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マイホーム土壌汚染被害民事訴訟第一次(3世帯)住民の母体である「小鳥が丘団地救済協議会」が、3世帯住民の体験を発信し多くの方と議論してきました。この記事を発生順序で整理し再度掲載します。
l 2011年(H23)8月16日、第一審「判決」(5月31日)で、原告(住民)が勝訴したあと、被告(両備)が即刻控訴し、控訴人(両備)から「控訴理由書(7月21日付)」が届く。
控訴人(両備)からの「控訴理由書」!(13)
【第二審】
控訴人 ;(両備ホールディングス株式会社)
被控訴人;(小鳥が丘団地第一次訴訟3世帯住民)
第一審判決で、岡山地裁は、被告(両備)の不法行為を一部認め、原告(住民)勝訴となりました。
土壌汚染に関する裁判は多くありますが、大半は土地売買をめぐる企業同士や企業と行政間のものが多く、知る限りでは土壌汚染事件で「全国初」の被害住民勝訴判決となりました。
被告(両備)は、翌日(6月1日)即刻控訴しました。
引き続き行われる裁判で証拠提出するため、新たに、被告会社(両備)作成の本件団地給水施設工事に関して「団地給水施設申請及び設計書」の写しを入手しました。
この文書には「給水施設に廃油工場跡地にできた団地のため、化学製品を使用しない条件とする。」と付記されていて、本件団地の給水管はポリエチレン管でなく当時使用中止になっていた鉛管が実際に埋設されていました。
(水道水による鉛中毒が問題になり、通常は、鉛管を中止してポリエチレン管に切り替えられていた。)
また申請者名欄には「両備バス株式会社」代表取締役社長印が捺印されています。
申請者である被告会社(両備)が主張する「土壌汚染を認識し得なかった」ということはあり得ないと思います。
「控訴審」にあたり、控訴人(両備)作成の「控訴理由書」が届きました。
控訴人(両備)は、東京の弁護士を増員し、科学者などの専門家の意見書など徹底的な反論を準備しているようです。
「控訴理由書」の続きです。
(第6 原判決の誤り)
(3 判示事項3−1ないし3−3について)
((3)判示事項3−3について)
一方、⑤の事実のうち、控訴人が旭油化から本件分譲地の引渡を受けた時点で悪臭が残存し、灰色がかった土地が存在したことは事実であるが、それが故に控訴人において地表に堆積した油脂付着物等を除去し、消臭作業を行ったのであるから、対策以前の状況をことさら買主に告知する意味はない。
また異臭が残存していたとしても、それは購入前に現地に足を運べば容易に判明することであり、殊更に売主からの告知の対象とする必要もない。
⑤の事実のうち、第2期の宅地造成後に建物を建設する際に、本件分譲地から部分的に乾いた黒色がかった土が出てきたことについては、地中に一部そのような黒色がかった土があること自体から住民の生活環境に被害が生じるという危惧は抱かないと考えられることから、控訴人がその存在を告知する義務もなかった。
⑥のうち、廃白土及び油分の地中存在可能性であるが、原判決は、「これらは、居住者の安全性を害し得るものであり、また、生活に不快感・違和感を生じさせ得るものである」というだけで、それ以上の説明がない。
それらが地中に存在した場合、将来的に地上で生活する住民の生活環境を害する恐れがあるということが当時当然に危惧され、したがってその存在可能性が通常一般人である買主にとって重大な関心であると控訴人が知っていたというのであれば、告げるべき義務があったことにもなりうるであろう。
しかし、かかる事情は一切なかったものである。
しかも、控訴人は分譲にあたり、単に地表の油脂付着物等を除去しただけでなく、地中に石灰を入れ混ぜ合わせて土壌改良を行い、地表部分には真砂土を入れて客土した上、その後3年間経過を見て、ほぼ悪臭が消えたことを確認して分譲を行ったものである。
すなわち、消臭対策の目的を達したが故に販売を開始したものである。
問題を解決したと考えていた以上、存在それ自体が買主にいかなる影響を及ぼすのか意識すらしていなかった廃白土及び油分の存在の可能性を買主に告げなかったことは当然である。
当時、いくら消臭対策や客土を行っても、廃白土や油分が地中に存在するおそれがあれば、宅地分譲においてこれを調査することが常識であったとか、調査しなくとも買主に警告することが常識であったという事情は全くないのであるから、これらを意図的に隠したわけでもない控訴人に信義則上の告知義務違反を認定するのは全く根拠がないことである。
以上のとおりであるから、上記①ないし⑥のうち、控訴人が認識していた事実に関してこれを被控訴人らに告げていれば、被控訴人らが契約締結を断念していたとうかがわれる事情はまったくない。
上記①ないし⑥のうち、ベンゼン、トリクロロエチレンの存在は控訴人において認識し得なかったのであるから、その存在可能性を告知しなかったのは当然で、調査して告知する義務がなかったことも明らかである。
また廃白土及び油の地中存在可能性は、これを意図的に隠したわけでもなく、これを告げることが宅地分譲業者の義務として法令に規定されていたり取引慣行上確立していたわけでもない以上、この告知をしていないことが信義則に反するということもありえない。
したがって、説明義務違反として不法行為該当性を認めた原判決の判断は明らかに誤りである。
原判決においては、控訴人のいかなる作為又は不作為に信義則違反といえるだけの不誠実な行為があったのか何も明らかにはされていないし、また、その行為が何ゆえに不法行為責任を根拠づけるほどの違法性を有するのか何ら説明がない。
なお、本件は、特定有害物質による健康被害のおそれに関しては、その汚染が溶出量基準超過の問題に限定されているから、井戸で地下水を飲用する人の健康リスクの問題であり、井戸水を飲用に供していない被告訴人らの健康には影響がない。
問題は、土地を掘削すれば黒い土が現れ、それが異臭を放つということであり、また、土地を掘削しなくともわずかに異臭がする場合があるという点である。
土地を掘削しなくともわずかに異臭がする場合があるという状態は、客観的には売買開始時点と同様か又は現時点ではそれ以下のレベルの問題であるから、これをとらえて本件分譲地に瑕疵があったといえないことは明らかであろう。
したがって被控訴人らの生活上の不利益として残るのは、土地を掘削すれば黒い土が現れ、それが異臭を放つという問題である。
仮に売買契約当時から庭仕事を行う程度でもそのような問題が発生したのならば、瑕疵があったことになろう。
しかし、前述のように、分譲開始から平成16年の水道管工事までの約17年間誰からもクレームがなかったということは、分譲時から長期間、庭仕事程度では黒い土が現れ異臭を放つという状況がなかったことを示すものである。
これは本件分譲地に分譲時において、この点の瑕疵がなかったということを意味する。
物件の正常に関する説明責任に関しては、前述のとおり(裁判例5について言及した本書面「第3 2(1)宅建業者の説明義務の対象」参照)、瑕疵があることが前提である。
瑕疵ではないことについてはそもそも説明義務はない。
もっとも、分譲当時、地中浅いところに異臭を放つ黒い土がなくとも時の経過によりかかる事態が発生することが予測される土地であったのであれば、瑕疵があったという判断もありうるが、仮にかかる判断を行っても、それは、瑕疵担保責任期間の範囲で売買契約上の責任が問われるべき問題である。
前述のとおり、信義則上の説明義務違反が認定されるには、単に瑕疵があったのに言わなかったというだけではなく、信義則に反するといえるほどの不誠実さが必要である。
控訴人には、分譲後十数年たつと地中浅いところに異臭を放つ黒い土が現れるということについて予測もできなかった以上、分譲時にその可能性について言及することはできなかったのであって、その販売においていかなる不誠実さもない。
(参照)
<YAHOO!ブログ>、2011年9月20日
控訴人(両備)からの「控訴理由書」!その13
次回に続く
(参考文献;『深刻化する土壌汚染』第5章「岡山市小鳥が丘団地の土壌汚染事件(小鳥が丘団地救済協議会住民 著)」)
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後8年近く経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。原告(住民)も附帯控訴を提起し、引き続き第二審(広島高等裁判所・岡山支部)で争われます。
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
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l 2011年(H23)8月16日、第一審「判決」(5月31日)で、原告(住民)が勝訴したあと、被告(両備)が即刻控訴し、控訴人(両備)から「控訴理由書(7月21日付)」が届く。
土壌汚染に関する裁判は多くありますが、大半は土地売買をめぐる企業同士や企業と行政間のものが多く、知る限りでは土壌汚染事件で「全国初」の被害住民勝訴判決となりました。
マイホーム土壌汚染被害民事訴訟第一次(3世帯)住民の母体である「小鳥が丘団地救済協議会」が、3世帯住民の体験を発信し多くの方と議論してきました。この記事を発生順序で整理し再度掲載します。
控訴人(両備)からの「控訴理由書」!(12)
【第二審】
控訴人 ;(両備ホールディングス株式会社)
被控訴人;(小鳥が丘団地第一次訴訟3世帯住民)
第一審判決で、岡山地裁は、被告(両備)の不法行為を一部認め、原告(住民)勝訴となりました。
被告(両備)は、翌日(6月1日)即刻控訴しました。
引き続き行われる裁判で証拠提出するため、新たに、被告会社(両備)作成の本件団地給水施設工事に関して「団地給水施設申請及び設計書」の写しを入手しました。
この文書には「給水施設に廃油工場跡地にできた団地のため、化学製品を使用しない条件とする。」と付記されていて、本件団地の給水管はポリエチレン管でなく当時使用中止になっていた鉛管が実際に埋設されていました。
(水道水による鉛中毒が問題になり、通常は、鉛管を中止してポリエチレン管に切り替えられていた。)
また申請者名欄には「両備バス株式会社」代表取締役社長印が捺印されています。
申請者である被告会社(両備)が主張する「土壌汚染を認識し得なかった」ということはあり得ないと思います。
「控訴審」にあたり、控訴人(両備)作成の「控訴理由書」が届きました。
控訴人(両備)は、東京の弁護士を増員し、科学者などの専門家の意見書など徹底的な反論を準備しているようです。
「控訴理由書」の続きです。
(第6 原判決の誤り)
(3 判示事項3−1ないし3−3について)
(3)判示事項3−3について
判示事項3−1及び判示事項3−2に基づいて、法的判断の判示事項3−3が導かれている。
その前提として、原審は、「一般に、宅地建物取引業者には、土地建物の購入者等の利益の保護のために、取引の関係者に対し信義誠実を旨として業務を行う責務を負っているものであり、土地建物の販売や請負、売買の仲介をするに際して、信義則上、買主又は注文者が契約を締結するかどうかを決定付けるような重要な事項で知り得た事実については、これを買主や注文者に説明し、告知する義務を負い、この義務に違反して当該事実を告知せず、又は不実のことを告げたような場合には、これによって損害を受けた買主や注文者に対して、不法行為に基づく損害賠償の責めに任ずるものと解するのが相当である。」(原判決25頁)との一般論を示した。
しかるに、以上の一般論のうち、宅建業者に信義則上の一定の説明義務があることはそのとおりであるが、知っている重要事実でなく知り得た重要事実について一般的に告知義務があるとする点は前述のとおり(本書面「第3 2(2)宅建業者の調査義務」参照)、従来の裁判例と全く異なっている。
また、信義則上告知義務があるとしながら、信義則上要求される何らかの事情が必要とされていることに言及がないことも従来の裁判例(本書面「第3 2(1)宅建業者の説明義務の対象」参照)と異なっている。
さらに、告知義務違反一般を不法行為とするところも従来の裁判例(本書面「第3 2(3)説明義務違反の責任の法的性質」参照)と異なっている。
すなわち、従来の裁判例に従えば、重要事実不告知は、知らないことでも調べることが法令又は取引慣行上求められる場合を除いては、知っている事実の不告知の問題であり、かつ、信義則上の説明義務違反を認定するには、あくまでも告知しないことが信義則に反する事情がなければならないし、不法行為が認められるには不法行為と評価できる程度の違法性が必要である。
次に、原判決が何を告知すべきであったとしているのかを整理する。原判決からは、以下の事実を告げるべきであったとしているように読み取れる。
① 本件分譲地にはかつて、廃白土を原料として石けんやペンキの元となる油を生成していた旭油化が工場を操業しており、同工場の操業が原因で生じる悪臭や水質汚濁等が問題視されていたこと
② 同地の近隣を団地として宅地造成し販売していた控訴人には、同団地の住民から苦情が寄せられていたこと
③ 岡山県や岡山市の公害課が旭油化に対し、再三にわたり行政指導を繰り返していたが、それに従う対策は講じられなかったこと
④ 上記問題を解決するため、控訴人が本件分譲地を購入するに至ったこと
⑤ 本件分譲地が控訴人に引き渡された際、同地には悪臭が残存しており、同地の表面には灰色がかった土が存在し、第2期の宅地造成後に建物を建設する際には、本件分譲地から部分的に乾いた黒色がかった土が出てきたことがあり、臭いも残存していたこと
⑥ 本件分譲地の地中に廃白土、ベンゼン、トリクロロエチレン及び油分が存在する可能性があり、これらは、居住者の安全を害しうるものであり、また、生活に不快感・違和感を生じさせうるものであること
以上のうち、①ないし⑤は控訴人が知っていたことであるので、これを告げれば被控訴人らが土地を購入していなかったであろうと思われる重要事実かどうかが問題になる。
しかし、⑥のうち、ベンゼン及びトリクロロエチレンの存在は知りえなかったことであるから、その存在可能性を告げなかったことが告知義務違反を構成することはありえず、ましてや信義則違反として不法行為を構成するはずもない。
したがって、⑥のうち問題となるのは、廃白土及び油分の地中残存の可能性の告知義務であり、これについては後述する。
①ないし④の事実は、すべて控訴人が旭油化から引渡を受ける以前の事実である。確かに、これらが一般には知られておらず、かつ、控訴人が旭油化から引き渡された土地をそのまま分譲したのであれば、これらの情報は重要事実であろうが、引渡を受けた後、控訴人は旭油化の対策が不十分であったため、第三者の業者に依頼して地表の油脂付着物等を除去し、その上で消臭作業を行い、さらに3年間様子を見て、臭いがほぼ消えたことを確認して分譲を行ったものである。
既に、悪臭対策は講じ終わった後の分譲であるから、これら①ないし④の過去の事実が重要事実であるとは考えられない。
実際、旭油化の操業時に本件分譲地の隣接地に勤務していた被控訴人(A)は、これらすべてを熟知して本件分譲地を購入したものである(原判決15頁以下、被控訴人(A)尋問調書14頁95項)。
①ないし④を知っていれば土地を購入しなかったであろうという判断は、これだけで理由がないことが明らかである。
本件分譲地の買主のうち、被控訴人(A)ほど本件分譲地の過去を知っている者はいないと思われるが、そのような者でも本件分譲地を購入しているからである。
また、土地を購入するにあたって、ヒアリングすることで容易に分かる程度の土地の履歴は買主として当然に自己責任で調べるべきものであり、実際、被控訴人(B)は控訴人にこれを聞いて石けん工場の存在は知らされていた(原判決15頁)。
にもかかわらず、被控訴人(B)が本件分譲地を購入していることは、被控訴人(A)が決して特別な人間ではなかったことを示すものである。
しかも、①ないし⑤のうち、①ないし④は、新聞報道等のマスコミ報道で広く知れ渡っていたことであるところ、悪臭対策後もこれらが知られると販売できないような土地ならば、岡山県、岡山市、が宅地分譲を前提に控訴人に土地の買取りを依頼することも、控訴人が分譲を検討することもありえなかったものである。
したがって、悪臭対策が講じられたにもかかわらず、①ないし④の告知が重要事実であるとの判断に誤りがあることは明白である。
なお、この点については、航空機騒音に関する裁判例39において、前記引用判示のとおり、宅建業者には公害問題について専門知識に基づき説明すべき義務はないし、社会問題化した公知の事実について、受け止め方に個人差のある問題(本件で問題となっている悪臭は、この点で裁判例39の騒音と同様である)に関する情報を買主に告げるべき義務もないとされていることが参照されるべきである。
(参照)
<YAHOO!ブログ>、2011年9月19日
控訴人(両備)からの「控訴理由書」!その12
次回に続く
(参考文献;『深刻化する土壌汚染』第5章「岡山市小鳥が丘団地の土壌汚染事件(小鳥が丘団地救済協議会住民 著)」)
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後8年近く経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。原告(住民)も附帯控訴を提起し、引き続き第二審(広島高等裁判所・岡山支部)で争われます。
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
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l 2011年(H23)8月16日、第一審「判決」(5月31日)で、原告(住民)が勝訴したあと、被告(両備)が即刻控訴し、控訴人(両備)から「控訴理由書(7月21日付)」が届く。
土壌汚染に関する裁判は多くありますが、大半は土地売買をめぐる企業同士や企業と行政間のものが多く、知る限りでは土壌汚染事件で「全国初」の被害住民勝訴判決となりました。
マイホーム土壌汚染被害民事訴訟第一次(3世帯)住民の母体である「小鳥が丘団地救済協議会」が、3世帯住民の体験を発信し多くの方と議論してきました。この記事を発生順序で整理し再度掲載します。
控訴人(両備)からの「控訴理由書」!(11)
【第二審】
控訴人 ;(両備ホールディングス株式会社)
被控訴人;(小鳥が丘団地第一次訴訟3世帯住民)
「小鳥が丘団地」土壌汚染訴訟(3世帯)の「控訴審」にあたり、控訴人(両備)作成の「控訴理由書」が届きました。
控訴人(両備)は、東京の弁護士を増員し、科学者などの専門家の意見書など徹底的な反論を準備しているようです。
第一審判決で、岡山地裁は、被告(両備)の不法行為を一部認め、原告(住民)勝訴となりました。
被告(両備)は、翌日(6月1日)即刻控訴しました。
引き続き行われる裁判で証拠提出するため、新たに、被告会社(両備)作成の本件団地給水施設工事に関して「団地給水施設申請及び設計書」の写しを入手しました。
この文書には「給水施設に廃油工場跡地にできた団地のため、化学製品を使用しない条件とする。」と付記されていて、申請者名欄には「両備バス株式会社」代表取締役社長印が捺印されており、申請者である被告会社(両備)が主張する「土壌汚染を認識し得なかった」ということはあり得ないと思います。
「控訴理由書」の続きです。
(第6 原判決の誤り)
3 判示事項3−1ないし3−3について
(1)判示事項3−1について
ここで列挙されている事実は、安全性や快適性に疑問を生じさせる情報であるとされている。しかし、安全性に疑問を生じさせるということが健康被害を危惧させるという意味ならば、そのようにいう理由はない。
当時の控訴人だけでなく付近住民の関心や岡山県及び岡山市の関心は、旭油化の操業と工場内堆積物による悪臭であり、それは、その工場移転が行われ、悪臭を放った工場内堆積物の除去と消臭作業で解決する問題だからである。
(2)判示事項3−2について
原判決は当時から廃白土やベンゼンやトリクロロエチレンに規制があったというが、廃白土に対する規制とは廃棄物処理法の規制で、一般の産業廃棄物と同様に運搬、処分に規制があったにすぎない。
なお、廃白土とは、再生油等を精製するにあたって用いる濾過剤としての砂である白土の使用済みのものであり、そのため産業廃棄物として扱われるが、産業廃棄物であるから健康被害等をもたらしうる有害物質であることにはならないこともまた明らかである。
一方、ベンゼンやトリクロロエチレンに関する規制は水質汚濁防止法上の排水規制であるが、控訴人にその存在の予見可能性がなかったことは前述のとおりである。
また、油臭による不快感や違和感がその程度によっては生活に支障を生じさせうることはそのとおりであるが、それは、消臭作業が行われなかった場合の問題であり、消臭作業が適切に行われると、そもそもその問題は生じないので、生活上の不快感はない。
なお、ベンゼンやトリクロロエチレンが一定濃度以上に地中に存在しても、それにより汚染された地下水を飲み続けない限り、そこに居住している人の健康に影響がないことは前述(本書面「第2 土壌汚染の健康被害と生活被害」の「2 土壌汚染対策法のリスク管理」参照)のとおりである。
(参照)
<YAHOO!ブログ>、2011年9月19日
控訴人(両備)からの「控訴理由書」!その11
次回に続く
(参考文献;『深刻化する土壌汚染』第5章「岡山市小鳥が丘団地の土壌汚染事件(小鳥が丘団地救済協議会住民 著)」)
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後8年近く経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。原告(住民)も附帯控訴を提起し、引き続き第二審(広島高等裁判所・岡山支部)で争われます。
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
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l 2011年(H23)8月16日、第一審「判決」(5月31日)で、原告(住民)が勝訴したあと、被告(両備)が即刻控訴し、控訴人(両備)から「控訴理由書(7月21日付)」が届く。
土壌汚染に関する裁判は多くありますが、大半は土地売買をめぐる企業同士や企業と行政間のものが多く、知る限りでは土壌汚染事件で「全国初」の被害住民勝訴判決となりました。
マイホーム土壌汚染被害民事訴訟第一次(3世帯)住民の母体である「小鳥が丘団地救済協議会」が、3世帯住民の体験を発信し多くの方と議論してきました。この記事を発生順序で整理し再度掲載します。
控訴人(両備)からの「控訴理由書」!(10)
【第二審】
控訴人 ;(両備ホールディングス株式会社)
被控訴人;(小鳥が丘団地第一次訴訟3世帯住民)
「小鳥が丘団地」土壌汚染第1次訴訟(3世帯)裁判は、2011年5月31日に「判決言い渡し」があり、岡山地裁は、被告(両備)の不法行為を一部認め、原告(住民)勝訴となりました。
被告(両備)は、翌日(6月1日)即刻控訴しました。
引き続き行われる裁判で証拠提出するため、新たに、被告会社(両備)作成の本件団地給水施設工事に関して「団地給水施設申請及び設計書」の写しを入手しました。
この文書には「給水施設に廃油工場跡地にできた団地のため、化学製品を使用しない条件とする。」と付記されていて、本件団地の給水管は、ポリエチレン管でなく当時使用中止になっていた鉛管(水道水による鉛中毒が問題になりポリエチレン管に切り替えられた)が実際に埋設されていました。
また申請者名欄には「両備バス株式会社」代表取締役社長印が捺印されています。
申請者である被告会社(両備)が主張する「土壌汚染を認識し得なかった」ということはあり得ないと思います。
「控訴審」にあたり、控訴人(両備)作成の「控訴理由書」が届きました。
「控訴理由書」の続きです。
第6 原判決の誤り
原判決が控訴人の責任を認めたのは判示事項3−1から3−3までにおいてであるが、これらは、判示事項1及び2に記載されていることを前提としており、判示事項1及び判示事項2についても判示事項3−1から3−3において見られる誤りと同種の誤りが見られるので、以下、合わせて論じることにする。
1 判示事項1について
原審は、判示事項1において、廃白土、汚泥、ベンゼン、トリクロロエチレン、油分を並列に並べているが、まず、ベンゼン及びトリクロロエチレンは化学物質の名称であり、その他はさまざまな物質を含みうる物の呼称である。
ベンゼンやトリクロロエチレンは、土壌汚染対策法で定める特定有害物質であるが、その他はさまざまな物を含みうるため、特定有害物質を含むことも含まないこともある。
したがって、これらは分けて考える必要がある。
まず、ベンゼンやトリクロロエチレンであるが、原判決はこれらの存在の可能性を疑いうる根拠として、「旭油化は、当時、廃白土を原料として石けんやペンキの元となる油を生成していた会社であり、溶剤や洗浄剤、脱脂剤としてベンゼンやトリクロロエチレンを使用していることは一般的に容易に予測し得ることであるから、同社の工場内にあった廃白土や汚泥にこれらの物質や油分が含まれていたことについては、認識し得ることである。」と述べている(原判決23頁)。
しかし、旭油化が溶剤や洗浄剤や脱脂剤としてベンゼンやトリクロロエチレンを使用していたことは、当時、一般人の知識や経験からは予測できなかったことは明らかである。
宅建業者もこの点では同列であって、宅建業の免許を取得するにあたって、工場跡地にいかなる土壌汚染があるのかについて特別の知識が問われることはなかった。
工場跡地を売却したり媒介したりする場合に、工場での作業工程を確認し、そこから生じうる土壌汚染の発生可能性を調査する義務があれば、かかる予測可能性を認定できるであろうが、当時においても現在においてもかかる義務が宅建業者にないことは本書面「第4 土壌汚染に関する取引関係者の意識と取引慣行」で詳述したとおりである。
宅建業者の重要事項説明義務に土壌汚染対策法上の指定区域の指定の有無が挙げられるに至ったのは、同法成立の翌年である平成15年からであり、しかも、重要事項説明義務として宅建業者に求められていることはその指定の有無のみであって、現在でも過去の土地の履歴を探求してその可能性のある土壌汚染を調査し説明する義務はない。
一方、廃白土、汚泥及び油分がかつて存在していたことは、もともとそれらが旭油化の工場内で放置されて社会問題化していたのであるから公知の事実であったというべきである。
ただし、それらを宅地分譲に適するように必要な範囲で除去し、また消臭するという作業が必要であると控訴人が自主的に判断し、これを行ったものである。
原審の判断が、仮に地中の廃白土や油分の存在を認識できた場合は、それゆえに宅地造成として不適当であるとの判断をすべきだったというのであれば、かかる判断には理由がない。
当時、控訴人だけでなく岡山県も岡山市も、旭油化の問題は、悪臭を発する操業と悪臭を発する工場内堆積物の工場内の堆積の問題と理解していたのであるから、旭油化が移転した以上、あとは、堆積していた工場内堆積物の除去を含めて、どれだけの作業を行えば悪臭が除去されるかだけが問題関心であり、その除去と消臭が確認されれば、十分であったものである。
開発して分譲することが不適当な土地であったのであれば、岡山県や岡山市が控訴人に対して宅地分譲を前提に買取りを依頼すること自体ありえないことである。
2 判示事項2について
ここでは、作業後に本件分譲地に残ったベンゼン、トリクロロエチレン、シアン化合物(なお、原審判決は本件分譲地中にシアン化合物が溶出量基準を超えて存在すると認定しているが(原審判決18頁)、これは誤りである。甲第4号証の1で検出されたシアン化合物は0.01mg/1であり、シアン化合物の報告下限値は0.1mg/1であるから、これ以下は検出されていないことと同じ扱いで(乙第31号証の1、2)、基準値を超えているものではない(被告最終準備書面6頁))及び油分等について言及がある。
地中のベンゼンやトリクロロエチレンやシアン化合物を認識できなかったという原判決の指摘は正当であるが、これらの物質と油分とは質が異なる問題である。
前者は予想可能性もない問題である。
しかし、油分については、いかなる消臭作業によって悪臭を消せば、当時分譲業者の義務を果たしたといえるかという問題である。
この点について控訴人の義務違反を否定した原審の判断は、もとより正当であるが、以上のとおり、油分とそれ以外とは質的な違いがあることを何ら意識していないことは不当である。油分については、当時、それが悪臭をもたらす程度である場合に、生活環境の快適性を阻害することが問題であったのであって、何が適切な消臭作業かが問題になるだけだったからである。
(参照)
<YAHOO!ブログ>、2011年9月18日
控訴人(両備)からの「控訴理由書」!その10
次回に続く
(参考文献;『深刻化する土壌汚染』第5章「岡山市小鳥が丘団地の土壌汚染事件(小鳥が丘団地救済協議会住民 著)」)
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後8年近く経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。原告(住民)も附帯控訴を提起し、引き続き第二審(広島高等裁判所・岡山支部)で争われます。
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
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マイホーム土壌汚染被害民事訴訟第一次(3世帯)住民の母体である「小鳥が丘団地救済協議会」が、3世帯住民の体験を発信し多くの方と議論してきました。この記事を発生順序で整理し再度掲載します。
l (2011年(H23)8月16日、第一審「判決」(5月31日)で、原告(住民)が勝訴したあと、被告(両備)が即刻控訴し、控訴人(両備)から「控訴理由書(7月21日付)」が届く。)
控訴人(両備)からの「控訴理由書」!(9)
【第二審】
控訴人 ;(両備ホールディングス株式会社)
被控訴人;(小鳥が丘団地第一次訴訟3世帯住民)
「小鳥が丘団地」土壌汚染訴訟(3世帯)の「控訴審」にあたり、控訴人(両備)作成の「控訴理由書」が届きました。
控訴人(両備)は、東京の弁護士を増員し、科学者などの専門家の意見書など徹底的な反論を準備しているようです。
第一審判決で、岡山地裁は、被告(両備)の不法行為を一部認め、原告(住民)勝訴となりました。
土壌汚染に関する裁判は多くありますが、大半は土地売買をめぐる企業同士や企業と行政間のものが多く、知る限りでは土壌汚染事件で「全国初」の被害住民勝訴判決となりました。
これを受けて、被告(両備)は、翌日(6月1日)即刻控訴しました。
控訴審・初回口頭弁論は、2011年(H23)9月22日13時30分から、広島高等裁判所岡山支部で行われます。
引き続き行われる裁判で証拠提出するため、新たに、被告会社(両備)作成の本件団地給水施設工事に関して「団地給水施設申請及び設計書」の写しを入手しました。
この文書には「給水施設に廃油工場跡地にできた団地のため、化学製品を使用しない条件とする。」と付記されていて、申請者名欄には「両備バス株式会社」代表取締役社長印が捺印されており、申請者である被告会社(両備)が主張する「土壌汚染を認識し得なかった」ということはあり得ないと思います。
「控訴理由書」の続きです。
第5 原判決の構造
1 不法行為該当性
原審判決は、三つの観点で控訴人の不法行為がなかったかを検討している。
第一は、「宅地造成すべきではなかったのに宅地造成して販売した」といった事実があるのか、第二は、「汚泥等の汚染物質を取り除いて宅地造成すべきであったのに不十分な対策しかしなかった」といった事実があるのか、第三に、「売主又は仲介業者として本件分譲地の履歴等を説明すべきであったのにしなかった」という事実があったのかという点である。
結論として、第一の事実はない、第二の事実もない、第三の事実があるという判断である。
第一の事実がないという判断において、原審は、「被告は、本件分譲地中に廃白土、汚泥、ひいてはベンゼン、トリクロロエチレン及び油分が存在する可能性があるとの疑いを抱き得るとまではいえようが、これを超えて、実際に、同地中にいかなる物質が含まれているか、また、その物質の有害性等について、被告が旭油化の操業実績等から直ちにこれを認識することができたということはできない。」(以下「判示事項1」という)と判示している。
第二の事実がないという判断において、原審は、控訴人が油分の多い土壌の搬出作業を依頼し、消臭工事を依頼したことに言及し、「上記対策では、本件分譲地中に存在する悪臭の原因を取り除くことはできない。しかしながら、前述のとおり、被告は、宅地造成時において、本件分譲地中にベンゼン、トリクロロエチレン、シアン化合物及び油分等が存在したことを認識することができたとまではいえないのであるから、販売時において、上記物質を完全に除去して販売する義務まで課せられるものではなく、上記対策を行ったことで被告の対策義務は果たされたというべきであり、対策が不十分であるということで被告に不法行為責任が課せられることはない。」(以下「判示事項2」という)と判示している。
第三の事実については、これがあると原審は判断したのだが、要約すると、(ア)旭油化の工場操業時に悪臭や水質汚濁等が問題視され、旭油化から本件分譲地の引き渡しを受けた時にも悪臭が残存し表面には灰色がかった土が存在し、第2期造成後の建物建設時に本件分譲地から部分的に乾いた黒色がかった土が出てきて臭いも残存していたが、これらは住宅の安全性、快適性に疑問を生じさせる情報であり(以下「判示事項3−1」という)、(イ)本件分譲時において、廃白土、ベンゼン、トリクロロエチレンについては規制があり、油臭による不快感、違和感が生活に支障を生じさせうることについても一般に認識されていたことから、これらが一定量を超えて地中に存在すれば、居住者の安全が害されうること、また、そのような土地に居住することは、一般的に不快を感じ得る事情であった(以下「判示事項3−2」という)として、その上で、「被告としては、安全性、快適性に関するより詳細な情報を収集すべく調査をした上で、その調査内容を説明するか、このような調査をしない場合には、少なくとも、認識していた上記(ア)の各事情の外、同地中に廃白土、ベンゼン、トリクロロエチレン及び油分が存在する可能性があり、これらは、居住者の安全性を害し得るものであり、また、生活に不快感・違和感を生じさせ得るものであることについて説明する義務があったというべきである。」(以下「判示事項3−3」という)としている。
2 損害
原審は、本件分譲地内の物質を原因とする被控訴人らの健康被害を認めなかったが、上記説明義務を尽くせば、被控訴人らは売買契約や請負契約を締結しなかったであろうと認定し、説明義務違反とこれら契約締結との間に因果関係があり、これらの契約にあたり被控訴人らの支出した金額のうち、これら契約の結果被控訴人らが現在有している土地建物の価値を考慮して控え目に見ても、その半額程度は損害であろうと認定しているものである。
(参照)
<YAHOO!ブログ>、2011年9月18日
控訴人(両備)からの「控訴理由書」!その9
次回に続く
(参考文献;『深刻化する土壌汚染』第5章「岡山市小鳥が丘団地の土壌汚染事件(小鳥が丘団地救済協議会住民 著)」)
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後8年近く経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。原告(住民)も附帯控訴を提起し、引き続き第二審(広島高等裁判所・岡山支部)で争われます。
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