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4.1 土壌汚染情報データベース構築の意義と想定される利用方法
土壌汚染情報は土壌汚染による健康被害の防止の観点から公益性が高く、また、第1章で述べたように、土地取引に際しては、多様な主体が土壌汚染の存在等や土壌汚染の可能性に関する情報を必要とすることから、これらの情報の利用価値は高い。 このため、第2章や第3章で整理した情報を、保有・管理する機関の意向等も踏まえつつ、データベースとして集約して電子的に提供することによって、土地取引等の円滑化や土壌汚染地の有効活用促進の効果を期待することができる。 今後、土壌汚染対策法の改正により土壌汚染関連情報は増加していき、社会的にデータベースの形で共有化することへのニーズが高まるものと想定される。以下では、土壌汚染データベースによる、土地取引関係者それぞれにとって想定される活用方法を述べる。
① 買主(個人、企業、開発事業者、行政等)
買主にとっては、土壌汚染の存在等や土壌汚染リスクを概略把握することに活用でき、購入する土地のスクリーニングを行うことが可能となる。また、企業や開発事業者にとっては、売主からの提供情報の検証や専門機関が実施した調査結果の概略検証等に用いることが考えられる。 ② 売主(個人、企業、開発事業者、行政等)
売主にとっては、土地取引に際して、買主に対象となる土地の土壌汚染に関する情報を提供しやすくなり、正確な情報を提供することにより損害賠償等のリスクを回避することが可能となる。また、売却に際しては当該土地の土壌の状況を適切に把握して、その資産価値を把握しやすくなる。 ③ 宅地建物取引業者
取引対象の土地の土壌汚染状況を把握でき、重要事項説明等の際に土壌汚染対策法の区域指定がなされているかどうかの確認が可能となるとともに、その他の参考となる情報の提供が可能となる。 ④ 金融機関・保険会社
金融機関や保険会社は、データベースの情報を活用して土地担保評価に際して土壌汚染の可能性について詳細調査を行う必要があるかどうかのスクリーニング等を行うことが可能となる。また、土壌汚染調査を専門機関に委託して行った際の概略検証に用いることも可能となる。 ⑤ 調査会社
土壌環境を専門とする調査会社は、フェーズⅠ調査(地歴調査)を行う際の土地利用履歴や特定有害物質使用履歴の有無、自然由来の特定有害物質のバックグラウンド濃度状況、埋立て盛土の状況等について、データベースの情報を活用することにより容易に調査把握することが可能となる。 4-1 ⑥ 不動産鑑定業者
不動産鑑定士等は、業務を行う際の参照情報として活用することが可能となる。 4.2 データベースの提供により期待される効果
4.2.1 土壌汚染地のスクリーニング効果 土地利用履歴など土壌汚染の把握とは異なる目的で作成された情報を含め、これまで個別に提供されていた土壌汚染情報をデータベース化し、一括して網羅的に提供することで、土壌汚染情報のアクセス性が改善され、土地取引関係者や国民の多くが情報を参照するようになる。これらの土壌汚染情報をデータベースにより入手することで、対象となる土地や周囲の土地の土壌汚染の状況を把握することが可能となり、複数代替案からの絞込み等、初期の意思決定に資することが期待される。 4.2.2 詳細調査(デューデリジェンス)の判断材料
土地取引に際しては、対象土地についてまず土地履歴調査等で土壌汚染のおそれの有無を把握し、おそれがあると判断した場合は土壌汚染の詳細調査を実施して汚染の存在等を確認していく。データベースで提供される土壌汚染情報は、この土壌汚染のおそれの有無を把握するための基礎資料として活用できるものであり、詳細調査の実施の必要性の判断材料となるものである。 4.2.3 土壌汚染調査の効率化
土壌汚染は土地資産価値に大きく影響するため、土地取引に際しては詳細な土壌汚染調査の必要性の有無等を判断するための土地履歴調査を行う場合が多い。一般に土地履歴調査では、過去における特定有害物質の使用履歴など土地利用履歴に関する資料(登記簿、古地図、空中写真等による)、自然由来特定有害物質のバックグラウンド濃度に関する情報や地形・地質等の特性に関する調査資料、周辺の土壌汚染状況に関する資料(地下水水質、土壌汚染の存在等)を収集して調査し、また併せて現地調査、ヒアリング調査等が行われる。 公的機関等が保有する土地履歴調査に関連する情報の一部を集約し、データベースでまとめて提供することにより、土地履歴調査を効率的に進めることが可能となる。
4.2.4 適切な土壌汚染対策の促進
土壌汚染情報を提供するデータベースの存在が国民や事業者等に広く知られるようになれば、土地取引においてデータベースの情報が頻繁に参照されるようになる。その結果、土壌汚染地の土地所有者は、より良い情報がデータベースに掲載されるように、適切な土壌汚染対策を実施する動機付けが働くものと期待される。 さらには、データベースに情報が掲載されていないことが土壌汚染問題に係る取組不足を示すものとして理解されるようになれば、土壌汚染調査についても実施促進の効果がある。
また、秘匿されがちな土壌汚染情報をデータベースで広く提供することによって、土地取引関係者や国民、あらゆるレベルで土壌汚染に対する関心や認識度が高まるものと考えられる。これにより、当事者が適切な土壌汚染対策とリスク管理を確実に実施し、それを国民が適切に監視する環境の構築が期待される。 4.2.5 土壌汚染地の管理不備に係るリスク低減 改正土壌汚染対策法は、原位置での封じ込め等の掘削除去以外の措置を推奨していることに加え、土壌汚染があっても健康被害の恐れがない「形質変更時要届出区域」の制度も設けている。こうした土壌汚染が残置された土地は、適切に管理される必要がある。 土地所有者による適切な管理を期待するためには、土地取引等に際して、土壌汚染情報が従前の所有者から次の所有者に正しく伝えられなければならない。また、行政が土壌汚染地と、その管理状況を把握することも重要となる。土壌汚染データベースは、土壌汚染地の管理不備に係るリスク低減に寄与するものと期待される。
4.2.6 土壌環境に関する知識の普及・啓発 土壌汚染は、ともすれば秘匿されがちであり、一般の人々の理解が不足している状況もあることから、汚染の程度が重篤でない場合も過剰に反応する傾向が見られる。 健康リスクの観点から舗装や封じ込め程度の措置で十分な低濃度の基準超過であっても、瑕疵と見なして一律的に全部を撤去しなければならないという社会的風潮を改めるために、環境基準の意味や土壌汚染リスクなどについて情報提供に努め、土壌汚染に対する認識や理解を高めていくように努めていく必要がある。
土壌汚染情報データベースを用いて、土壌汚染情報以外に自然由来特定有害物質情報や地下水質情報、地質や土壌など土壌環境に関する基礎的な情報も含めて幅広く提供していくことにより、土壌環境に関して学べる場として利用することも可能である。このことが土壌環境に関する知識の普及・啓発につながるものと期待される。
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国土交通省の低技術
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