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去る4月22日の参院予算委員会において、安倍総理がNHK国会中継の最中に、私を指差して「うるさいから黙っていてもらえますか、小西さん。子どもみたいですよ、あなた。」と発言し、さらにこの総理の言動に対する議場からの非難に対して、「いや、今、指ささないと分からなかったから、彼は。」と重ねて発言する一幕がありました。
 
この件の事実関係についてのご説明と、安倍総理への批判について下記に記させて頂きます。先に要点を申し上げれば、以下のようになります。
 
(1) 「公務員による拷問の絶対禁止等」を定めた憲法36条について、安倍総理がその内容を何も理解していない、また、執行上の憲法解釈権限を有する内閣の総理として絶対に許されないでたらめな答弁をした。
 
(2) それに対して、議会に所属する一員としてこうした憲法をねじ曲げる解釈見解を放置することはできないとの判断から、正しい解釈を安倍総理に教えて答弁を修正させるために、また、質疑者の民主党の白眞勲議員が委員会においてより深い追求を行うことができるように発言した。
 
(3) それに対して、安倍総理は、自分の過ちを議場で指摘されたその場の状況にいたたまれなくなり、私の名前を呼びながら攻撃を行ってきた。
 
※ なお、こうした「質疑者でもない議場の委員をテレビ中継中に攻撃する」総理の言動は、殆ど例のない異例なものです。例えば、野田総理在任の間、私は一貫して予算委員会に所属していましたが、野田総理はいかに自民党の質問者や議場の委員から議会にあるまじき罵詈雑言を浴びても、決してその威厳を失うことがありませんでした。
 
 
本件については、国民の皆様の一部の方々からインターネット上でご批判を頂いております。さらに、安倍総理を擁護するメディアによる事実をねじ曲げたネット記事が存在します。
こうしたことから、私としてはすぐにこのブログ上でご説明等をするつもりでおりましたが、法案作成や委員会の公務などのためにこれまでの間、どうしても不可能であったことをお詫び申し上げます。
 
 
1.事実関係
 
民主党 白眞勲議員による自民党憲法草案13条及び18条について、安倍総理の誤魔化し(「自民党総裁ではなくて総理大臣だから」などと逃げまわり)、しどろもどろの答弁が続いた後に、自民党草案36条の質疑に入った。
※ 13条は私が追求した条文ですが、未だに自民党草案Q&Aをその中身も分からずに読み上げる答弁しか出来ない状況にありました。
 
ポイントは、なぜ、自民党草案36条で「絶対に」という文言を削除しているのかということです。
 
 
■現行憲法36条
公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。
 
■自民党草案36条
公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる禁止する
 
 
 この削除の理由を問われた安倍総理は、以下のように答弁しました。(以下、議事録をそのまま引用)
 
 
絶対にというのは、わざわざ絶対にと書く必要がないということであります、そもそもそれは否定されているわけでありますから。
絶対にというのが現行憲法になぜあったかというのは、それはそもそも進駐軍が作った憲法だからなんですよ。つまり、それを、絶対にということを日本人に強く言った訳でありまして、だから、絶対に・・・(発言するものあり)うるさいから黙っていてもらえますか、小西さん。子どもみたいですよ、あなた。
それで、そこで申し上げますと・・・(発言するものあり)いや、今、指ささないと分からなかったから彼は。(発言するものあり)
 
 
 文章の中で太字にした(発言するものあり)が私の総理への発言箇所です。
この時、私は以下のように発言しました。
 
「(「絶対に」という言葉があるのは、) 戦前の治安維持法下の特別高等警察による拷問の歴史などを踏まえてのものだ
 
 私のこの発言(いわゆる不規則発言)は議事録に一言一句の内容は掲載されませんが、参議院インターネット審議中継で注意深く聞いて頂くと「・・・特別高等警察・・・」という私の発言を聞き取って頂くことができます。
 
 つまり、安倍総理は、実は、当時も法律で禁止されていたにもかかわらず、人間の尊厳を踏みにじる非人道的な拷問などが横行していた戦前の歴史を踏まえてこの36条の「絶対に」という文言があることに全然触れずに、「進駐軍が作った憲法だから」、「進駐軍が日本人に絶対という言葉を押し付けたのだ」と言った趣旨の答弁をしているのです。
 
 
 このようなことは、正しい憲法解釈を答弁すべき法的責務を有する内閣総理大臣を三権分立のもと監視する憲法上の使命を担う議会に所属する一人として、決して看過することはできません(※私の発言が正しいことは下記の「2.」ご参照)
 
 
また、こうした暴言そのものである答弁を放置しておくと、国会の議論の質自体が劣化していくことにより、ひいては国民の自由と権利を守る議会の機能自体を喪失してしまうことになります。
 
特に、この度の、戦前の特高や憲兵による拷問など特別の歴史的経緯にもとづく憲法の規定は、それを忘れるとあっという間にその意義は失われ、また悲惨な歴史が繰り返されることになります。
※ 近年の検察組織による証拠捏造事件にあるように絵空事では決してありません。
 
 
 以上、NHK放送では議場内の不規則発言は殆ど音声として拾われないために、こうした事情が全く分からずに不快な思いをされた国民の皆様には大変申し訳なく存じます。
 
 しかし、仮に、また再び同じ状況に直面しても、真に国民の皆様のために、そして、憲法から命じられた国会議員としての使命を果たすために、信念を持って同じ発言をさせていただきたい所存であります。何卒ご理解を頂きたく存じます。
 
※ なお、その後の石井予算委員長の「私語をやめてください」との発言は、それ以前の安倍総理のしどろもどろな答弁に対する議場内の発言や、自民党議員による白眞勲議員への妨害発言に対するものであり(白議員が背後の自民党議員に対して「静かにして下さい」と発言する一幕もあった)、私の発言やそれを契機とした議場内の与野党議員の発言のみを指していたものではないと理解しています。
 
 
2.36条「絶対に」の説明
 
 安倍総理が、私との質疑によってその御名前すら知らないことが明らかになった戦後を代表する憲法学者である故芦部信喜教授の「憲法(第四版)岩波書店」には以下のように述べられています。
 
「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」(三十六条)。
(1) 被疑者または被告人から自白を得る手段として諸外国で行われた拷問は、日本でも明治憲法時代、法律上禁止されていたにもかかわらず、実際にはしばしば行われたので、憲法でとくに「絶対に」禁ずることにしたのである(刑法百九十五条参照)。
 
 
さらに、同じく安倍総理がその御名前すら知らなかった現代を代表する憲法学者のお一人である高橋和之教授が執筆陣のお一人として名を連ねる「憲法Ⅰ(第5版)有斐閣」にも以下のように述べられています。
 
一 拷問の禁止
 憲法三十六条は、「公務員による拷問・・・は、絶対にこれを禁ずる」と定める。近代以前には、処罰するためには自白が必要とされていたこともあって、自白させるための拷問が法的に許容されていた。日本でも、明治の初期までは同様であったが、その後、ボアソナードの進言などもあり、拷問禁止に向けての改革がなされ、一八八二(明治一五)年施行の旧刑法において、公務員による拷問を犯罪として規定し、現刑法に引き継がれている(百九十五条、百九十六条)。このように、法制上は拷問は禁止されていたが、しかし、戦前には、事実上拷問が後を絶たなかったのは、周知のことであり、日本国憲法は、この反省にたって本条を規定したのである。
 
※上記の下線部分はともに小西記入
 
 
この二冊は、現在、最も多くの大学やロースクールで使われている憲法の教科書です。
 こうしたものの内容どころか、こうした教科書の存在すら安倍総理は知らずに憲法改正を唱えているのです。
 
 「安倍総理は憲法改正を唱える資格は全くない」、「安倍総理が憲法改正を唱えるのは10年早い」と信念を持って申し上げます。
 
以上の理由から、上記のような発言を行った次第です。こうした私の議員としての発言が、安倍総理がいうように、①「子どもみたいなもの」なのか、②「指ささないと分からないもの」なのかについては、国民の皆さんのご判断に委ねたいと思います。
 
 
また、議場の記者席において、この一部始終を聞いていたにもかかわらず、事実をねじ曲げ、私を不当に貶める報道をしているマスメディア(今なお、ネット上に記事があります)はこちらが法的措置に訴える前にその報道姿勢を改めるべきであることを強く指摘します。
 
ちなみに、自民党憲法草案が成立すれば、「公益及び公の秩序」の名の下にこうしたマスメディアをいかようにも取り締まることができる法律をあっという間に作ることができますが、もちろん、そうした戦前のような世界を防ぐために、力の限り自民党草案と闘って参ります。
 
 
3.閣僚や同僚議員の理解
 
 なお、この安倍総理とのやり取りの後に、閣僚席に座るある大臣が、閣僚席の前の最前列に座る私の方を見て、視線を合わせながら深く頷いて下さいました。この方からは、前回の質疑及びその後の委員会の機会でも同様の有り難いコミュニケーションを頂いております。
 
さらに、与野党の同僚議員から、「大切な発言をしてくれた。(我々は歴史を忘れてはならない)」、「私もかつて安倍総理に、テレビ中継の最中に指を指されて名前を言われたことがあった。」といった発言を頂いたことをご報告申し上げます。
 
いずれにしても、安倍総理のような「子どもがおもちゃを扱うがごとくに憲法を破壊しようとしている」政治家が、最大与党の総裁として、そして、内閣総理大臣として、憲法改正を推し進めようとしているのは、まさに、国民の皆様の重大な危機であり、国会議員の使命を全うすべく信念を持ってこれと闘って参る決意です。
 
 
以上
 
 
※ この36条の「絶対に」については、日本国憲法制定当時の国会議事録でも以下のように憲法改正担当大臣から答弁されています。
 
昭和21年9月19日 貴族院帝国憲法改正案特別委員会
○國務大臣(木村篤太郎君) 三十六條、是も新たに設けられた規定であります、是は從來も「公務員による拷問及び殘虐な刑罰」は、理論として左樣なことはあるべき筈はないのであります、此の規定は往々にして左樣なことはないとも限らぬ、從つて是は立法上左樣なことは絶對に出來ない卜云ふ立法制限規定であるのであります
 
 
※ なお、憲法31条以下の規定は、人身の自由について36条の「絶対に」も含めて、非常に詳細な規定を置いています。その理由として、故芦部信喜教授の「憲法(第四版)岩波書店」においては、以下のように述べられています。
つまり、憲法というものは、自民党草案にあるようにその条文だけをみて文言を削ったり加えたりできるものではなく、ましてや、安倍総理が主張するように「進駐軍が作ったものだから」(こうした事実認識自体も立憲主義の観点などからは本質的に間違っていますが)という一言で全てを否定できるものでは全くないのです。
 
第一一章 人身の自由
  専制主義が支配していた時代には、不法な逮捕・監禁・拷問、及び恣意的な刑罰権の行使によって、人身の自由(身体の自由とも言う)が不当に踏みにじられた。しかし、人身の自由の保障がなければ自由権そのものが存在しえないので、近代憲法は、過去の苦い歴史を踏まえて、人身の自由を保障する規定を設けるのが通例となっている。日本国憲法は、十八条において人権保障の基本とも言うべき奴隷的拘束からの自由を定め、三一条以下において、諸外国の憲法に例をみないほど詳細な規定を置いている。これは、明治憲法下での捜査官憲による人身の自由の過酷な制限を徹底的に排除するためである。
 
※下線部分は小西記入
 

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「絶対にこれを禁ずる」と「禁止する」ではどのような違いがあるのでしょうか?
読んだときの印象は違いますが私には同じ意味に思えるのですが・・・

また、「禁止する」になると何か変わるのですか?

2013/4/28(日) 午後 6:53 [ Mr.v ] 返信する

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Mr.vさんへ

分かりにくい説明を失礼いたしました。「絶対にこれを禁ずる」と「禁止する」では、〜絢圓楼貔擇領祿阿覆拷問は許されないという法的な意味があるのに後者はそうはいかなくなるのと、▲屮蹈案發能劼戮燭茲Δ冒絢圓呂つての歴史的経緯を踏まえているという立法や行政をより拘束する効果がありますが後者はそうはいかなくなります。

なお、自民党草案は人権の根本規定である13条において、「国民の自由や権利は公益及び公の秩序よりも劣後する」としていますから、この13条の改正と18条の「絶対に」の削除は、これら全体の解釈として、「公益および公の秩序のためには拷問は禁止されないケースがある」となり得るものと考えられます。 小西

2013/4/28(日) 午後 8:04 [ 小西ひろゆき ] 返信する

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