地学ハイキング

名古屋を中心に、地層や地形、化石や鉱物など地学の見学ポイントや地学を中心にしながら、自然や環境問題なども紹介します。

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「中央新幹線(リニア)環境影響評価準備書に対する意見書」書いてみました。
11月5日が締切です。JR東海HPから提出できますので、みなさんもぜひ意見をだしましょう。
HPからの入力は項目ごとに2000文字までになっているので、郵送することにします。

中央新幹線環境影響評価準備書に対する意見書

                                                           20131023

        

意見の要旨

 超伝導リニアによる中央新幹線計画は、その必要性、経済性、環境負荷、安全性いずれからみても必要ないと考えます。

 

はじめに

 

 私は40年ほど前の学生時代、アルバイトで中央新幹線のルート決定のための予備地質調査を行ったことがあります。11月、雪の降り始めた中央アルプスの山の中を寒さや、熊の出没に怯えながら調査しました。決定されたルートは私が調査した場所とは異なりましたが、半世紀以上かけ、中央新幹線が実現することにはそれなりの感慨があります。また、超伝導リニア技術を開発されてきた多くの科学者・技術者のみなさんにも敬意をいだくものです。

 しかし、3・11の東日本大震災と原発事故により、私の意識も、国民の意識も大きく変化してきています。

 「万が一」のことは起こらないのではなく、いくら確率が低くても0でない限り起こるということ。

 電力を原発に頼ることはできないこと。そのために原発に変わるエネルギーの開発と、あわせて省電力・省エネが必要であることです。原発を止めたら、「電気代が高くなる」とか「企業が海外に逃げる」「日本の産業が衰退する」などと宣伝されますが、逆に今こそチャンス。JR東海も「電気エネルギーを大量消費してとにかく少しでも速く東京―名古屋―大阪間を結ぶ」のではなく、さらに省エネで高速な鉄道システムの開発に切り替えていくべきです。

 

1.リニア新幹線の必要性

 きちんとアンケートを取ったわけではありませんが、私も60歳を越しましたので、周りの多くの人たちは、「死ぬまでに一度は乗ってみたい」といわれます。しかしこれは「一度は乗ってみたい」だけであって、必要かどうかについては、「トンネルばかりで景色も見れないし、今の新幹線で十分」という声がほとんどです。

 環境評価準備書では、高速化とあわせて、東海道新幹線の輸送力の限界、東海道新幹線の老朽化、地震・津波など災害時のバイパスとしての必要性などが述べられています。

○高速化について

高速化に対しては、確かに速くなりますし、東京ー名古屋間を40分で移動できるのはまさに「夢の新幹線」です。

しかし、インターネットの普及で、わざわざ人が移動しなくても、もっと低コストで会議や商談も可能です。人口も減少、今以上に三大都市間の人の移動が大きく増えるとは考えられません。名古屋―東京間が40分になったからといって、東京の大学や会社へ名古屋から毎日通学・通勤する人がでてくるでしょうか。時間だけ短縮されても運賃は下がるわけではないので、そんなことができる人は、よほどお金が有り余っている人だけでしょう。

航空路線との競合もいわれますが、少なくとも東京ー名古屋間では、東海道新幹線の方が圧倒的に有利です。航空路線の場合は中部国際空港までの移動時間と運賃、搭乗手続きの時間、安全性からみて、海外旅行時の乗り継ぎを除けば、航空路線のメリットは全くありません。

 環境評価準備書発表の記者会見で、JR東海社長が、リニアの料金は競合する航空運賃なども考え現行の新幹線より700円高くらいにするとし、そのために「東海道新幹線の黒字で中央新幹線の足りない分を埋め合わせる」旨のコメントをしておられたと記憶していますが、リニアが開通すればその分、東海道新幹線の利用者は減少するので、東海道新幹線が黒字のままという見通しはあまりにも甘すぎると思います。

○東海道新幹線の輸送力の限界について

東海道新幹線の利用者数もずっと横ばい状態で増えているわけではなく、季節的に混み合う時期もありますが、「積み残されて帰れなかった」ということも聞きません。日本人口も確実に減少していきますし、これから先、需要が大幅に伸びる見込みはないと思います。

○東海道新幹線の老朽化、地震・津波など災害時のバイパスについて

 高度経済成長期に作られた様々な構造物が老朽化し、事故・災害を引き起こす事件が相次いでいますので、東海道新幹線についても当然その対策は必要です。また、東海地震など巨大地震についての被害想定も以前より大きく引き上げられてきており、東海道新幹線についてその対策は緊急の課題と思います。しかし、リニア新幹線を建設するとなればJR東海の資金や人材の多くはリニア建設に振り向けられることになり、東海道新幹線に対するこれらの対策が相対的に弱くなる懸念を持ちます。リニア開通後もJR東海のリニアに対する財政支出は続くことになり、結果として現行新幹線の安全対策が後回しになることを心配します。

 大規模災害時のバイパスは必要ですが、基本的には東京―名古屋−大阪の三大都市間の人の輸送しか想定していないリニア新幹線にどの程度の効果があるかは疑問です。ほとんどがトンネルなので、東京・名古屋・大阪の駅が被害を受ければ全く機能しません。それよりも、道路網や中央線などの現行営業鉄道路線の保守・整備、大規模災害時にも人と物資の輸送路とし活かせるような計画こそ必要です。原発事故では「万が一」のことに多大な費用をかけることをためらってきた電力会社ですが、JR東海は「万が一」の大規模災害に対して、役に立つかどうかもわからない「リニア」に莫大な投資をするということになります。

 

2.リニアの電力消費量

 東海道新幹線が高速化とあわせて、騒音対策や省エネなどに様々な対策を取られてきたことには敬意を表します。

 リニア新幹線は500km/時という超高速と引換えに、現行新幹線の3倍あるいはそれ以上の電力を必要とすると言われています。春日井市で行われた説明会では、「消費電力は東京名古屋間の開通時でピーク時約27万KW、大阪まで開通したときで約74万kW。電力会社の供給力は東電5813万kW,中電2817万kW、関電2932万kW(H254月現在)に比べて十分小さく、夏のピーク時でも余剰電力の範囲内」という説明でした。しかし、ピーク時約27万KWという値は中電の発電量中電2817万kWと比べれば約100分の1と決して小さな値ではありません。

 多くの企業が、少しでも省電力・省エネを心がけ、自らも発電施設を設けたり、余熱や自然エネルギーを利用した発電までして取り組んでいる時、私企業とはいえ、国家プロジェクトでもある新幹線計画はエネルギー使用について省電力・省エネに配慮されたものであるべきです。電力供給は電力会社の責任というだけでなく、巨大な電力を消費する企業として省電力・省エネは企業の責任でもあります。電力不足を口実に原発再稼働がされようとしている一方、国民の多くは脱原発を望んでおり、膨大な電力を必要とするリニア計画はやめるべきです。
 リニアの海外輸出にむけての実証運転として、将来、日本の輸出産業として育てていくという戦略もあるかもしれませんが、省エネは日本だけの課題ではなく、人類共通の課題でもあります。JRが世界に果たすべき役割としてもリニア輸出は問題です。エネルギーを大量消費するということは環境負荷も大きいということになります。
 宮崎の実験線では、エアロトレインの実験も行われ、プロペラ推進のため騒音などの問題があるものの、エネルギーは現行新幹線よりもさらに少なくて500km/時を達成できると聞いております。
 また、現行の新幹線でも、リニア中央新幹線の路線で直線性が高まれば、500km/時は無理としても、現行新幹線よりスピードアップは可能なはずです。

 

3.経済性について

 JR東海は私企業ですが、日本の輸送の動脈を担う公共交通機関でもあります。経営的に破綻したとしても、国家プロジェクトとして原発推進を私企業である電力会社にやらせ、その結果おきた原発事故での東電と同様、国民の税金をつぎ込んで対応せざるを得ません。私企業であるから、環境基準などをクリアすれば自由に進めて良いというものではありません。

 リニア新幹線の建設費は南アルプスや中央アルプスを貫くトンネルでの難工事も予想され、想定よりも大きく膨らむ可能性があります。また需要予測も先にも述べたように、それほど伸びるとは考えられません。JR東海の経営が傾いてくることになれば、リニアだけでなく東海道新幹線や在来線の保守やサービスの低下にもつながります。JR北海道で起きているあまりにもずさんな保線とそれに起因する事故の続発と同様なことがJR東海でも起こることになりかねません。

 「夢の新幹線」など「夢」という言葉だけが先走りして、経済性についても「夢」の部分だけが語られ、マイナス面を含めての議論は十分されていないと思います。このまま、「夢」だけで計画が進行していってしまうことは、将来、大きなつけを負わされることになると危惧します。

 

4.安全性について

 私の住む春日井市では多くの市民が、リニア建設時の工事の騒音や振動、土砂運搬のダンプ、亜炭坑道の存在、地下水の汚染や枯渇など。運行時の騒音や振動、電磁波への不安、事故時の対応など多くの不安や疑問を抱いています。JR説明会はどの会場も多くの市民が参加されました。市民の不安や疑問に対しJR側の回答は「基準以下で問題ない」ということでしたが、「基準」そのものが実際の市民生活上どの程度の影響があるものか理解できず、不安は払拭されていません。

 リニアの路線は中央構造線や阿寺断層などいくつもの活断層を横切ります。JRの説明では地下は地震に対しては地上の構造物より安全といわれます。このことは確かに正しいのですが、当たり前のことですが、震源となった断層は地下でもずれます。東海道線の丹那トンネルは工事中発生した地震の地震断層によりずれたことは有名です。リニアのトンネルも横切る断層が震源となった場合には数mずれることになります。リニアは1時間に5往復の運行ということですから、1時間あたり10本の列車が通過することになります。地震時には、安全に停止するといいますが、ずれた部分に列車が遭遇する確率は低くないはずです。

 名古屋市内でも最近、熱田台地の縁、堀川沿いと大曽根から鶴舞にかけて南北に伸びる2本の活断層の存在が指摘されています。リニアの路線はこの断層を横切ることになります。ほんとうにこのような活断層が存在するかどうかは、名古屋の地震防災上もぜひ知りたいところです。工事により30m〜40mの地下で人工露頭ができるなら確かめることがでますが、リニアのトンネルはシールド工法で掘られるため工事時にもその確認はできないでしょう。

 5km毎に非常口が設置されるとはいえ、事故が起きた時の対応は地上の場合と比べて何倍、何十倍もの困難さを伴うものとなるでしょう。

 活断層を横断する路線部は、地下だから安全というわけにはいきません。また活断層をすべて避けて路線を設定することは不可能です。どのようにすれば安全なのか私にはわかりませんが、地下深所よりは地表の方が対応しやすいと思います。

 

 運転手が乗務しないことに不安を抱く声もありますが、私は運転手が乗務し運転することになれば、運転手は精神異常になるのではと思います。せまいトンネルを500km/時もの超高速で走行したら目の前にどんな「風景」がみえるのか想像しただけでも目が回りそうです。運転手は乗せなくても安全なのではなく、運転手を乗せることができない乗り物と思います。

 

5.おわりに

 JRグループは国鉄民営化の際に24兆円もの債務を国民に「肩代わり」させている。毎年、数千億円の税金で穴埋めされているそうですが、今も19兆円近くが「国の借金」となっているということです。JRは分社化されたので、震災で壊れた東北の鉄道復旧に直接お金を出すわけにはいきませんが、リニア建設が出来る余裕があればその利益の一部を国庫に入れ、国民に返すべきでしょう。そうすれば国はそれを東日本大震災で被災した鉄道の復旧に充てれます。

                                以上                          

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