飛騨を離れて40年 『私の昭和史』

過ぎ去った昔のことを、思いつくままに

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サフラン

サフラン


 囲炉裏の脇に置かれた七輪の土瓶からは
強烈な匂いが、家中に立ち込めていた

一年中休む事無く働き続ける母は、体の具合いが悪くなると
富山の置き薬の、サフランを煎じては飲んでいた

春は田畑の作業の合間に、山菜を採って街へ売りに行き
夏は田の草取りと畑の草取りの他、畦や山の草刈
秋は田畑の採り入れと冬の間の準備
冬になれば山へ炭焼きと、正に年中働き詰めだった

これ等の殆どの作業は手作業だったのだから
体を酷使しなければこなしてはいけなかった
恐らく、今の農作業で働いている人達と比較し
2〜3倍、体を動かしていたのではなかろうか

年何回か、サフランを飲んでいた
黄色くて強烈な匂いの液体は、とても不味そうだった

田畑や山を、這いずり回る様にして働き続けた母は
リュウマチで曲がってしまった両足で
一咋年までは何とか歩いていたが
93歳となり、咋年は家の中を手だけで後ろに這いずって
何とか動いていたが、とうとう寝たきりと為ってしまった。

生きるという事は、こういう事なのだと
半身不自由に為った私に向かって、無言で見せている様な気がして為ならない。

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