福島第一原発は、対処が適切ならメルトダウンも水素爆発も防げたのです。事故調の報告書を見るとその事が伺えます。確かに一次的には、
現場の作業員の過失や判断ミスなのでしょうが、原発全体のシステムに対する理解不足が伺えます。福島原発でも全停電状況になっても「非常用腹水器」が働くようになっていたはずなのです。
「非常用腹水器」は非常に大きな装置であり、安全装置の一つですが、それがどのように動くのかも弁がどのように動くのかも現場の作業員は分かていませんでした。3号機では、動いている「非常用腹水器」を止めてしまって水素爆発が起きてしまいました。
1号機でも停電すれば弁が閉まることを現場の作業員は知らなかったのてです。 2号機にしても冷却水の切り替え判断ミスが起きていました。
このように1号機から3号機までの「非常用腹水器」の操作ミスが揃って起きていたのです。 現場の作業員の「非常用腹水器」の普段からの操作点検をやっていなかったことが原因ですが、ベント作業に関しても手動で動かす方法を現場の作業員が知らなかったわけです。 テレビで見ると直径
30センチ程度のハンドルを回すだけなのですが、それが出来なかったからベントが遅れたのです。
このようの現場の作業員が判断ミスをするのは、中央制御室からの
適切な指示がなかったから起きたのです。 中央制御室も停電でメーターが読めず状況の把握が出来なかったのでしょう。 現場との連絡も付かなくなり、中央制御室の指示を仰ぐことも困難だったのかもしれません。
普段から全停電事故が起きた時の対処マニュアルが出来ていればこのような間違いは防げたはずです。
しかし、地震で送電線が倒れて、津波で非常用発電機が水没して動かないと言った想定は考えられなかったのでしょう。 つまり、福島では地震も
津波も同時に起きないと言う前提で原発が運転されていたことになります。
これは日本は「神国」だから戦争には負けないと言った「神話」を信じたこととよく似ています。 戦後でも土地神話が起きて土地は絶対に値下がりしないと言う「神話」が出来ました。 数十年間、同じことが続くと「神話」が出来るようですが、「原発安全神話」も40年間大事故が起きなかったからできたようです。
原発安全神話も30年40年も経てば原発も故障が多くなり材質劣化による亀裂や破断も多くなります。 マンションにしても30年も経てば大規模改修が必要になりますが、原発では、大規模改修は放射能などの影響で難しいことでしょう。
緊急事態における現場作業員の操作ミスや判断ミスは普段からの訓練で防げますが、福島第一では、それが出来ていませんでした。中央制御室でも状況の把握が出来なかったか、「非常用腹水器」の重要性の認識が出来ていなかったのだと思われます。 東電は、停電対策にばかり対策が
集中して移動電源車を用意しましたが、配電盤が水没して万事休すだったのです。
「非常用腹水器」が働いている間に、ポンプ車で海水を流し込む用意をしていれば間に合ったのですが、現場の作業員が、ベントの方法が分からなかったと言うのが致命傷になりました。 ベント出来なければ原子炉本体に注水が出来ません。 ボイラの場合でも、配管は複雑でバルブ操作も
コツがいります。 バルブを一気に開けると蒸気が配管に爆発的に流れ込んで配管を壊してしまいます。 だから、手動のバルブ操作は難しいのです。
原発の発電プラントとインテリジェントビルの管理は規模が違いますが、現場で働く人材の質の低下が感じることがあります。インテリジェントビルも様々な機器が使われているから使いこなすには分厚いマニュアルを読まなければなりませ。しかし、最近は、一生懸命勉強して覚える気が無い人が多くなりました。 原発でもこのような現場の人材の質の低下が起きているのではないでしょうか? あるいは、経費を安く上げる為に下請けを使っているから人材の質の低下が起きているのでしょう。
所長と幹部は、東電の社員でも、それ以外は下請けや孫受けであり、
当然、勤労意欲も学習意欲にも欠けた作業員だから操作ミスをしてしまい、それが、重大な事故を起こした原因になってしまったのだと思います。
このような事は政治家や官僚や感謝の幹部たちは分からないことであり、小泉構造改革によって正社員が減らされて派遣や下請け作業員が多くなり、工場などの事故が多発するようになりました。 派遣や下請けを使っていては、人材の質の低下は免れません。