よーく考えたいものである。われわれは、消費税で幸せだったことがあるだろ
うか。
好不況に影響されにくい安定財源だというのは、年貢をとりたてるお上の理屈
である。
そのために、大赤字の中小零細企業でも、不安定な心をかかえながら、
それこそ安定的に、税金をむしりとられるはめになった。
そのあげく倒産、廃業、失業は増え、グローバル経済の進展のなかで、デフレ
不況の泥沼から抜け出せないのが現状ではないか。
デフレがはじまった年といえる1997年に消費税は3%から5%に引き上げられ
たが、その後の不況で法人税や所得税収入が落ち込み、2011年までに
約12兆円も税収が減少した。
それでも5%という、他国より低税率の消費税で、しかも大部分を国内の金融
機関や機関投資家が買っているからこそ、日本国債は売り込まれることもなく、
低利率を維持している。
5%ていどに据え置いて、むしろ消費税率の伸びしろを残しておくというのは
有効な手だてといえよう。
ヘッジファンドマネジャーのカイル・バスは何度も日本国債売りを仕掛け、
ネット上でも「日本国債危機」説を流したが、同調者はほとんどおらず、日本
国債は微動だにしなかった。
もちろん、国債の94%を日本の機関投資家などが保有しているからだ。
ヘッジファンドがいくら先物市場で「売り」を仕掛けようと、クレジット・デフォルト・
スワップのレートを上げて不安感をあおろうと、骨折り損になる。
日本国債はいまのところ、増税で見せかけの財政再建路線をアピールしなけれ
ばならないほど、心配する状況ではない。
にもかかわらず、短期的な収入増しか頭にない財務省は、ギリシャ・ショックを
利用し、財務大臣、副大臣経験者である菅前首相や野田首相らを巧みな
「ご説明」でソブリンクライシス恐怖症に陥れて、自在に操った。
菅首相が打ち出した消費増税路線が、参院選の大敗北で国民に否定された
にもかかわらず、野田首相は「政治生命を賭ける」という思いつめようで、
勝栄二郎財務省のみごとな手綱さばきに走らされている。
在任中の短期業績だけにしか興味のない経済界のトップ、そこから資金を
得ているシンクタンクのテレビ御用達研究員らが大応援団を編成、財務省
記者クラブでのレクによって洗脳されたマスコミが盲信してつくり上げようと
しているのが「社会保障と税の一体改革」という共同幻想である。
国の借金と家計の借金を、同じ次元で考えるよう読者、視聴者を誘導し
危機感をあおるというのは、ノーム・チョムスキーの言う「合意のでっちあげ」で
ある。そもそも、家計には、紙幣を印刷できる中央銀行は存在しない。
そうやって財務省の機嫌をとり、消費増税の例外ワクに新聞を入れて
もらおうなどと姑息なことを考え、記者クラブ利権につかりながら、年収2000万
円もの記者をかかえる大新聞が、公務員の給料を云々するのもいささか偽善
めいているといえないか。
それよりも、小沢一郎が主張しているように、税金の恩恵に人一倍浴してきた
団体や個人の既得権構造を解体し、予算をごっそり組み替えていくのが肝心
だろう。
「社会の木鐸」であろうとするなら、まず新聞自らが、再販制という価格カルテル
や電波利権を破壊するべきではないか。
もっとも「社会の木鐸」なる言葉も、メディアやそれに毒された専門家の欺瞞性を
多くの人が知ってしまった今となっては、もはや死語であるに違いない。
消費増税大キャンペーンにもひるまず、政権交代時の国民への約束を守るた
め、与党内から反対の姿勢を鮮明にしている小沢一郎ら一部政治家を、党内
民主主義を乱すというタコツボ理論で斬って捨てる翼賛的な姿勢こそが、不況
下の商業主義がはびこる現代マスメディアの病弊といえる。