週刊循環経済新聞 2010新春特別号No.2
◇現場はこう見る 改正土壌汚染対策法 「おおさかATCグリーンエコプラザ ビシネス交流会 水土壌汚染研究部会」討議より
開発事業などへの影響大/積極的な促進策必要に
軽汚染の土地利用進むか/スムーズな運用のための施策求む
改正土壌汚染対策法の施行が今春に迫るなか、土壌コンサルタントや調査機関など、関連主体からは、その運用に関してさまざまな懸念が指摘されている。一方、改正内容によって新たに生じるビジネスチャンスをどうとらえ、生かしていくかについても、活発な議論がなされている。土壌汚染対策にかかわる情報交流を目的に設立され、7年目を迎えたおおさかATCグリーンエコプラザ 水・土壌汚染研究部会は77の異業種企業・団体などが参加し、会員は計118人に上る。参加者は各種調査機関や汚染土壌浄化、不動産開発・販売など関連事業を手掛ける企業、および不動産鑑定士、公認会計士、金融機関、行政担当者、一般市民などで、セミナーや土壌浄化施設の見学会などを開催している。
毎月の本部会、関連の分科会などで出された、改正土壌汚染対策法に対する現場からの声を一部紹介する。
まとめ
法改正が社会的な成果を生み出し、個人被害者の救済、生物多様性への考慮を
当ATCグリーンエコプラザ水土壌汚染研究部会には、改正土壌汚染対策法に関する様々な現場の声が寄せられている。やはり多いのは、リスクに応じた対応策や汚染土地活用の促進という改正の趣旨をいかに有効にならしめ社会的な成果を上げるか、との指摘であろう。
法の趣旨が広く理解され、促進策等によって経済と環境の好循環が一層進むことを期待している。
また、今回の改正内容に対し2点の異なる観点からの意見を付加したい。
〜土壌汚染でマイホームから有害物質が、求められる実害への救済策〜
当会では「土壌汚染の社会的問題」と題したセミナーを企画した。何の落ち度もないマイホーム購入者が土壌汚染問題に巻き込まれ、我が家の土壌汚染問題解決のため提訴せざるを得ない現状が浮き彫りになった。マイホームの地面の20cm下から油の浮いた地下水や、庭に植物が育たない状況等の重大な瑕疵を当会員が現地で確認しており是非救済が必要と考える。(事例:岡山両備小鳥が丘団地 愛知県UR桃花台ニュータウン)
2010年にはこれらの判決が下るが、法律は弱いものや困っている人を助けるためにあることでその真価を発揮する。今回の土壌汚染対策法改正で、このように心と体を休める夢のマイホームを買った庶民が、悪夢に陥ることに対する救済措置が追加されていないことは極めて残念である。
〜生物多様性にも影響大、考慮する方向性を〜
20010年は「国連国際生物多様性年」であり日本で生物多様性EXPOが開催される。「生物多様性基本法」はすでに施行され「生物多様性国家戦略」の実効をあげる法規制が整備されている。
また、「第三次環境基本計画」では“健全で恵み豊かな環境が保全されるとともに、それらを通じて国民一人一人が幸せを実感できる生活を享受でき、将来世代へも継承できる社会”を目指すとされている。
環境リスクに敏感な昆虫や鳥類などの生物が環境リスクを受けて減少しているのは明らかであり、地上の食物連鎖の頂点に位置する猛禽類なども昔に比べて大きく減少していることは恵み豊かな土壌環境の将来への継承が危ういことを示している。
土壌汚染対策法の目的は「国民の健康の保護」とされているが、生物多様性に関する法規制との整合性が不足している。今回の土壌汚染対策法改正で土壌汚染と生物多様性の関係が議論されたが、最終的な改正の内容に生物多様性保護に関する具体策は表われなかった。今後は、ぜひ考慮する方向性を示さなければならないと考える。
おおさかATCグリーンエコプラザ 水・土壌汚染研究部会 幹事長 寺川隆彦氏(環境カウンセラー)
転載元: 大阪ATCグリーンエコ 水・土壌汚染ラーニング
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