ブックミンの家 -本は、どうして。-

教職7年目。今日も子どもに、自分に勝負。

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『自分には自分だけの体があったのかと、まだうわうわしている体に触れながら、私は感心した。』110頁


結婚をした、転勤した、様々な出合いが自分をつくっているということは、使いふるされて久しい考え方になっている。

果たして、本当にその「造られた自分」は、本当のところ「自分」なのかは未だに判らずにいるし、むしろ考えたくなくなってきている。

主人公は、主婦であり、「夫」にどこか似てきてしまっていることの違和感に気づき、影響を与える「夫」を本来の姿に変えることで決別を果すのだけれど、影響を与える事物を取り除いて見えてくる「自分らしさ」ってなんやろう、と怖くなる。

何物にも囚われない自分、その体は果たして人間らしいだろうか。

っていうか、もはや人の間に生きていないのやから、人間ではないんやろうなあ。

ウーン、「わたし」って誰なんやろう。

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『小御所会議において、山内容堂は岩倉に真っ向から対立したが、天皇を「幼沖」と発言したことを岩倉に咎められ、論戦に敗れた。』149頁


山内容堂は、王政復古の大号令に際して、徳川家が新政府に参加しないという岩倉、大久保ら討幕派の方針に異を唱えた人物。

藩祖山内一豊以来徳川家に尽くす心。
泰平の世を築いてきた徳川家に報いようとする心。

山内家らしい、胸を打つエピソードやなあと感動する。
と同時に、たった一言の「幼沖」という表現で、時代は鳥羽伏見の戦い、戊辰戦争に傾いていき、多くの人々が戦火に巻き込まれ命を落としていくとに背筋が凍る想い。

たった一言で、引責を問われた政治家は数知れず、また、破局したカップルも数知れず。

歴史は、教訓。

社会科を中学校で指導するようになって4年目。
社会で起きた出来事を理解させることを「通して」何の力をつけるのか?
ただの暗記科目になるようなら社会科教師は失格やろうなー。
人としての生き方を学ぶ気持ちをいつまでも忘れずにいたいなー。

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『あらゆることが不安だ。 しかし少なくとも今の自分には、昼も夜もない 白い地獄の中で闘い続ける力が備わっている。 先人が、それを教えてくれた。』121頁

戦後70年。 この本をこの節目に読めてよかったと思う。

戦時中の様子がTVやイベントで特集しており、 それを目の当たりにしながら、「ああ、戦争と は惨いことよな」と、学ぶのだけれど、明日か らの生活を乗り越えるために不可欠な情報で す!とは全く思えない。

本書を読了すると、その原因は、あまりにも知 識を暗記し、机上の空論をあたかもリアリ ティーと勘違いして、先人から学んだ気になっ ている自分があるからである、と分かるんで あった。

自分は、あまりにも93歳の祖母について知らな さすぎる。 自分は、ニュータウンにすみ、65歳を越えた両 親について知らなさすぎる。

戦後70年とは、警告やなー。

家族とよく話し、家族の生き方を学び、自分の 生き方に生かさないといかん、と焦った。

【火花】 又吉直樹/著 ケータイ投稿記事

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『それは、花火の音を凌駕する程のものだっ た。群衆が二人を祝福するため、恥をかかせな いために力を結集させたのだ。(中略)「これ が、人間やで」と神谷さんはつぶやいた。146 頁』

読了。

花火大会。群衆が花火に拍手を贈る。それは、 決して打ち上がった花火が美しいから、素晴ら しい出来だったから、ではない。その花火に添 えられたメッセージ放送が群衆の心を震わせる ものだったから。

作品の終盤に設けられた、この情景描写がとて も印象深かった。

「評価は他人がするもの」

それは、嘗て勤務校で上司から教わった言葉。

「教育とは、保護者に、生徒に迎合することで はない。プロとしての自覚と毅然とした心で職 務に当たれ。」

これも、嘗ての勤務校で上司から教わった言 葉。

これは、「芸人」の世界でも同じだった。

ウケを狙いにいってとれるほど「笑い」は甘く ない。辛辣な評価も謙虚に受け止める時がなけ れば、成長はない。 また、万人に迎合するばかりのビジネス芸に甘 んじる低いプライドで、「笑い」の道は大成で きるものではない。強い意志がなければ拓けな いのが道。

謙虚さと、プライドが交錯し、葛藤、貧困が首 をもたげても、なおも「道」から逃げ出さない 「芸人」の姿を描いたこの作品は、教師として 生きていく真髄を教えて下さった、上司の言葉 にピッタリ符合した。

自分は教師として生きていくことをもっと真剣 に、もっと単純に、もっと深く考え、嘗ての恩 師の言葉を受けとめなければならないなあ。

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『誰もが今生を受け入れてこの骸だらけの大地に足を踏みしめねば、一歩たりとも前には進めぬ』275頁



『瀬をはやみ 岩にせかるる滝川の・・・』

本書の舞台となる、幕末から明治維新にかけた時代は、正に「滝川」のようだった。

正義が、悪になり、悪が、正義になる。そのなかで志高く生きた人々は、時代にぶつかり翻弄された。

本書では主人公中島歌子をはじめとした水戸の天狗党の乱に関わる人々、徳川慶篤をはじめとした水戸徳川家の人々の「滝川」での生きざまが克明に描かれている。

ある者は、岩に砕け散り空に散った。
ある者は、岩にしがみつき、流れに逆らい続けた。
ある者は、岩に砕けるのを避けようと必死に生きた。

時代の激流に思い思いに生き抜く姿があった。当時でこそ、その生きざまに忠、不忠の評があっただろう。
でも激流の中でこの国が残した成果、禍根は結局すべて、一つの滝川の出来事であったのだろうな。


『われても末に逢わむとぞ思ふ』


「ともに同じ時代を生きた者たちは同志」なのだ。捉え方は違っても人々は「同じ空のした、懸命に生きている。」
足元ばかり見ている自分自身の生き方を皮肉に思いながらも、素直に受け入れられる気がする。他者にとってもそれは同じこと。


幕末の水戸藩で起きた天狗党と諸生党の内紛と両者の末裔の和解。

本書から、「生きる」とは、「自己中心と、相互理解のバランスの追究」であると学んだ気がします。

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