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    魔王
         伊坂幸太郎   新潮社       
★「魔王」は、こちらから★
http://ecx.images-amazon.com/images/I/41F9T0BXZRL._SL160_.jpg


題名の「魔王」と、「呼吸」の二編が収められていますが、二編で一つの作品として成立しています。

魔王


主人公は、考察好きの思考魔、安藤
彼のの口癖は子どもの頃見た『冒険野郎マクガイバー』のマクガイバーが言っていた「考えろ、考えろ」

子どもの頃、家族全員が乗った車が事故に遭い、両親は他界。
必死に救った弟・潤也と、彼の恋人の寝る前に「消灯ですよ!」と言うのが口癖の詩織と同居。

ある日、偶然、地下鉄の電車内で大学自体の友人・と束の間の再会。
彼は、未来党の党首・犬養の話題を出し、彼を褒め称える。
彼が去った後、安藤は自分が思った台詞をそのまま他人の口から言わせる事が出来る能力に気づき、腹話術と名付ける。

安藤は、世間の流れが、犬養が思うがままに国民を誘導しているように思え、危機感を募らせる。
犬養にイタリアの独裁者ムッソリーニを重ね、ファシズム(フランス語での語源は「いくつかの銃の先をたばねて立てること」)化を警戒。
ファシズムの持つ恐怖は、"生理的に本能的に抵抗を感じるおぞましさ"に通じる。

シューベルトの歌曲「魔王」は、魔王の存在に気づいた息子が父親に警告をし続け、亡くなってしまうことから、その息子に自分を重ねる安藤。
「俺だけが、魔王の存在に気づき、叫び、騒ぎ、おののいているにもかかわらず、周囲にいる誰もがそれに気づかない。」

バー「ドゥーチェ」(イタリア語で「指導者」の意味)のマスターは、"国民を統率し一つになることは悪なのか"安藤に問う。
そして、百年に一人の逸材である犬養を守り育てると言う。

果たして、犬養は独裁者の仮面を隠し持っているのか?
彼の、真意は?

安藤は自分の腹話術の能力を使い、犬養に立ち向かおうとするが…!?

   ゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・

本書にも伊坂作品恒例のリンクポイントを見つけ嬉しくなりました。

安藤の同僚の満智子さんが飲みに誘ったのは全国チェーンの居酒屋「天々」
仙台「天々」は、「チルドレン」をはじめ、暫し登場しますが、東京が舞台なのに登場したのには思わず( ̄ー ̄)ニヤリ

キーパーソンである謎の男、バー「ドゥーチェ」のマスターが安藤に「グラスホッパー」というカクテルを差し出すシーンも意味深。
思わず、「グラスホッパー」を連想してしまいます。
政治家絡みの物語だし、『どこかで「押し屋」「鯨」が働いているのでは…?』なんて想像してしまいます。

白昼夢でになる安藤が潤也を上空から見下ろすシーンが印象的。
鳥は、「オーデュボンの祈り」等でも、暫し登場するアイテムの一つ。
これは、続く「呼吸」の中でも関わってきて、伊坂さんらしさを感じてしまいました。

呼吸

物語は、「魔王」から五年後に飛び、語り手は詩織に。
三年前に潤也と結婚。
彼の仕事が環境に関する調査会社のため、仙台に転居。

犬養は首相となり、「ドゥーチェ」のマスターは彼の側近となり、ラッキーマンといわれる存在に。
景気は少しずつ上向き、憲法九条の改憲に関する国民投票が騒がれているが、個人的に窮地に陥ると「世間の問題よりも、目の前の自分の問題」の方が大切になると言う潤也。

ある日、潤也に芽生えた不思議な能力に気付き、証明することにより、徐々に明らかになってくるその能力の詳細。

兄の遺志を考え、が言った『意志と金があれば、国だって動かせるんじゃないのか』という言葉のもと行動を起こす潤也。

   ゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・

「魔王」の舞台が東京だったのを珍しく思っていたら、本章で舞台は仙台に移り『やっぱり、こうなるのね…』と思ってしまいました。
まあ、東京で見ることが鳥といったらカラスばかりで、はおろかオオタカの観察など出来やしませんから。

大きな流れは止める事ができなくとも、せめて何かの役に立ちたいと考える潤也と詩織は、立派に兄の遺志を受け継いでいました。

本章の中で「一枚の新聞紙(厚さ0.09mm)を二十五回折ると富士山の高さに相当する」という記述が気になり、蜜代と同様つい計算してしまいました。
(横で長女はnを使った計算式をつくり、代入して証明していましたが…)
そんなわけで、新聞紙の一件が、一番印象に残った箇所となってしまいました…。

https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/b4/b7/popkun_55/folder/1458312/img_1458312_37166400_7?2006-06-06.gif

「魔王」とは、シューベルトの歌曲の「魔王」だったんですね。
それを知り、すぐさまクラシックオタクの主人に「検索」をかけ、CDを出してもらい、聴きながらこの記事を書いています。
ちなみに、今回の彼のオススメの演奏者はベルマンでした。

今、放送されているドラマ「魔王」は伊坂作品が原作かと思った伊坂ファンは私だけではなかったのでは?
初回をチェックして違う作品だと気付きました。
韓国ドラマのリメイクだったんですね。
もしかしたら、この記事にはドラマ「魔王」の検索で飛んで来られる方もいらっしゃるかも?


=登場人物=
【安藤】「魔王」の主人公。念じた通りに人の言葉を操る『腹話術』の能力を身につける。
【潤也】「呼吸」の主人公。安藤の弟。鋭い感性の持ち主で、猛禽類の定点観察の仕事をしている。
【詩織】潤也の恋人。「呼吸」の語り手。
【犬養】歯に衣着せぬ発言で首相に登りつめた政治家。憲法改正の国民投票を実施する。
【島】安藤の大学時代の友人。犬養の思想に魅せられ、未来等の党員になる。
【満智子】安藤の同僚。
【アンダーソン】安藤の近所に住む英語教師。日本人の妻と結婚し帰化するものの妻は事故死。アメリカ叩きの煽りを受け、家が放火され全焼。
【「ドゥーチェ」のマスター】ムッソリーニを敬愛。(ムッソリーニはドゥーチェとも呼ばれていた)犬養を買っている。
【平田】安藤の会社の上司。郷里の店を継ぐため退職。
【千葉】ある調査の為、資材管理部を手伝っている。
【田中】サッカーの試合中に、足を刺されたサッカー選手。
【蜜代】佐藤プラスチックに勤める詩織の同僚。    

犬養は果たして「魔王」なのか?
それとも、「魔王」の飼い犬に過ぎぬのか?
犬養がだとすると本当の「魔王」の正体と、その思惑とは!?

「魔王」が馬鹿でかい規模の洪水が起こし時に、水に流されないで立ち尽くす一本の木になりたいと願う兄弟の物語でした。

私も、大きな波に乗る前に、その波の出所や、流れ着く場所を考えねばならないと思わされました。
もし、その波が私の真意とそれていた場合、せめて安藤兄弟詩織のように生きたいと…、そんな風に思いました。

今日の一番のニュースは、福田総理の辞意表明
果たして、魔王は存在するのか?
存在するとなれば、一体、なのでしょうね…?

「追記」
★2008年9月4日日本経済新聞夕刊の”「科学と付き合う」池内了さんに聞く”を読み、まさに、「魔王」に書かれていたことと同じだとはっとさせられたので覚え書き。
 「今の日本は物質的には豊かになったが、人の心は貧しくなった気がします。自分で考えることをせずに、『テレビで見たから』、『権威のある先生が言っていたから』というように、周りの影響を受けてしまう。そして、事の本質ではなく、見かけのパフォーマンスにごまかされてしまう。こうした傾向は、とかくファシズムの台頭につながりやすいものなのです」

 「情報化社会になって、世の中がかえって一様化しているようにも見えます。こうした傾向を防ぐには、安易に答えを得ようとはせずに、『これはなぜ?』と疑い、自ら考え、検証していく習慣を身につけることです。そうすることで物事を見抜く力も養われていくと思います」    


★「魔王」の50年後を描いた作品「モダンタイムス」は、こちら→http://blogs.yahoo.co.jp/konpeitou_06/45452989.html/



★その「モダンタイムス」と双子のような存在である「ゴールデンスランパー」は、こちら→http://blogs.yahoo.co.jp/konpeitou_06/42840171.html/

閉じる コメント(44)

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読んでみて思ったのは何か『砂漠』に近い感じですねぇ〜。刊行時期も近いってのもありますが^^

2008/9/18(木) 午前 0:59 気まぐれ 返信する

気まぐれさん。そうかもしれませんね。「砂漠」も、伊坂さんの他の作品とはテイストが違っていましたものね。
トラバ、ありがとうございました♪

2008/9/18(木) 午前 8:47 金平糖 返信する

今までの作品とはちょっと異なる内容でしたよね。
リンクポイントはニヤリとしましたけど。

続編っぽい「モダンタイムズ」楽しみです

2008/9/26(金) 午前 7:41 むつみ 返信する

むつみデンタルさん、はじめまして。コメ、ありがとうございます。
ええ、次回作が気になっています。
伊坂作品の中では、結構異色ですが、作者の深い考えを知り感服した作品です。

2008/9/26(金) 午前 8:34 金平糖 返信する

やっと読みました。漠然と恐れていたことを目の前にリアルに突きつけられたようでとても怖かったです^^;
私も読みながら「魔王」のメロディーが頭の中でぐるぐる回ってましたよ〜(笑)初めてきいたのは小学生の音楽だったけど、子供心に怖かったです。
TBさせてくださいね^^

2008/10/1(水) 午後 2:05 ラブリ 返信する

ラブリさん。子供は敏感ら危険を感知し大人に知らせるのだけど相手にされないというのは、朔太郎の詩にもありますよね。よく考えもせず、流されてしまわないようにしなくてはと、アメリカ経済の綻びや日本の政情不安を見ながら考えてしまいます。

2008/10/2(木) 午前 8:19 金平糖 返信する

新聞紙を折ったら・・・というのは折り紙建築の世界でも紙の厚さを勉強するところでよくでてくる話なのでうれしかったわ。登場人物の政治家。あの人とあの人を組み合わせてこの人が。。。とかこれはあの人がモデル?とか考えたけど初出は小泉さんが総理になるよりももっと前なのだそうね。鋭い時代感覚だわ〜〜。モダンタイムス楽しみ〜〜。

2008/11/3(月) 午前 7:27 たまごアイス 返信する

たまちゃん。そうなんだ、折り紙の世界では有名なお話なのね。私にはなかなか信じられなくってつい計算してしまいました。
「モダンタイムス」、楽しみだけど、一体いつありつけるか…(>_<;)

2008/11/3(月) 午後 4:08 金平糖 返信する

ここのコメントで、Yahooの伊坂さんのインタビューを検索しました。いろいろメーキングや作品に対するコメントを知りえました。ありがとうございます♡
遅らせばながら、トラバさせてくださいね。

2008/11/3(月) 午後 7:43 ヨねこ 返信する

ヨねこさん。ブログのお陰で色々な情報を得ることが出来、一人だけだった読書の時間が皆さんと愉しんでいる読書会のような感覚になってきますよね♪
伊坂さんの場合ファンサイトも充実していて参考になります。
トラバありがとうございました♪

2008/11/4(火) 午前 6:22 金平糖 返信する

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コメントありがとうございます。
伊坂さんらしく、超能力っぽい兄弟とか、猛禽類の定点調査の仕事とか不思議感はありましたが、ファッショへの危機感を小説へ取り入れようとした野心作だと思います。
お返しTBさせてください。

2009/3/3(火) 午前 0:00 シーラカンス 返信する

シーラカンスさん。本作は、伊坂作品の中では結構異色だと私は思っています。
本作の続編(?)である『モダンタイムス』は、お読みになりましたか?安藤兄弟の意志は、引き継がれています…。
トラバ返し、ありがとうございました♪

2009/3/3(火) 午前 9:29 金平糖 返信する

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中学生の時初めて聞いた「魔王」はすごく怖くて印象に残っています。まるで自分が連れ去られてしまうような恐怖を感じました。
あの小泉」政権の熱狂ってファシズムだったんだ、、としみじみ。
ファシズムって怖いですね。
私もTBさせて下さいね。

2009/3/14(土) 午後 5:51 fuwachibiprin 返信する

ふわちびさん。「魔王」は、音楽の教科書に、絵も載っていたんですが、その絵も怖かったです。
民衆って、強いものに乗っかりたい願望があるのかもしれません。考えずに大波に乗るのって楽ですものね。
トラバ返しありがとうございました。

2009/3/15(日) 午前 8:30 金平糖 返信する

伊坂さんの小説にしては、ちょっと異色でしたね!
でも、仙台、岩手山、天々、グラスホッパー、などのいつものアイテムが出てきて一安心♪
安藤兄弟は、「重力ピエロ」を彷彿とさせられ良かったです^^

2009/7/25(土) 午後 8:07 やっくん 返信する

やっくんさん。作品の中でも、外でも、伊坂作品は、一見、別々のことに思える事柄が繋がっているんですよね。その繋がり様が見事で感服させられ、虜にさせられます。
トラバありがとうございました♪

2009/7/27(月) 午前 8:37 金平糖 返信する

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本作は、千葉が出てきたところで、ちょっと寂しい気持ちに〜
イマイチ、乗り切れないで、読み終わってしまいましたが
金平糖さんのレビューを読ませてもらって
改めてもう一回読んでみようと思います。
解説記事も検索してみますね。

私からも、トラバをお願いします。m(__)m

2010/5/23(日) 午後 0:55 [ ほし★ママ ] 返信する

ほしママさん。本書は、エンターテイメント性より、作家ご自身の思想を第一に書きたかったのではないかと思わされました。
ママさんの感想、とっても共感。私も、あまり面白く感じられませんでしたもの…。
ただ、後に池内さんの記事を読み、素晴らしさに改めて気づかされた感じでした。

2010/5/24(月) 午前 9:58 金平糖 返信する

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私も犬養とはどんな人物なんだろう?ってのが率直な感想です。
モダンタイムスも読みました。

もう一作品あるなら、犬養が主人公の話を読んでみたいですね。

2014/2/28(金) 午後 0:40 はじめのいっぽん 返信する

はじめのいっぽんさん。
独裁者は、市民のふいをつき、いつの間にか現われ、気付いた時には取り返しのならない状態になっている気がします。
安倍政権がそうならないよう、目を光らせているのですが…(T_T)

2014/3/2(日) 午前 11:53 金平糖 返信する

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