【共謀罪】 法務委員長 解任決議案に対する賛成討論 (本会議原稿)

法務委員長 解任決議案に対する賛成討論 (本会議原稿)

 
                                          平成2967                                          民進党・新緑風会 小西 洋之
 
民進党・新緑風会の小西洋之でございます。
私は、会派を代表して、本解任決議案に対し、断固「賛成」の立場から討論を行います。
 
冒頭、秋野委員長におかれましては、社会保障の専門家として、この良識の府を舞台に、憲法の生存権の具現化のため格別の取り組みをなされてきたそのお姿に、私も一後輩議員として深い尊敬の念を抱くものでございます。
しかし、憲法と国会法が定める法務委員長のこの上なく重大な職責に照らし、首相官邸及び自民党に言われるがままの「職権濫用」の有り様は、立法府の存立そのものを否定し、国民の自由と尊厳を著しく侵害する違憲立法を主導する暴挙として、以下、心を鬼にして、断固厳しく問責を申し上げます。
 
○刑事局長の常時出席の職権濫用採決
 秋野委員長が解任されるべき理由の第一は、委員長が「忖度」を通り越した首相官邸の指示、すなわち、「総理のご意向」に従って、憲法及び国会法令に違反する政府参考人出席を強行したことであります。
 衆議院ですら、当初は開催日ごとの強行採決の暴挙であったのに、秋野委員長はあろうことか、この良識の府において、我々国会議員の大臣質問権を無きものにする「刑事局長の常時出席」を法案審議の初日の会議の冒頭から、いきなり強行採決したのであります。
 
 これは秋野委員長による、安倍総理という絶対権力者への「忖度」によるものだったのでしょうか。
いいえ。答えは明白でございます。加計学園や森友学園問題、さらには、強行採決の前日に被害者の告発会見がなされた総理のお友達記者の犯罪捜査への介入疑惑など、安倍政権を巡る重大極まりない違法行為疑惑への国民の怒りがいっそう大きく燃えさかる前に、会期中に何が何でも共謀罪法案を強行採決しろ、そのためには最初から刑事局長を答弁者として審議を強行しろ、という強固なる「安倍総理のご意向」に従ったのであります。
 
これには明確な理由があると考えます。
仮に、ある総理大臣が、自分が全責任を持って任命した大臣が、法案審議が一秒もなされていない段階で、法務委員長から「この大臣は答弁能力が無い。刑事局長に答弁させる」との本音に基づく無礼千万なる扱いを受けた場合に、これを大人しく受け入れる訳がないのであります。
 
更に、憲法66条では、内閣の各大臣は国会に対して連帯して責任を負うとされています。要するに、国会から答弁能力が無いとされた法務大臣を擁する内閣は、それ自体で「内閣として無能かつ失格」なのであります。
 
このように、自分が任命した大臣が無能と断罪され、更には、自分の内閣そのものが失格と烙印を押される屈辱を、常日頃「レッテル貼り」や「印象操作」にすら人一番敏感な安倍総理が何の異議も唱えない、例えば、総理大臣の座席から秋野委員長に対し必死になってヤジの一つも飛ばさないことは、安倍総理の普段の委員会室での異常なる振る舞いに照らし、到底理解できないのであります。
 
 そしてこの断固とした「総理のご意向」が、国民の目の前でまざまざと示された瞬間がございました。
 
それは、やはり審議の初日、民進党の有田委員の質問に対し、勢い良く手を挙げ「我こそは」と答弁しようとした金田大臣を、安倍総理が怒りの表情で力づくで押さえ付け「答弁阻止」した前代未聞の事件でございます。
申し上げるまでもなく答弁者の指名は委員長の職権でございます。ところが、安倍総理が「答弁者を刑事局長に強行指定する暴挙」に対し、秋野委員長は何らの議事整理権を行使することもなく、まさに「総理のご意向」に従ってしまったのであります。
 
 思うに、国会の常任委員長たるもの、国権の最高機関の責任者の矜持と国民に対する責任感を持って、あらゆる圧力と闘い、全政治生命を懸けて公正中立な適正審議を確保して頂く必要があるのであります。それができないのであれば、憲法の三権分立の趣旨にも照らして、委員長は即刻解任されなければならないのであります。
 
○違憲立法である共謀罪法案の強行
 解任の第二の賛成理由は、委員長が強行採決へと推し進める共謀罪が、かつての治安維持法が宗教団体やその教組をも弾圧した悲劇の史実が示すとおり、稀代の違憲立法であり、悪法であることであります。
共謀罪法案は、憲法31条が求める構成要件の明確性や厳格性において、「組織的犯罪集団、実行準備行為、共謀、計画」等々の中核概念についてすら、「下見と花見の違い」答弁が象徴するように、未だに何が何であるのか国会も国民もさっぱり分からない状態にあります。
 
そもそも、委員長が行うべき職権行使とは、こうした、共謀罪法案の憲法違反の問題、その濫用の危険や、「一億総『監視』社会」を生み出す危険の解明のために、適正審議を実現することにこそあるのであります。
 
例えば、本法案は、共謀罪の適用犯罪である277の犯罪のそれぞれについて、その必要性と合理性を詳細に立証した「立法事実」に値する政府資料が存在せず、この意味でも審議の前提を欠く違憲立法でありますが、「立法事実が提出されない限り審議せず」と理事会の討議を主導するのが、憲法及び国会法に基づく本来の委員長の職責なのであります。
 
さて、安倍総理は、こうした違憲立法の真相を国民に隠蔽するため、今や安倍総理の代名詞である禁じ手を連発しています。
それは、加計学園事件ですっかりお馴染みとなった「印象操作」です。
 
政府によるこの法案の名称は「テロ等準備罪」ですが、しかし、277の犯罪の中で「テロ等準備罪」との罪名の犯罪は一つもありません。テロという文言すら当初の政府原案には存在しなかったのであります。また、そもそもTOC条約はテロ対策目的ではなく、加盟のために共謀罪を創設した国は二カ国しかなく、しかも我が国だけが「包括的な共謀罪の創設」という究極の逸脱に及んでいるのであります。
 
要するに、「東京オリンピックのためにテロ等準備罪が必要だ。なければ開催できない。」と国民に対し不当な「印象操作」を必死に行っているのが、安倍総理本人なのであります。
なお、一昨年の空前絶後の違憲立法である安保法制審議においても「平和安全法制」という自衛隊員や国民の尊厳を蹂躙する「印象操作」が強行されました。
 
しかし、法務委員長は、こうした不法ともいうべき安倍内閣の「印象操作」を正すどころか、安倍総理のラジオ番組における「野党が不安を広げる議論を延々としてる」との旨の「法務委員会の存立そのものを否定」する「レッテル貼り」・「印象操作」の暴言について、野党理事の抗議を放置し、委員会の職権開催を強行したのであります。
 
○共謀罪を絶対に「組織的憲法違反集団」である安倍内閣に渡してはならない
最後に、この法案の濫用の危険について申し上げます。
 共謀罪は、安倍政権の下で必ず濫用される。それは火を見るより明らかな真実であります。
 
安倍総理は5日の決算委員会で、加計学園の獣医学部新設について、「総理は関与できない仕組みになっている。国家戦略特区諮問会議でしっかりと議論がなされ、そこで決まる。介入する余地はない。」との旨を述べています。
しかし、この諮問会議の議長は他ならぬ安倍総理であり、そして、52年ぶりに解禁した学部新設を事実上加計学園のみに独占させた内閣府・文科省の共同告示を発出した担当大臣は、内閣府所管大臣たる安倍総理本人なのであります。
 
要するに、加計学園の獣医学部新設は、法制的には安倍総理ただ一人のみが独占する「内閣総理大臣の職務権限」に基づき行われたものなのであります。
 
更に、安倍内閣は、自らの責任で任命した文科省前事務次官が「本物である」と証言する「総理のご意向」等を示した文書について、「誰かが勝手に作ったもの。行政文書にも当たらない。怪文書だ。」との旨を主張しています。しかし、恐らくは、元霞ヶ関官僚であられる秋野委員長や不詳私も、これが官僚が作成し組織的に使用した「行政文書」そのものであることは一見にして明らかなのであります。
 
 このようなまさに「黒を白と言いくるめる類い」の法制度の濫用解釈を乱発する行政府に対し、何故に、委員長は法案審議を強行されるのでしょうか。ひょっとして、首相官邸においては、早速この共謀罪を使った言論封殺の意図があるのではないでしょうか。
 
実は、民進党や報道機関が入手した「『官邸の最高レベル』との文書の配信メール」、すなわち、メールの送受信欄と同姓同名の職員が現に在籍することが確認されているメールですが、もしこれが、安倍内閣の主張どおり、出所不明等の文書、すなわち、文科省職員の作成した文書でもなく行政文書でもないとされるのであれば、なんと、その民進党への提供などが、共謀罪法案に明記された「偽造公文書行使等」の犯罪に該当すると解されるのであります。
 
とすると、前事務次官の告発にあるように「公平、公正であるべき行政の在り方がゆがめられた」、すなわち、違法行為による「法の支配の破壊」に対して、憲法15条に定める「全体の奉仕者」たる公務員の良心に照らし信念を持って立ち上がった文科省の現職員や前事務次官に対し、これまでは「総理のご意向」に粛々と従って獣医学部新設に励んできたお役所たる「団体」、あるいは、その粛々たる担当職員等の集団たる「団体」であったのに、突如その「団体の性質が一変した」として、これを違法な「組織的犯罪集団」であるとレッテルを貼りつけ、共謀罪を適用する、あるいは、その適用を威嚇することもできるのであります。
 
 共謀罪は必ず濫用される。
国家権力最大の発動である戦争を禁止した憲法9条すら、法論理も何もない「昭和47年政府見解の恣意的な読み替え」という非科学的不正行為で解釈変更を強行し、そして、他の憲法や法律の条文を濫用解釈し、さらには、森友・加計学園問題等々を引き起こしている「組織的 憲法違反 集団」であり「組織的 法令濫用 集団」である安倍内閣が、自らの権力を何が何でも維持するため、手に入れた共謀罪を濫用しない訳がない。
 
その危険を国民に訴え、断固共謀罪を廃案に追い込むために会派を挙げて全力で闘う決意を申し上げ、法務委員長解任の賛成討論とさせて頂きます。
 
 ご静聴ありがとうございました。
以上

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