唆しているのだと思います。 そもそも統一通貨ユーロには矛盾が内包されています。それぞれ経済事情の異なる国が、 財政赤字をGDP(国内総生産)の3%以内に抑えるといういわば「善管条項」でユーロの価値を 維持できるとしたからです。 しかし、ユーロ圏に加入したいわゆる周縁国(とりわけ南欧)は、低利で借りられることから 国債の発行が増えました。金利という歯止めが消えれば、経済成長をするために資金を導入する のは当然でもあります。 英国は、ユーロを導入しませんでした。このことについてメージャー元首相は「ユーロの構造に 欠陥があると見ていたからだ」と英フィナンシャルタイムズに書かれています。つまり 「財政同盟を伴わない通貨同盟は、リスキー」ということなのです。欧州統一市場を主導した 英国が統一通貨に加わらなかったことに、他の欧州諸国は、反発しました。 http://jp.reuters.com/resources/r/?m=02&d=20111105&t=2&i=527562768&w=450&fh=&fw=&ll=&pl=&r=img-2011-11-05T113552Z_01_NOOTR_RTRMDNC_0_JAPAN-240075-1
変動相場制の下では、経済が悪化した国は為替相場が下がることで競争力を回復することが できます。しかし、ユーロに加盟したギリシャは、通貨が安くなるという選択肢を失ったために、 経済は悪化の一途をたどったとも言えます。逆にドイツは、ユーロに加入していることによる 恩恵を受けています。実態よりも通貨が安いことで、競争力が強化されたからです。 そうなるといかに緊急避難策としてEFSF(欧州金融安定基金)を1兆ユーロに拡大しても、 必ずユーロ圏の弱い国が、次の標的になります。世界経済がよほどのスピードで成長しない 限りは、弱い環は存在するからです。 そこで出てくるのが、財政・経済統合案なのです。市場統一、通貨統一という段階を踏んで きたユーロ圏をさらに財政統一、経済政策統一に進めようということのようです。こうなると ハードルは、一段と高くなることは明らかです。要するに国が集まって、あたかも1つの国の ように運営しようということだからです。 日本という国で考えてみると、県民所得の高い県と低い県がある。当然、どの県も豊かになる ために工場を誘致したり、地元産品を他の県に「輸出」しようとします。(もちろん他県に 売る場合、江戸時代以前と違って関税などはありません)。それでも格差は残るため、 日本の場合は地方交付税のような形で中央が「調整」しているのです。こうした仕組みは、 統治機構として県よりも国が上位にあるから可能なことなのです。 しかし、国家間の同盟関係では、同盟が国よりも上位にあるわけではありません。 同盟には当然、約束事がつきものですか、それを破ったからといって、ペナルティを課すのは 非常に難しい政治的問題を惹起しかねません。さらに、それぞれに国民がいて、その内政上の 問題も大きく影響します。今回の欧州危機でもドイツのメルケル首相が「グズグズ」したように みえるのは、ギリシャ支援についてドイツ国民の支持がなかなか得られなかったからです。 いっそ同盟を国の上位にするという新しい、いわば21世紀型の世界のあり方を考えてみたら どうだろう、というのは思考実験としては興味深いと言えるますが、果たしてそこで 民主主義的な統治をすることが可能なのでしょうか。意思決定をする人々と、一般の人々の距離は 現在の国家の形よりも遙かに遠くなるからです。 今週、イタリアは、事実上IMFの管理下に入り、公務員削減、増税等の財政赤字削減策に 向かいますが、このIMF管理下入りで事態は改善しないと思います。 なぜなら、国民がそのような緊縮策に従う筈がないからです。 ギリシャもそうですが、どのような緊縮策をまとめても、国民が反発すれば、それは、 絵に描いた餅に過ぎません。 イタリアの政治情勢は、ベルススコーニ首相の辞任も噂されるようになっており、内閣が 崩壊することもありえます。そうなればIMFは何もできない事態に陥ることになります。 ユーロ圏の危機が意味するところはあまりにも深く、重いようです。
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