2010年も残り少なくなってきました。
このところ、東京も朝晩の涼しさが心地よい季節になりました。苦おしいほどに暑く長かった今年の夏がやっとどこかに消えてくれたという感じです。
一昨日、久しぶりに我が第9のサッカー少年たちの眩しく晴れやかな姿を見ました。毎年第9が主催し杉並区の小学校の強豪チームが集う「ナルゲカップ」で、第9のサッカーチームが見事優勝しました。2週間前に大雨と雷雨により桃五との準決勝戦を1−1の引き分けのまま、PK戦をせずに終了し途中延期となった今大会。一昨日はいきなりそのPK合戦からの開始でしたが、双方落ち着いたシュート合戦の末我が校が勝利しました。そして迎えた決勝戦。相手はいわずと知れたシーダーズです。準決勝戦の桃五の少年たち(去年に比べて格段に強くなりました!)もそうですが、シーダーズの面々も第9の子の背丈をはるかに上回る大きな子ばかりです。しかし第9は序盤から終始攻撃力を崩さず走って蹴り続け、素晴らしいシュートで1点を入れそのまま優勝を勝ち取りました。第9の試合展開は見事でした。おめでとうみんな!!
今日は実は一昨日の大会のことではなく、子どもたちも親たちも忘れられない思い出となった、あの夏の全国コマチュック大会(全国の朝鮮学校の小学生サッカー大会)のことを書こうと思います。8月6日から3日間にわたり大阪で行われた今年の大会は、子どもたちは勿論ですが親たちにとっても熱い熱い大会となりました。今回は初の8人制による大会で、第9は6年生を中心としたチームと4.5年生を中心とした育成チームの2チームでの参加でした。第9は当初から東京、関東では特に高学年のチームは優勝候補としてあげられていました。それだけの実力は確かにあったと思います。そうなると親たちのこの大会にかける熱意も半端ではなく、早くからアボジたちもオモニたちも第9サッカー部の大会サポートのために一丸となって動いたのです。勿論子どもたちの大会に向けた数ヶ月にわたる練習の成果は言うまでもありません。まだ幼い彼らがどんどん逞しく成長していくのを親たちは実感していました。そのおかげでアボジ、オモニたちの連帯感も子どもたちに劣らず強まり、大きな期待と希望を抱きながらに大阪に入りました。
そして迎えた大会初日。高学年チームは4組での予選出場で関西の強豪2チームとの試合を順当に勝ち進み1位通過です。育成班も負けじと3試合を大差で勝ち、こちらも1位通過。(すごい!)全国制覇という夢が果たせるかもと、子どもも親も誰もが心の中で思いました。
そして2日目。まさかのアクシデントが第9サッカー部に起きたのです。炎天下のすさまじい暑さの中、チームの攻撃の要となる一人の選手が倒れました。初日の夜から高熱に見舞われ一睡も出来ずに朝を迎え、熱は下がらぬまま嘔吐を繰り返した彼は、この日みなと一緒に走ることが出来ませんでした。彼にとって、みなと一緒に試合に出れないことがどれだけ悔しく辛かったか。勿論それは彼にしか解らないことです。しかし第9の幼い勇姿たちは違いました。まるで彼の辛さ、悔しさを自分のこととして感じていたかのようでした。明らかに前日と皆の表情が違います。それは不安感から来る緊張感ではなく、絶対に勝つんだという信念から来るすさまじい緊張感です。筆者は今もあの時の彼らの姿、あのするどい眼差しを忘れることは出来ません。どこか自分が忘れていた本能的な闘争心、何かに向けてがむしゃらに突っ走っていた時の記憶が蘇ったようでした。そして迎えた試合。彼は親たちが見守る陣地に座り言葉なく仲間の姿をじっと見つめていました。
試合開始の合図。その時一人の選手が広大な会場に響き渡る声で叫びました。「サンギ!お前のために絶対勝つぞ!見てろよ!」その叫びとともに一点前をするどい目で見据える選手たち。そしてそれに呼応するかのように彼はしっかりと腕を上に挙げ、小さな声で「おう!」と応えます。一瞬、周囲の応援の叫びと慌ただしい動きがぴたっと止みました。そしてみなが感じました。「大丈夫だ。行ける。」そして周囲を囲んだ親たちから「よっしゃー!そのいきだ!」という大声援が飛びました。そして親たちの顔は涙でくしゃくしゃです。誰一人涙を流さなかった親はいませんでした。ここで繰り広げられた試合は、実際に恐らくこれまでの彼らのサッカーの集大成だったのではと感じます。去年の優勝校で今年も当然優勝を狙っている生野初級との熱戦で、両者とも小学生のサッカーとは思えぬ迫力と気迫、互いの技術がぶつかり合ったそれはそれは素晴らしい試合でした。しかし結果は引き分けでした。試合終了後、選手たちは遠くを見つめる彼の前で泣きじゃくりました。「勝てなくてごめん。」その言葉に彼も涙を隠しませんでした。筆者にとって開始早々から終わるまでのこの一連の出来事は、歓声も何も耳に入って来ず、それは淡々と心地よい緊張感の中で一遍の映像を観ているようでした。
試合内容の話しはここまでです。何故なら結果優勝は出来なかったから。
それどころかこの後負けこそしないながらも失点数が反映され、結局上位の成績は納められなかったのです。それでもこの大会に参加した親たちは、第9の子どもたちを世界で一番誇りに思ったことは間違いありません。何故なら彼らのこれまでの努力と情熱がこんなにも豊かで強く暖かい心を育み、我が子たちが大きく成長したことを身をもって実感したから。そしてこれほどの感動をくれた子どもたちに心から感謝した日でした。そして彼らの美しいプライドを育て導いてくれた指導陣たちへ心から感謝の思いを伝えました。その夜は子どもたちへの尽きない愛と親としてこの大会に参加出来たことの感想をみなで語り合いました。勝てはしなかったけど子どもも大人もこんなにもみんなが一つになれたことの素晴らしさは格別です。
こうして、熱い熱い夏が終わりました。
後日談ですが優勝候補だった他校のアボジたちがこの試合を見て、第9のサッカーはまるでレベルが違うと言っていたそうです。因みに忘れてはならない育成班のコマたち。彼らは大好きな兄ちゃんたちの悔しさをバネに見事全国3位の座を勝ち取りました。(えらい!!)
まだまだ書きたいことは山ほどありますが、この大会のことはこのくらいにしておきます。
あの大会から2ヶ月が経ちました。そして一昨日のナルゲカップでの優勝はこれからの第9のサッカーが大いに期待出来ると感じさせてくれました。
その夜のハッキョでの焼肉パーティ。もうすぐ卒業してしまう6年の子どもたちが先生の周りに輪になって、小さな子のようにとても無邪気に楽しそうにはしゃいでいる姿がとても印象的でした。夏のあの勇姿とは全く違う、みなの愛情の中ですくすく育つ愛くるしい子どもの姿を、爽やかな秋の夜長と共に楽しみました。
長い長い文章ごめんなさい。
次は今週末の芸術競演大会レポート、出来たらしてみます。