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数学の定理をコンピュータで証明することは理論的には可能であるらしい。
そのためには、まず、数学を形式化しなければならない。すべてを記号の操作で機械的に定理を導けるようにすることである。そして、形式化した数学をコンピュータに読み取らせるために、プログラム言語で書き換えなければならない。
数学は、前提となる公理を推論規則で変形することで定理を導く。よって、形式化もプログラム化も理論的には可能である。実際、数学の定理を証明するコンピュータは存在する。
しかし、そのコンピュータが導きだす定理は、お世辞にも意味のある定理とはいえないらしい。ほとんど、ゴミのような定理ばかりを導き出すそうである。
数学の定理を導く過程のパターンは、指数爆発どころではない恐ろしい計算爆発になる。しらみつぶしに計算するコンピュータでは、何億年かかっても、意味のある定理を導けないだろう。
この点、人間の数学者は、論理だけでなく、直感力というコンピュータにはない武器を使って、意味のある定理にたどり着くことができる。これに対して、コンピュータには直観力がないので、意味のある定理にたどり着けない。
結局、コンピュータが、意味のある定理を導くことはこれからもないであろう。
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数学
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現代の統計学でも、ベイズの定理や正規分布などの200年以上の前の数学が使われている。数学の手法自体は進歩していない。ただ、コンピュータの発明のおかげで、膨大な量のデータを収集処理できるようになった。コンピュータの「腕力」の向上で、21世紀は正確な未来予測ができるかもしれない。
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数学の論理構造は完璧──というのは実は幻想にすぎない。かつてゲーデルの「不完全性定理」がこの事実を示したが,いま注目されるのは「オメガ」という数だ。完全に定義でき,確定値を持つのに,決して計算しきれない数とは?
ゲーデルは,数学が不完全であり,きちんと証明できないにもかかわらず正しい記述を含んでいることを示した。ところが「オメガ」という特別な数は,数学にさらに大きな不完全性が存在することを明らかにした。有限個の公理をいかに組み合わせても証明できない定理が,無数にあるのだ。したがって数学の「万物理論」はありえない。 オメガは,あるコンピューターに関して考えうるすべてのプログラムの集合から1つのプログラムをランダムに選んだ時,そのプログラムがいずれ停止するものである確率だ。完全にきちんと定義され,決まった値を持つ。しかし,どんな有限プログラムを使っても,オメガのすべての桁の値を計算し尽くすことは不可能。言い換えると,証明不能な数学的事実が無数に湧き出る泉のようなものだ。 この特性は,数学者が新しい公理をもっと仮定してよいことを示している。物理学者が実験結果をもとに論理的証明のできない基本法則を導くのと同様だ。 これら一連の結果は「アルゴリズム的情報理論」に基づいている。ライプニッツは300年以上も前にアルゴリズム的情報理論の多くの考え方を予想していた。
IBMワトソン研究所の研究員で,ブエノスアイレス大学の名誉教授,オークランド大学の客員教授でもある。コルモゴルフ(Andrei N. Kolmogorov)とともに,アルゴリズム的情報理論という新領域を切り開いた。9冊の著書があり,一般的な本としては『セクシーな数学』(2002年,邦訳は2003年)や『Meta Math!』(2005年)がある。数学の基礎について考えていない時は,ハイキングや雪山歩きを楽しんでいる。
The Limits of Reason(SCIENTIFIC AMERICAN March 2006) |


