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荒れ果てた港町が見えます。 建てられていた基礎か、 あるいは、建てられようとしていた基礎か、 あるいは、壊されようとしていた基礎か。 過去と未来をもったかつての面影が見えます。 東日本大震災から2年。 この本から見える景色は、あの町の光景です。 ひらがなで書かれた独特の筆致にひたることは 、意味をもっていたはずのがれきを広い集め、 組み立てる作業のよう。 戦後のある家族の変遷を描く本作品にあいまっ て、一つ一つのがれきに、「言葉」に、その時 々の暮らしていた人々の思いが、これからが詰 まっているのでした。 2年という月日は、被災された皆さんにとって 、止まってしまったあの日、あの日をつくって いた様々な「言葉」たちの欠片と向かい合う日 々に他ならなかっただろうな。 改めて、あの日の悲しみ、この2年の月日の辛 さを味わった被災者の方々を思い、胸がうずく思い。 ああ、あの日と向き合うことは、言葉と向き合うことであるなあ。 『その道を通る者にその道を通る想念をくぐらせてその道はあった』58頁 いつだって、過去は、それ自体では意味をなさない。私たちの想念、すなわち向き合い様にかかっている。 過去を作るのは他ならない、未来の私たちなのでした。 |
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