全体表示

[ リスト ]

1. 東京電力の福島原発の事故に伴う損害に対する仮払い被害者と東京電力の間で賠償金額を確定した後に支払われる「本払い」に先立つ賠償金の一部前払いに相当するもの)を、国が行うとする野党提出の「仮払い法案」の与野党修正協議が昨日に決裂し、同日の東日本大震災復興特別委員会で野党案が修正前の原案のまま賛成多数で可決されました。
そしてそのまま、本日の参院本会議で可決されるところとなり、今後、衆院に送られる予定です。
 
2.本法案は、本来東京電力が行う被害者への仮払いを、国も東京電力と同じ立場で行うことにより被害者の救済(賠償)を迅速化するというものですが、野党の原案には以下のような問題点があり、福島県選出の増子議員とともにそれを修正する協議責任者(担当理事)が私でした。
 
  なお、この法案に密接に関連する法律である原子力賠償支援機構法案が現在衆院の復興特委で審議にかかっております。
     これまで東京電力が迅速かつ適切な仮払いを進めることが出来なかった、そして現時点では本格的な賠償(= 本払い)の目処が立っていない最大の理由は東京電力の資金繰りの問題にあります。これを解決するために、東京電力への被害者への賠償資金を確保させる仕組みづくりの法律が上記の支援機構法案です。
 
  つまり、いくら仮払い法案を成立させても、その仮払いの資金を確保させる仕組みを作らないと東電に国の(仮払い金の)立て替え払いによる債務を増加させるだけで、これは最悪の場合(= つまり、支援機構法案が野党の抵抗でいつまで経っても成立しない場合)、東京電力の信用不安を引き起こし、現在進めている仮払いも、そして将来の本払いも不可能となってしまいます。
  その意味で、支援機構法案は仮払い法案の前提となるものであり、また、制度を執行した時に内容的にもそれと整合するようなものに仮払い法案を修正することが私の任務でありました。
 
 
■野党の仮払い法案の問題点
 
 今後、我々の協議内容を引き継いで衆院で修正協議が行われるため、以下、714日の東日本大震災復興特別委員会での与野党の質疑で明らかになっている範囲で記させて頂きます。
 
① 国と東京電力の役割分担が規定されていないこと
野党の原案では、東京電力と並んで国が仮払いを行うことにより、被害者から見て賠償の請求先が二者存在することになり、しかも、その二者は異なる基準・ルール、手続きで異なる金額の仮払いを行うことになるため(※被害者は両方の仮払い金を受け取ることは出来ません)、被害者に対して大きな混乱を生じ得ること。
 
しかも、野党の説明では国が行う仮払いの下請け事務を東京電力が行うとしており、これだと東京電力は自らの仮払い業務(現在1,000人体制、将来的には5,000人体制)を行いながら、同時に国の行う仮払い業務の負担を担うことになり、明確な役割分担がないままでは仮払いの主役である東京電力の業務に支障をきたし、却って被害者の救済を遅らせることになりかねないこと。
 
何より、東京電力に代わって国が無限定に仮払いを行う仕組みを作ると、東京電力が国の仮払いに甘えて、あるいは、重複払いや過払いなどを懸念して、本来自分たちで取り組むべき仮払いを手控えたりする可能性があること。
 
かといって、国が今から東京電力並みの1000人以上の組織を整えて仮払い業務を進めていくことには時間的にも容易なことではなく、結局、そうしている間に原子力賠償支援機構法案の成立による東京電力の仮払いの拡充とその後の本払いの開始によって相対的に役割を失っていくことが予想されます。
 
※ 以上、仮払いの主体を東京電力に一元化して国はその資金繰り援助の仕組みを作るのが実体的に考えて一番効率的なやり方であるはずですが、野党案は国と東京電力の役割分担なく、国も直接被害者に支払いを行うという仕組みのため、制度の運用にあたって大きな混乱を生じる可能性などが容易に懸念され、それを修正する必要がありました。
※ 国の役割分担としては、東京電力が事故収束費用等のために十分な金額の仮払いを行えない時にその上積み分を補填することなどが考えられます。
 
② 税金で行われる国の仮払い金の東京電力への求償の仕組みがないこと
被害者救済のためとはいえ、原案においては、国民の税金からなる国の立て替え払いを保証する仕組みがない(= 東京電力が後になって、国に立て替えてもらった分を国に支払わないと言えばそれで済んでしまう制度となっている)ため、①の役割分担の不在と相まって、法律上の責任のない国民負担が生じる恐れがあること。
これについては、一般の民事の損害賠償訴訟でも、どれだけの事実認定でどれだけの責任が認められるかは個別の賠償事案ごとに判断されます。
 
この度の原発事故で住民の方、企業の方、農林水産業の方々などが被っている大変な被害を考えると、出来る限り迅速に適切な仮払い金を支払う必要がありますが、かといって本来的に国が支払うべき立場にないもの(※ この点、政治判断として原子力政策を推進してきた国の責任に鑑み被害者救済のために国に一義的な賠償責務を課す立法もあり得ますが、野党案もこうした立場は取っていません)を東京電力に後からきちんと求償出来ないのでは、実体的に考えても何事も慎重な行動様式を取る国の公務員が行う支払い事務は機能し得ないと思われます。
 これに対し、私達の提案した案は、実際の国の仮払い業務体制の設計を見据えて、それを踏まえた被害者の迅速な救済のために最大限に合理的な国から東京電力への確認の取り方を可能とするものでした。
 
  
  以上の他にも、(a)国の仮払いを行う担当大臣を誰にするか(原案では文部科学大臣となっています)、(b)原案では国の仮払いの下請け事務を被災県の福島県などに担わせることが出来るようになっていることがおかしい、(c)原案では法律の施行がわずか10日後とされているのが、専門家も交えての何十以上の賠償項目の支払額の認定基準作りや、支払いの受け付け、審査・決定を行う組織整備などがこのような期間で行うことは到底不可能なことなど、幾つかの問題点がありました。
しかし、実は、上記の①、②の論点を含め内容的には殆どの協議事項で与野党で修正について基本的な合意に達しておりました。特に、最大の対立論点については、私が提案した巧みな条文技術で合意に達しておりました。
 
3.結果的には、諸々の政治的な判断もあり、大変遺憾ながら協議打ち切りになったと理解しておりますが、いずれにしても、今後の衆院での修正協議は私達の考えが反映されることは確実であり(私も何らかの立場でサポートすることになると思います)、結果として、その目的に反し実際にはほとんど機能し得ない内容の法案を被害者救済の観点から最大限機能するものに変えることが出来たと考えております。
 
今後、衆院での修正後にまた参院に戻ってくるこの仮払い法案と、それの前提となる原子力賠償支援機構法案をセットで成立させる仕事に全力で取り組んで参ります。
 
4.最後に、上記のように協議自体は大きな意義があり、また、野党の協議担当者と真摯に非常にレベルの高い政策協議を行うことが出来ましたが、一旦決裂した後の一部の野党の政治的パフォーマンスは実に見苦しく残念なものでした。
 
 現実的にはおよそ機能しない制度のままの原案を委員会採決し、それを本会議に送り、しかも、自民党の要求により、政治的パフォーマンスのためだけに通常の押しボタン採決と異なる記名採決(各議員が名前の書かれた投票札を持って議長の前の採決箱に入れていくやり方で、いわゆるテレビ的に絵になるやり方)で行われました。
 
 被害者救済のために機能しない法案であることを自分達もはっきりと認めその修正に同意もしていたにもかかわらずそれを原案のまま採決すること自体がおかしいのに、採決に当たってはそれを国民向けに最大限政治的に演出して見せる。同じ議会に属するものとして、心底情けない思いでした。
 
また、この度、私は修正協議の責任者として委員会の締め括り総括質疑も担当しましたが、そこでまた、実に情けない野次を一部の野党議員から浴びました。ある意味で法案審議の主役として野次を浴びる体験は初めてでしたが、審議されている法案の内容を理解すらせず(これは本当です)、しかも、議会人としての良識に欠ける方々の振る舞いはこれまた実に情けない思いでした。
 
私は信念で仕事をしているので、このようなことには全く動じませんが、本会議での採決を含め、こうしたあり様を一種のゲームと割り切るか、いや、妥協を本質とする政治にあっても最低限守るべき論理性と合理性を尊重しない姿勢は間違いで、その間違いのままに本来的に議会が果たすべき機能が果たされず結果として国民の幸せが犠牲になっているという認識にこだわり続け、議会改革に取り組む議員であり続ける所存です。
 
 イメージ 1
※修正協議の模様
 
イメージ 2
※締め括り総括 質疑

「無題」書庫の記事一覧

閉じる コメント(2)

顔アイコン

良識の府でなくなった参議院は、存在価値が全くなくなってしまいます。連日連夜の小西さんの奮闘に期待しています。与野党問わずいずれ小西さんの目指すところに参議院議員のみなさんが団結してくれると信じています。

2011/7/23(土) 午後 7:08 [ ガネイシャ ]

顔アイコン

野田さんが総理大臣になりました。所信表明演説にあるように丁寧な議論の積み重ねが出来ることを期待していますが。立法府としての国会議員の資質が気になります。国民はこの非常時にしっかりとした政治を期待しています。粘り強く戦っている小西さんに期待しています。

2011/9/14(水) 午前 4:34 [ 千葉サポーター ]


よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事