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イ 工期 工事準備から遮水壁の設置、地下水の揚水・浄化、土壌の掘削・運搬、液状 化対策、土壌埋め戻し、地下水管理システムの設置までに必要な土壌汚染対策 工事全体の工期は、20カ月である。 【参考】 一般的な技術・工法 による試算 技術会議の発足前に、一般的な技術・工法を用いて、専門家会議の提言を 実現するための経費、工期を試算した結果は、以下のとおりである。 (2) 最先端の新たな技術・工法の採用 ア 最先端の技術により複合的な汚染を確実・効率的に処理 豊洲新市場予定地には、ベンゼンが、シアン化合物や重金属、油分と混在し、 複合的な状態で存在しており、このような状態にあるベンゼンを確実に除去す るには、加熱処理が一般的な方法であるが、経費がかさむという難点があった。 このため、土壌を汚染状況に応じてきめ細かく分類し、微生物処理、加熱処 理、複合的な汚染物質を一括して洗浄できる新たな処理技術など、ベンゼン濃 度、汚染物質の種類、複合汚染の状態に最適な処理を行うことで、確実に汚染 物質を除去するとともに、経費縮減を実現する。 イ 国内最大規模の新構造遮水壁設置 豊洲新市場予定地と周辺地域との間に、地下水の流出入を防ぐために設置す る遮水壁については、一般的には鋼管矢板を利用するが、広大な新市場予定地 を囲むために膨大な量の鋼材の確保と、設置コストが高いことが大きな課題と なる。 このため、新交通や道路構造に影響を与えないよう、道路側にのみ剛性の高 い鋼管矢板を使用し、護岸側には現場の土とセメントを混合させて作るソイル セメントと、遮水材を組み合わせた新構造の遮水壁を、国内最大規模(延長1.7 km)で設置することにより、施工性、経済性、遮水の確実性を同時に達成す る。 ウ 先進的工法による地下水の早期浄化 汚染地下水の浄化は、揚水井戸を設置し、地下水を揚水・浄化・再注入する サイクルを繰り返し、徐々に浄化を進める工法が一般的であるが、汚染濃度を 下げるために時間を要していた。 そこで、強力な揚水ポンプにより、揚水に必要な期間を短縮する。 さらに、井戸の周囲にガスを吸引する管を併設し、土中に残ったベンゼンを 揮発させて吸引するという二つの技術を組み合わせた先進的な工法を用いるこ とで、汚染地下水の早期浄化を実現する。 (3) 国内最大級の地下水管理システム 土壌汚染対策として、国内で最大級となる最先端の地下水管理システムを構築 し、40ヘクタールという広大な豊洲新市場の敷地全域にわたり地下水位を適切 に管理する。 このシステムにより、水位計で観測したデータをもとに、自動で揚水ポンプを 稼動させ、地下水位をリアルタイムに監視・制御する。 また、地下水質についてもモニタリングを継続的に実施し、このデータをもと に、市場関係者や学識経験者などからなる協議会において、情報の共有化を図る ことを今後計画し、安全・安心の確保に万全を期す。 (4) 確実に施工可能な技術・工法 略 (5) 環境に配慮した対策 ア 汚染土壌処理を都内で実現 豊洲新市場予定地の汚染土壌の処理に当たっては、周辺地域への環境負荷を 最大限抑止するため、当該域内に処理プラントを設置する。 イ 処理土壌のリサイクルの促進 浄化処理により汚染物質を除去した約19 万m3 の土壌については、安全性を 確認したうえで、豊洲新市場予定地の埋め戻し土として再利用し、埋め戻しに 適さない土壌約7 万m3 については、最終的にセメントの原材料として活用され るなど、リサイクルに資するような搬出先を確保していく。 ウ トラック輸送の大幅削減 土壌や建設資材の輸送については、船舶を積極的に活用することで、トラッ クの使用台数を約8割削減し、騒音、振動、交通渋滞など周辺環境に及ぼす影 響を最小限にする。 エ 集中豪雨にも地下水の管理水位(A.P.+2.0m)を維持 日常維持していく水位を、管理水位から20cm下げることにより、地中に約 1.2万m3 の天然の貯水機能を確保できることから、集中豪雨や台風時におい ても管理水位の維持や、排除基準を遵守した公共下水道への放流が可能となる。 また、この広大な天然の貯水機能を活用することより、各街区に設置する貯 留槽の規模を最小限に抑えることができるため、経費の縮減も図られる。 (6) 汚染状況の詳細な把握・分析に基づく対策 技術会議において、詳細調査や絞込み調査の結果をもとに、豊洲新市場予定地 の汚染状況の詳細な分析を行ったことで、各種の汚染物質の平面方向や深度方向 の広がりについて、把握の精度を格段に高めることができた。 さらに汚染土壌を、汚染物質の位置・濃度、複合状態に応じて細かく分類し、 土壌中の汚染物質を特定して掘削範囲を絞り込むことができた。 これにより、汚染土壌を、汚染物質の濃度、他の物質との複合状態、汚染物質 の有無などに応じて土壌の掘削、運搬、処理の方法をきめ細かく区分できるよう になったことから、処理土量を当初予定の122万m3 から100万m3 に、大幅 に縮減できる。 (7) 経費の大幅な縮減 技術会議の提言した土壌汚染対策をもとに算定した経費586億円は、専門家 会議の提言した土壌汚染対策を、一般的な技術や工法によって実施した場合の試 算額973億円を大幅に下回っている。 なお、この土壌汚染対策費586億円が、豊洲新市場予定地の土地価格 2,506億円に占める割合は、23.4%である。 【参考】環境省の報告書「土壌汚染をめぐるブラウンフィールド問題の実態等について(中間とりまとめ)」(抜粋) ・ 社団法人土壌環境センター会員企業を対象としたアンケートでは、「土壌汚染対策費が土地価格の20〜40%を超えると、土地売買が不成立になる事例が多い」との回答が全体の56%を占めた。 ・ 専門家の研究結果では、土壌汚染対策費が土地価格の3割を超過した場合にブラウンフィールドが発生するとしている。 *ブラウンフィールドとは 土壌汚染の存在、あるいはその懸念から、本来、その土地が有する潜在的な価値よりも著しく低い用途あるいは未利用となった土地 (8) 工期の短縮 技術会議では、汚染土壌を汚染物質の複合状態に応じてきめ細かく区分し、処 理土量を縮減することや、新たな洗浄処理技術により、複合的な汚染物質を一括 して処理できることから、土壌汚染対策に要する工期は20ヶ月となり、一般的 な工法の工期と比較して2ヶ月の短縮が図られる。 (9) 契約に当たっての競争性を確保 技術会議では、公募に寄せられた個別の技術・工法の評価をもとに、豊洲新市 場予定地での遮水壁設置、汚染土壌・汚染地下水対策、液状化対策、地下水管理 システムなど、具体的な技術・工法を定めた。 将来の契約にあたっては、この技術・工法の内容を満たすものであれば、入札 に参加することが可能となり、契約時における競争性は確保される。 第5 おわりに技術会議は、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策の策定を目的として設置され、検討にあたっては、先行して行われた専門家会議の提言の高度な安全性のレベルを確 実に実現することを優先課題とした。 専門家会議は、豊洲新市場予定地の土壌汚染について、生鮮食料品を扱う市場用地 としての安全・安心を確保するため、詳細な土壌・地下水の調査を実施し、対策を実 施した場合の安全性やリスクについて科学的な検証を行ったうえで、総合的な対策を 提言している。 中略 また、技術会議においては、世界に誇る我が国の技術に基づき対策を策定するため、 広く民間企業等から技術・工法の公募を実施した。公募には、120事業者から22 1件という予想を上回る多数の提案が寄せられ、その内容も最先端の優れた技術・工 法が数多く含まれており、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策を検討するうえで極めて 有益であった。これらの技術は、豊洲新市場予定地だけでなく、今後の土壌汚染対策 を考えるうえでも貴重な財産となるものであることから、広く一般に周知するなど有 効活用していくことが望まれる。 後略
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