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汚染の除去等の措置に要した費用の汚染原因者への請求
法第7条第1項本文の指示を受けた土地の所有者等は、指示措置等を講じた場合には、汚染原因者に対し、指示措置に要する費用の額の限度において、当該指示措置等に要した費用を請求することができることとする(法第8条第1項本文)。 ただし、汚染原因者が既に当該指示措置等に要する費用を負担し、又は負担したものとみなされるときは、請求することはできないこととする(法第8条第1項ただし書)。
これは、汚染の除去等の措置に要する費用については、他の環境汚染に関する費用負担と同様に汚染者負担の原則が採用されるべきところ、私法のみによる調整に委ねると、請求権の消滅時効やその特約の存在、汚染原因者の故意又は過失の立証の困難性等により、請求することができる場合が限定されるものになることから、行政法により特別に創設された請求権である。 汚染原因者が特定できず、土地の所有者等に対して指示を行った場合には、土地の所有者等が費用の請求について相談することができるよう、都道府県において、相談の窓口の設置、汚染原因者の特定に資する情報の提供等の支援を行うよう努めることとされたい。
「既に費用を負担し、又は負担したものとみなされる」とは、具体的には、例えば以下のような場合が該当するものである。 ⅰ)汚染原因者が当該汚染について既に汚染の除去等の措置を行っている場合 ⅱ)措置の実施費用として明示した金銭を、汚染原因者が土地の所有者等に支払っている場合 ⅲ)現在の土地の所有者等が、以前の土地の所有者等である汚染原因者から、土壌汚染を理由として通常より著しく安い価格で当該土地を購入している場合
ⅳ)現在の土地の所有者等が、以前の土地の占有者である汚染原因者から、土壌汚染を理由として通常より著しく値引きして借地権を買い取っている場合 ⅴ)土地の所有者等が、瑕疵担保、不法行為、不当利得等民事上の請求権により、実質的に汚染の除去等の措置に要した費用に相当する額の填補を受けている場合 ⅵ)措置の実施費用は汚染原因者ではなく現在の土地の所有者等が負担する旨の明示的な合意が成立している場合 請求できる費用の範囲は、前述のとおり指示措置に要する費用の額の限度に止まり、指示措置を行うために通常必要と認められる費用の額に限られるものである。 「通常必要と認められる費用の額」とは、土地の現況を前提として、必要以上の内容でない措置を実施し、土地を現況に復帰させることに要する費用が該当するものである。例えば、建築物等があることにより、更地の場合に比べて費用の額が高くなる場合であっても、その額を請求できることとなる。 一方、建築物等の価値を高める行為を併せて行った場合のその費用については、請求できない。また、例え
ば、舗装を行う場合に、必要以上の厚さ及び強度の舗装を行った場合は、通常の厚さ及び強度の舗装を行った場合に要すると見込まれる費用との差額については、請求できない。 なお、土壌汚染状況調査や汚染の除去等の措置に要した費用の他者への請求については、瑕疵担保による損害賠償請求、契約上の関係に基づく請求、不法行為による損害賠償請求等、法第8条の規定以外にも民法(明治29年法律第89号)等の規定によるものも考えられる。 法第8条の規定以外の民法等の規定による請求の例としては、土地区画整理事業、市街地再開発事業等の施行者が、法第3条、第4条、第5条又は第7条に基づく義務を負う土地の所有者等に代わって調査や措置を行った場合に、本来の義務者である土地の所有者等に対して請求できるといったことも考えられる。 |
土壌汚染裁判例
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