|
岡山市・小鳥が丘団地土壌汚染第1次訴訟(3世帯)は、住民の勝訴が確定しました。
7月には確定していましたが、別の第2次訴訟(18世帯)は未だ岡山地裁で係争中であること等でコメントを控えていました。
ニュースで知り得ただけですが、先日、第2次訴訟が和解決着したようなので、遅ればせながら私たち第1次訴訟の顛末について、皆様にご報告とお礼を申し上げます。
この小鳥が丘団地土壌汚染訴訟は、買主の被害住民が、宅地造成分譲した売主の両備ホールディングス株式会社(当時・両備バス㈱)を提訴していた損害賠償請求事件で、私たち第1次訴訟住民は、岡山地裁の勝訴判決に続き、2012年6月28日の高裁判決も勝訴したことは御承知のとおりです。
【第二審】
控訴人・附帯被控訴人・被告 ; (両備ホールディングス株式会社)
附帯控訴人・被控訴人・原告 ; (小鳥が丘団地第1次訴訟3世帯住民)
その後、敗訴した「両備」が上告を断念したことで、高裁判決で裁判確定となりました。
裁判確定については、判決の損害認定額には納得いかなかったので、こちらから上告も考えましたが、2審までが「事実審」であり、最高裁は「法律審」なので、最高裁で損害認定額の審理はしないと知り、勝訴側が上告しても実質的に意味がないので裁判を終結する判断をしました。
損害認定額は、いろいろな見方があり正解を求めるのは難しいのだと思います。
但し、裁判所が「両備」の責任を認定したことは高く評価しています。
土壌汚染発覚から終結まで8年間かかりました。
長い闘いの中で、皆様には当初からご支援いただき、私たちにとって力強い後押しになったこと御礼申し上げます。
裁判で、損害を補填できるほどの賠償は得られませんでしたが、知るかぎりでは「土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した全国初の判決」という、考えてもいなかった判例を作ることができ、難しい裁判は覚悟の上でしたが、提訴してよかったと感じています。
現在は、第1次訴訟(3世帯)のうち、2世帯は既に小鳥が丘から転居し、1世帯は経済的理由で転居していません。
振り返ってみると、話し合いを目指した解決はできず、結果として損害賠償請求裁判での決着になりました。
このマイホーム土壌汚染の責任は被害住民にないことは明らかで、宅地造成分譲した「両備」と、宅地開発許可を出した「行政」との3者で、問題解決のため話し合いが続きました。
住民同士の話し合いの中で、それまでに住民に同じような病気が発生していた事が確認され、土壌汚染が原因ではないかと住民は危機感を強めました。
しかし、「行政」は住民の不安に対し火消しに動き、「両備」は責任を認めず話し合いを拒否し放置する態度を鮮明にしました。
被害住民の共通した要望は土壌浄化でしたが、「両備」は行政の宅地開発許可を得て造成しているので責任はないと動かず、「行政」はまず両備の責任が明らかになることが第一義であると動きません。
この段階で、被害住民の対応の仕方は分かれました。
私たち第1次訴訟(3世帯)は、こう着状態を打開するためには、まず「両備」の責任を明らかにする証拠を集めなければ進展がないと考え、機動的に活動することにしました。
その結果、幸運にも予想以上の有力な証拠が得られ、また信頼できる代理人弁護士にも恵まれて、裁判で勝訴する大きな力となりました。
しかし、私たち第1次訴訟(3世帯)が証拠集めになりふり構わず没頭すればするほど、極端と映ったのか住民全体の合意は得られませんでした。
現実的には困難と思われる土壌浄化の可能性があるとすれば、損害賠償請求裁判で「両備」の責任を認めさせ、その勝訴判決を御旗に住民総意で運動を展開し、行政も巻き込んで土壌浄化工事につなげるプロセスを考えていましたが、住民全体の運動にはつなげられませんでした。
行政の支援が期待できない現状で、相手方企業(両備)が話し合いを拒否した場合、被害住民がマイホーム土壌汚染被害を解決するためには、外部である相手方と闘うとともに、内部とも闘わなければならない(被害住民間の団結)という難しさがあります。
外部との闘いは勝訴という大きな成果がありましたが、内部との闘い(意見の一本化)は調整がつきませんでした。
土壌汚染に関する法律が不備である現在、両方がそろわないと被害住民の納得する解決に至らないのが現実だと思いますが、無駄と判断して闘わないとする意見も、闘い方の方針が異なった意見も、同じ被害住民の意見であるかぎり、致し方ないことだと思っています。
この経験は、今後の生活に活かしたいと思っています。
住民による民事訴訟は、2つのグループに分かれて損害賠償請求事件として提起され、私たち第1次訴訟(3世帯)は「両備」の責任の認定を求めて、第2次訴訟(18世帯)は「両備」に抜本的な土壌改良を求めて提訴しました。
第1次訴訟(3世帯)は判決で勝訴し「両備」の責任が認定されましたが、第2次訴訟(18世帯)は和解での解決ですから「両備」の土壌汚染の予見可能性はないことの主張を認め損害賠償だけで終了しているので、原告住民の得た結果が違ったことは残念に思います。
しかし、私たち第1次訴訟の勝訴判決は、第2次訴訟の和解およびその他の住民への見舞金支給という形となり、一定の波及効果はあったと思っています。
次に、体験談の中から一部紹介します。
行政との闘いの一環で、この土壌汚染不動産が固定資産税滞納となり、管轄する岡山市により差押物件となっていました。
道理から考えて、差押物件(土壌汚染不動産)を処分するよう岡山市に要望しましたが、岡山市は他の財産(預金や生命保険等)を差押え解約処分し、当該不動産には手をつけませんでした。
民間と異なり行政の税金課には強力な権限があり、差押財産の選択は徴税機関にあるとされ、換金しやすい財産を差押え処分するようです。
行政機関は悪いことをしないという前提で公認されていると思いますが、道理の通った選択なのかと疑問に思います。
納得いかなかったので要望し続け、不当と思われる財産を処分されながらも屈服しませんでしたが、今の時代いつどんな形で行政と闘うことになってもおかしくないところ、納得いかなければ主張すべきと考える人は念頭に入れなければならない点だと思いました。
次に、両備との交渉の体験として、裁判終結のあと、不良不動産を分譲した両備に対し、当該不動産の引き取りを申し入れ(無条件で)ましたが、引き取りを拒否されました。
両備には不良不動産を分譲した責任を取って円満に解決したいという気持ちはないと解釈しています。
もう一つ、11月中旬に、岡山市固定資産評価審査委員会が私の保有土地に対して3割減額を決定しました。
汚染発覚当初、多くの被害住民と申請し、却下されたものと同じものです。
固定資産税に関しては微々たるもので、私はすぐにでも不動産処分すると決めていたのであまりメリットはないのですが、地裁勝訴判決を勝ち取った被害者の役割と思い、私が所有者の立場で再度、今年4月に申し立てしていました。
減額割合は、直近に出た高裁判決の損害認定額を参考にしたようです。
ただ、同じ不動産でも家屋は却下でした。
岡山市は最後まで反論し、「土壌汚染を原因として資産を減額する法律はないので出来ない。」との立場を変えず、委員会審査会議も5回開かれ半年以上の長期審査になりましたが、司法判決が決め手になったようです。
委員会の決定は拒否できないので、岡山市は固定資産評価の修正をすると思います。
岡山市が最後まで拒否したのは、土壌汚染が原因で評価の修正をすると影響の範囲が大きいためと推測しています。
被害者の小さな抵抗ですが、実績作りは現状を変えるための手段として大切だと思っています。
これで、力の及ぶ範囲では思い残すことなく、第1次訴訟(3世帯)の出来る役割はここまでなのかなと感じています。
なお当ブログは今回をもって終了しますが、小鳥が丘の事例がマイホーム土壌汚染被害者の何かの参考になればと思い、ブログは閉鎖せずに残しておきます。
被害者住民活動の要約を時系列に参照したい場合は、当ブログの
書庫「小鳥が丘土壌汚染アーカイブ」全48ページ
(01)汚染発覚!
から
(234)第2回「控訴審」!その15
まで、お読みいただき
その後、
書庫「住宅団地の土壌汚染」
小鳥が丘土壌汚染・第2回「控訴審」!その16
から
小鳥が丘土壌汚染裁判!高裁判決(平24・6)記事、(2012/7/7)
まで、目を通していただくと網羅されています。
最後に、皆様の長い間のご支援に改めて感謝申し上げるとともに、ご報告とさせていただきます。
ありがとうございました。
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘住宅団地の土壌汚染公害問題は、団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の話し合いが平行線のまま「両備」が話し合いを拒否し放置したため、2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴しました。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。原告(住民)も附帯控訴を提起し、第二審(広島高等裁判所・岡山支部)2012年6月28日の判決で連続勝訴となり、汚染発覚後8年経過して原告(住民)の勝訴が確定しました。
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
|
全体表示
[ リスト ]





勝訴おめでとうございます。
長く苦しい戦いだったのですね。
お疲れ様でした。
2012/12/27(木) 午後 11:58 [ よっちゃん ]
[よっちゃん]さん
振り返ると、8年間は長いようであり、つい先日のようにも感じられます。
平穏な生活では分からなかった裏側の事情も垣間見ることができました。
コメントありがとうございます。
2012/12/28(金) 午後 8:30 [ 小鳥が丘団地救済協議会 ]
ごくろう様でした。
浄化の道は遠く険しいですが、少しずつ前進させていけば、いつかは達成できると信じます。
2013/1/19(土) 午後 8:30 [ 高砂のPCB汚泥の盛立地浄化 ]
低コスト・低負荷型土壌汚染調査・対策技術 平成25年度の募集開始
環境省は、平成25年度の「低コスト・低負荷型土壌汚染調査対策技術検討調査事業」の対象技術を平成25年2月25日まで募集することにした。
この事業は、民間企業等において行われる優れた低コスト・低負荷型の土壌汚染
調査・対策技術の実証試験の提案に対し、委託調査として支援し、画期的な技術の開発及びその成果の普及促進を図ることを目的とするもの。
調査対象に選定されると、実際に土壌が汚染された場所で、土壌汚染状況調査を実施し、応募者自らが応募技術に関する評価を環境省の指示のもとに行うことになる。技術1件につき原則最大2,400万円の調査費を環境省が負担する。
今回の対象技術の要件は、土壌汚染対策法の特定有害物質とされている25物質、ダイオキシン類及び鉱油類による汚染土壌を、安全・確実に処理することや、効率的に調査することができる、低コストな[1]土壌汚染の調査に係る簡易・迅速な測定技術、
[2]浄化技術、
[3]封じ込め技術、
[4]汚染土壌からの重金属等の再利用に関する技術。
2013/2/1(金) 午前 6:41 [ 高砂のPCB汚泥の盛立地浄化 ]
えっと、初めてブログに書き込みさせて貰います( ´∀`)
迷ったんですけど、どうしてもありがとうを伝えたくて書き込みしました(∩_∩)
スポーツとかでもそうですが、ブログも小説みたいに書き手のセンスが問われるんだなって。
同じようにブログを書いてる者としては刺激的でもあり、実力の差を知ってちょっとがっかりしたり笑(´ェ`*)
でも純粋に一読者として楽しくブログを拝見させた貰いましたし、あっというまにファンの一人になってました(◎>U<◎)
自分のブログでもないのにちょっと書くか迷ったことがあるんです。
というのもちょっと抱え込んでる悩みがあって。
私の悩みにどんなことを、小鳥が丘団地救済協議会さんなら言ってくれるんだろうって率直に知りたい気持ちです。
koikaren@i.softbank.jp
時間がある時でもちろん構わないので、もしよかったら連絡を貰えませんか。
2015/1/20(火) 午前 11:56 [ u9h**jje ]