福島原発事故から1年が経ちますが、結局、まだ、なんの対策もとられて
いないようです。
今回の視察の目的はエネルギー戦略会議の委員の勉強もあるが、府民市民に代わっての視察という面もある。マスコミに入ってもらえば大事なところを報道してもらえるので可能な限りマスコミを入れて欲しいと頼んだが、セキュリティの関係で難しいとか、中が狭いのでというような理由で一切だめということだった。
■不十分な津波対策
議論の結果わかったのは、実はマスコミを入れない理由はないということ。カメラも特定の方向を向けての撮影はダメだが、指示に従えば良いという。カメラなしなら記者でも入れる。ならば、代表取材で一人入れればいいだろうと押し問答したが、結局関電はまったく譲歩せず、プレス締め出しでの視察となった。
この体質が福島原発事故を起こした東電の隠蔽体質と共通するのではないかとの思いを強くする。安全だというなら、それを積極的に見せていけばよいのに、自分たちの都合の良いところだけを見せたいということ。都合の悪いところは見せたくないし、委員とのやりとりも困ったところを映されるのが嫌だということだろう。
作業服に着替えてバスで屋外の視察が始まる。海岸沿いにある防潮堤。
この高さが足りないのでかさ上げの工事が必要だということになっている。しかし、それは緊急対応ではなく中期的課題と整理されていて、今はまだ工事さえ始まっていない。一年以上かかるらしい。では、安全とは言えないのでは? との問いに対して、十分安全との答え。ならば、工事は不要ということかと聞くと、中期的には必要だと言う。意味がわからない。
つまり、ここ1〜2年は大きな津波は来ないが5年後には来るかも知れないと予知しているという意味合いになるが、そんなことは誰にもわからない。再稼働した後すぐに巨大地震と津波が襲ってくるかもしれない。この一点を見ただけでも安全というには程遠いことがわかる。
面白かったのは、この防潮堤を撮影しようとした河合委員に対して、ここは撮影禁止という声がかかったことだ。海にある防潮堤を映してはダメなのかと聞くと、セキュリティの関係だという。こんなもののどこを秘密にする必要があるのかと聞くと、フェンスがあるところはダメだという。なぜフェンスがダメなのかと聞くと、いやいやフェンスがダメなのではなく監視カメラの付いた柱が立っている場所が移るのでダメだという。
確かに一本柱が立っている。しかし、そのすぐ外側の海を漁船が行き来している。海からの撮影も禁止かと聞いたらそれは自由だという。結局委員の一人に対して監視カメラを映さないということで写真撮影が許可された。しかし、彼らが本当に嫌がったのは、工事さえ始まっていない低い防潮堤を映されることだったのだ。だから、マスコミにはこの場所での撮影はさせなかったということがわかった。ますます隠蔽体質を感じさせる。
■むき出し状態で置かれた電源車や給水ポンプ
その後、屋外に置かれた緊急用のポンプや電源車両などを見たが、一番驚いたのは大型電源車の置かれた場所だ。ものすごく切り立った何十メートルもの高さの崖の下にある。ほとんど垂直に近い。崖というより壁と言った方がよいくらいだ。ニュースの映像で見た人ならわかるだろう。よりによってという感じだ。
崖が崩れるのではないかとの問いに対しての答えは、シミュレーションでは震度7クラスの地震でも絶対に崩れないという。まともな感覚ではない。近くの崖の一部はコンクリートで崩落防止措置が施してある。あんな急な斜面が絶対に崩れないと言い張るのは尋常ではない。崩れたらどうしようと考えるのが普通の感覚だ。
コンピューターで計算したから大丈夫だというが、自分の家を建てるのだったら、あんな急な崖の下には絶対に建てないだろう。机上の空論で安全論を振りかざす。安全神話はこうやってできているんだと改めて感じる。大飯原発の地形は非常に複雑だ。急峻な山が海のすぐ近くまで迫っている。坂道が多く、外周の道路などの移動距離も長い。大地震の時にはこの道路が寸断されるだろう。夜間の暴風雨と重なったりすれば、その復旧は極めて困難だ。その時に備えていろいろと対策を打ったということだ。大変じゃないかというと、確かに大変だと思うという返事だった。
そして、最も印象深かったのは、3号機の使用済み核燃料プール。
福島の事故後よく見る青く輝く水の中に静かに沈められた無数の使用済み核燃料だ。なんとなく神秘的なムードが漂う水の中を覗き込むと、全体の3分の2くらいが埋まっているのがよくわかる。大飯原発が順調に運転を続けると何と5〜6年で満杯になるという。
元々は青森の六ヶ所村に運搬して再処理するはずだったのだが、六ヶ所のプロジェクトがほぼ頓挫していて、先の見通しがない。
その点を尋ねると、関電社員は苦しそうに、近いうちに何とかめどが立たないものかと思っているのですが、と答えた。無理だってわかってるじゃないですか、と言うと、確かにそうなんですけど、そこのところは我々のほうでは何とかなるようにと思っているところです、と苦しげな回答。ここは無理があるということを現場の人は十分わかっているのだ。
もう一つ重要なのは、これらの電源車や給水ポンプがほぼむき出し状態で置かれていて、テロの脅威ということをまったく想定していない。ここにあります、狙って下さいと言っているようなものだ。入り口にも数人のガードマンがいるだけ。
重火器で装備した武装兵士を多数配置するのが世界の常識なのに、ガードマンはもちろん拳銃も持っていなかった。何とも危うい。北朝鮮に狙われたらひとたまりもないだろう。こんないい加減なことで再稼働するのかと思うと憤りさえ感じる。
全体としての感想は、こんなことではとてもじゃないが安全とは言い難いということ。ストレステスト一次評価をクリアするためだけに一夜漬けで準備しましたというレベルで、とても総合的な安全対策が整っているとは言えないということだ。
この感想は、委員全員に共通のものだった。来る前は、完璧と思えるような対策が施されていて、専門家でない自分は、おそらく、「やっぱり安全なのかもしれない」という程度に半分洗脳されてしまうかもしれないと思っていた。残念ながら、結果はまったく逆。不安は数倍に増幅されてしまった。
ただ、その責任は現場にはない。
現場の職員は上層部が決めたことをとにかく忠実に実行しているだけだ。我々の意地の悪い質問にも一生懸命に答えてくれた。我々が後で安全だとは思えなかったと言ったら、きっと本社から大目玉を食らうのだろう、と思うと少し心が痛む。(後略)
株式日記と経済展望より
原発の危険性が十分認識されたから、十分な安全対策がとられていると思っていました。しかし、関西電力はセキュリティーを理由にマスコミに十分な取材をさせていないようです。 だから国民は、何にも知らないまま全国の安全対策がどうなっているのか検証することが出来ません。
原発などの危険なものは、そもそも、民間会社で運用するのは無理なのだから国営会社にするべきです。 民間会社だとマスコミの取材も自由に規制することが出来るし、情報の公開もままなりません。それに、電力会社がどんなに大企業だとしても完全な安全対策をするのは無理だと思われます。 そして、電力会社と監督官庁との関係でズブズブになってしまえば安全対策がなおざりになって福島第一原発のような事故が、また、起きることになります。
民間会社だと、どうしてもコストを優先して安全対策は最低限のものになってしまいます。 そうなると1000年に一度と言うような大地震や大津波対策にカネをかけることが御座なりになるのは、当然のことでしょう。 東京電力が、一時的に国有化されましたが、原発だけは原発公社にしてフランスのように国が管理すべきです。
そうすれば自衛隊を配備してテロに備えることも出来ます。
野田総理や枝野経済産業大臣の国会答弁などを聞いていても、当事者能力がなく最高意思決定者としての自覚が無いように見えます。つまり、霞ヶ関に使われてしまって動かされているだけなのです。 しかし、大臣一人が、スーパーマンのように全知全能ではないから多くの補佐官が付きますが、部下を使いこなす名人でなければなりません。
しかし、総理大臣も各大臣も1年も持たずに交代しています。その結果、霞ヶ関が政治を仕切るようになってしまって、今では、震災対策は後回しにして消費税増税に野田総理は政治生命を掛けているようです。被災者にとってはたまらないでしょう。 霞ヶ関の官僚にとっては、震災被害は人ごとに過ぎず、彼らの関心事は、増税だけです。
震災当時の菅総理も対策会議ばかりを沢山作って政府機能を不全にしてしまいましたが、未だに具体的な基本方針が見えてきません。大飯原発の再稼動問題も関西電力の事情だけが、最優先されているように見えます。つまり、枝野経済産業大臣も関西電力の意向に逆らうことが出来ず、関西電力に踊らされているだけなのです。 電力会社は、地域独占企業だから、今までやりたい放題の事をしてきました。
今回の記事を書いた古賀氏は、元経済産業省の官僚であり、自由化や送配電の分離論者でした。 しかし、今では経済産業省も電力会社の支配下になりエネルギー長官の首すら自由に出来るようです。 このようなことが出来るのも電力会社が地域独占経営であり、電気が無ければ何もできなくなるから電力会社はその地域の産業すら支配することが出来るからです。
当面の課題は原発の再稼動をどうするかですが、出来る事は全てやるくらいの決断が必要です。 しかし、古賀氏が大飯原発を見てきた感想から言えば、マスコミにすら公開できないほど何も対策がなされていないと言うことです。 監督官庁である原子力安全保安院は、まったく機能していないようです。 関西電力の意向である原発再稼動に監督が出来ていないことが、古賀氏の視察でわかります。
福島第一原発の災害も東電の隠蔽体質が災害の元になっています。おそらく専門家が見て津波対策の不備を指摘しても東電や原子力安全保安院は揉み潰してきたのだと思います。 そのおかげで、地元の福島県は大変な被害を受けたわけです。
国がこのような状況なので、大阪市の橋下市長が関西電力の大株主として物申す姿勢を示していますが、いったん原発が事故が起きれば電力会社は吹き飛んで株券は紙切れになってしまいます。 同じように東京都や関東各県も東電の大株主ですが、原発が爆発すれば東電も吹き飛んで株券は紙切れになり大損害を受けることになります。 だから、東電に物申すべきだったのでしょうが何もしてこなかったわけです。
もちろんこれには裏があり、東電が都や県の天下りを引き受けていたから骨抜きにされていたのでしょう。 このようなズブズブ利権構造が大災害を生んだ原因なのです。 このような利権を突き崩すには、電力会社の地域独占経営体制を変えなければなりません。 その為には、大阪市や東京都はどれだけのことが出来るのでしょうか?
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