小鳥が丘団地救済協議会(土壌・地下水汚染公害被害)

岡山市・小鳥が丘団地の土壌・地下水汚染公害の解決に努力する住民達のブログです

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2011年(H23)12月20日に行われた、第一次訴訟(3世帯)・第3回「控訴審」に提出された準備書面を掲載します。
 
今回の提出準備書面内訳
[1]平成23年12月8日付け「控訴人(両備)提出、第3準備書面」。
[2]平成23年12月19日付け、「附帯控訴人(住民)提出、準備書面3」。
 
控訴人(両備)提出証拠資料
(乙76号証)、応用地質株式会社作成「南古都団地土壌調査(黒い土の成因調査)報告書」。
(乙第77号証)、財団法人岡山県環境保全事業団土屋充作成『「南古都団地」における土壌汚染事象についての一考察』。
(乙第78号証)、岡山大学大学院環境学研究科教授西垣誠作成「南古都団地の土壌に関しての意見書」。
 
 
両者の名称
(両備)は、 控訴人  ・ 附帯被控訴人 ・ 被告 。
(住民)は、 被控訴人 ・ 附帯控訴人  ・ 原告 。
 
 
次に、[2]平成23年12月19日付け、「附帯控訴人(住民)提出、準備書面3」、です。
 
 
平成23年(ネ)第218号 損害賠償請求控訴事件   
控訴人  両備ホールディングス株式会社
被控訴人 藤  原     康   外
 
 
準備書面3
平成23年12月19日
 
広島高等裁判所 岡山支部第2部 御中
 
           被控訴人ら代理人弁護士  河  田  英  正
 
 
平成23年12月8日付控訴人第3準備書面に関して
 
第1 控訴人の「工業系」廃油の存在の認識可能性がなかったことを前提とする本件土壌汚染に責任のないとの主張は、その前提そのものが認められず、理由がなく認められない。
 
1,控訴人の本件「黒い土」は、当初から存在したものではなく、植物性油成分から生成された硫化鉄であり、有害なものではなく、工業系廃油による本件土壌汚染が認識可能性がなかった以上、本件土壌汚染に関して責任を負う立場にないと主張している。
つまり、今回の控訴人の主張は、「工業系廃油」の存在を認識不可能であったことが大前提となっている。
しかし、その前提そのものが間違っていることは、被控訴人らが原審において詳しく主張してきたところであるが、当審においても平成231031日付被控訴人準備書面第2において述べたとおりである。
 
2,本件団地には、児童の健康に及ぼす危険から既に鉛管の水道管の使用は中止されていたにも関わらず、本件土壌汚染の化学製品による水道管に及ぼす影響を考え、あえて健康に危害を及ぼす怖れのある危険な鉛管を使用している(甲32号証、甲36号証)。
控訴人が激しい土壌汚染がなお存在していたことを認識していた証拠である。
また、控訴人は、本件土地の造成工事に際し、ケミコによる土壌改良・消臭工事を東山工務店に行わせている。旭油化が植物油系廃油のみを取り扱っていたのでいわゆる「工業系廃油」が存在しえないと控訴人が認識していたのであれば、わざわざケミコによる土壌改良や消臭工事をする必要はなかったはずである。
植物油系廃油であれば、有機物であるから、一定期間放置することによって、微生物の働きによって、消臭されることになるはずである。
しかし、ケミコを使用していることは、微生物によっては除去できない工業系廃油が多量に存在し、激しい土壌汚染が存在していたことを控訴人が当時も認識していたことを意味するものである。
ケミコは、「工業系廃油」による油臭など土壌汚染対策に使われるのである(乙59号証ないし乙62号証)。
重油等による深刻な油汚染に対して一定の対策を控訴人は計画し、不完全であるが実施したのである。
しかし、控訴人側で実施したボーリング調査結果(甲17号証)、別の訴訟である小鳥が丘団地住民側の行ったボーリング調査結果(乙80号証補足資料5−8以下)によっても、控訴人が主張するような効果的な明確なケミコによる施工の層はみられず、不完全な工事であった。
 
3,控訴人は、東山工務店に地中に投棄されていたドラム缶にはいった廃油115トンを320万円もの処理費を支払って産業廃棄物として処理させている(乙66号証)。
旭油化の原材料として保管されていたのではなく、旭油化の敷地の地中にドラム缶に入れて投棄されていたのであるから、それは旭油化の原材料となる植物系廃油ではないことは認識していた。
 
4,控訴人は、一般人として、化学的、生物学的知識が特にあるものではないので、本件土壌汚染のメカニズムは認識しようもなく、本件土壌汚染の結果は予測しえなかったと主張している(控訴人第準備書面ページ)。
控訴人は、単に本件土地を宅地として開発するためにその所有者と交渉して購入し取得したのではない。
控訴人に対して、この分譲開発した小鳥の森団地の住民から旭油化からの悪臭などに対して苦情がでていた。旭油化は度重なる行政指導にも応じてこれを是正することなく、刑事処罰を受けてもなお違法操業を繰り返す、傍若無人の遵法精神のかけらもない公害発生企業であった。
こうした状況において、控訴人は、旭油化には問題解決能力がないと考えてこの土地を買い取ることによって問題を解決して、本件土地を宅地分譲しようとしたのである。
旭油化の環境汚染の実態、違法操業の実情など直接見聞してきて(甲号証、紛争の実情記載の内容)、価格交渉などのために旭油化と長期にわたる交渉がなされて、本件土地を宅地分譲用として岡山簡易裁判所の和解手続きによって取得したのである。
この取得の経過は、ほぼ争いのない事実である。
もはや、控訴人は、この取引において、第三者的な一般人としての立場ではなく、被控訴人ら宅地購入者にとっては旭油化の違法な実態をそのまま継承している直接的な当事者である。
しかも、控訴人は宅地開発分譲業者であり、安全な宅地を消費者に提供しなければならない義務があり、控訴人には原審原告ら平成221217日付準備書面第項記載のとおりの故意、過失が存在することは明白である。
 
 
次回に続く。
 
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後7年以上経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。原告(住民)も附帯控訴を提起し、引き続き第二審(広島高等裁判所・岡山支部)で争われます。
 
 
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
2011年(H23)12月20日に行われた、第一次訴訟(3世帯)・第3回「控訴審」に提出された準備書面を掲載します。
 
今回の提出準備書面内訳
[1]平成23年12月8日付け「控訴人(両備)提出、第3準備書面」。
[2]平成23年12月19日付け、「附帯控訴人(住民)提出、準備書面3」。
 
控訴人(両備)提出証拠資料
(乙76号証)、応用地質株式会社作成「南古都団地土壌調査(黒い土の成因調査)報告書」。
(乙第77号証)、財団法人岡山県環境保全事業団土屋充作成『「南古都団地」における土壌汚染事象についての一考察』。
(乙第78号証)、岡山大学大学院環境学研究科教授西垣誠作成「南古都団地の土壌に関しての意見書」。
 
 
両者の名称
(両備)は、 控訴人  ・ 附帯被控訴人 ・ 被告 。
(住民)は、 被控訴人 ・ 附帯控訴人  ・ 原告 。
 
 
[1]平成23年12月8日付け「控訴人(両備)提出、第3準備書面」、の続きです。
 
(第2 損害について)
 
 
2 被控訴人らの主張する損害について
 
被控訴人らは、本件土地を「健康に影響を及ぼす危険物質を含む激しい土壌汚染のある土地」(原告ら平成22年7月5日付準備書面10頁等)とし、被控訴人らに「多大なる財産的、精神的損害を与えた。」(同準備書面11頁等)と主張するが、財産的損害については、その詳細を主張していないので、本件土地の土壌汚染によって被控訴人らにどのような財産的損害があるのかは不明である。
しかし、植物油系廃油のもたらしている損害と工業系廃油の中に存在するベンゼンその他の特定有害物質のもたらしている損害とは、別のものであり、これらを区別して論じる必要がある。そこで、以下にこれらを分けて反論する。
 
(1)販売した土地に残存している植物由来廃油のもたらしている損害について
植物由来廃油がもたらしている損害として考えられるものは、メタンガスと硫化水素である。
だだし、硫化水素は地中を掘らなければ検出されず、また地中を掘っても必ずしも検出されず、検出されたとしてもその量もわずかなので、日常生活に支障を及ぼすことはない。
 
他方、メタンガスは、確かに地表でも検出されており、量水器に滞留しているところがある。
したがって、安心した生活を送るという観点からみれば、適切な対策が必要であるとも考えうるが、その対策としては、専門家によれば、各被控訴人の土地にガス通気孔を設置することで、メタンガスを逃がし、また、地中を好気的な雰囲気にしてメタンガスの発生を止める対策で十分であるとされている(乙第77号証・土屋常務理事意見書6頁)。
これに要する費用は本件団地全体に通気孔を通したとしても(合計45本)、197万円であって、通気孔一本約4万3000円でしかない。
本件団地にある住戸全35戸で分担しても、各住戸ごとに6万円を超えず、各被控訴人の損害もこれを超えるものではない(乙第84号証)。
なお、硫化水素も嫌気的雰囲気のもとで生成されるから、かかる通気孔対策は硫化水素の発生も防止することになる。
 
なお、地中の異臭は、掘削しない限り、地上で生活する者には感知されない。
しかし、掘削すると場所によっては地表近くでも異臭がするという状態は、ガーデニング等日常生活に全く支障をきたさないとまでは言い切れないかもしれない。
したがって、地中の異臭についての損害は、ガーデニングを行うにあたり異臭のために不便を感じることがありうる不利益分のみを損害として評価すべきである。
通常のガーデニングは50cmも掘らないことを考えると、地中の異臭は通常のガーデニングには全く支障をきたさないと思われる。
悪臭に関する被害についての裁判例をみてみると、魚のあら工場の激烈な悪臭のため、食事、睡眠、労働、営業など日常生活の各分野で様々の被害を受け、生鮮食品の販売業を営んでいて売上げが半分程度まで減少した者に90万円の慰謝料、その他の者は10万円〜30万円程度の慰謝料が認められているにすぎない(乙第85号証・名古屋地裁一宮支部昭和54年9月5日判決判例時報938号9頁)。
同事件では常に悪臭が漂っているため日常生活に支障を来たすことから、慰謝料の原因となったものである。
したがって、土を掘らなければ臭いのしない本件では、慰謝料の発生原因となるとは考えにくい。
 
仮に本件で損害が発生したとみることができるとしても、かかる不便の損害は、多く見ても被控訴人ごとに30万円を超えないと言うべきであり、この異臭の原因は、植物由来廃油と工業系廃油の双方が原因と考えられるから、植物由来廃油の寄与度を半分と考えると、植物由来廃油を原因として現在生じている異臭の損害は被控訴人ごとに15万円を超えないというべきである。
 
以上のとおりであるから、植物由来廃油のもたらしている損害は、被控訴人ごとに考えると、各21万円(6万円+15万円=21万円)を超えない。
植物由来廃油であれば、特定有害物質が含まれるものではなく、上記損害を超えて土地評価額に影響を及ぼすことは考えられない。
 
(2)販売した土地に残存している工業系廃油のもたらしている損害について
工業系廃油がもたらしている損害としてまず考えられるものは、異臭である。
異臭についての工業系廃油の寄与分が半分であると考えると、その損害は、上記のとおり、被控訴人ごとに15万円を超えないと言うべきである。
 
被控訴人らは、本件土地建物が無価値なものであったと主張するが、本件土地が健康被害をもたらすものとは原審も認定していないし、全く根拠がないことについては、控訴人第1準備書面第4(22頁以下)に述べたとおりである。
被控訴人らは転居せざるを得ない住宅であると言うが、健康被害の恐れもなく、生活環境の被害もほぼない中で(上記2のとおり、メタンガスと地中の異臭は一部生活被害が発生しているが)、転居が必要な理由は何もない。
 
原審が「市場価格は近隣相場の50パーセントになると認められるから」(原判決29頁)としているのは、恐らくは、工業系廃油に含まれうるベンゼン等の特定有害物質の存在による現時点の評価減を考えているのではないかと思われるが、確かに現時点では特定有害物質が存在する土地は土地取引において対策費を考慮して減価されることが多い。
 
しかし、問題は、仮に、工業系廃油の存在可能性を、また、その工業系廃油の中のベンゼン等の特定有害物質の存在可能性を控訴人が予見できたとして(以上について、控訴人が争っていることは既に何度も繰り返しているが、ここでは損害論なので仮定の上で議論する。)、さらに、かかる特定有害物質が存在するが故に対策費相当の損害を被控訴人らが被っているとしても、かかる経済的損害は控訴人の不法行為による損害賠償の対象ではないと言うことである。
すなわち、不法行為においても民法第416条が類推適用されており(最高裁昭和48年6月7日判決民集27巻6号681頁)、不法行為における損害賠償の範囲は相当因果関係の範囲に限られる。
したがって、本件で被控訴人らが主張している損害が、相当因果関係のない損害であれば、控訴人にはその損害を賠償すべき義務はない。
この相当因果関係については、本件ではないというべきである。
なぜなら、土壌汚染対策費が考慮されて減価され取引されるという現状は、平成14年の土壌汚染対策法の制定がもたらしたといえ、これは特別の事情による損害であって、控訴人に本件土地分譲時に土壌汚染対策費等が考慮されて減価されることの予見可能性がないからである。
 
(3)小括
以上のとおり、工業系廃油の特定有害物質の対策費用及びこれに伴う土地の減価は、工業系廃油の予見可能性と関わるが、仮にその予見可能性があったとしても、その損害は、控訴人の本件土地の販売と相当因果関係のある損害ではない。
その他、メタンガス、硫化水素といった地中ガスは、ガス対策費用程度の損害があるにすぎず、土地を掘削することによる異臭による損害は仮にあるとしても、ガーデニングの不便による慰謝料が損害であるにすぎず、いずれも植物由来廃油を原因としている可能性はあるが、その損害額は極めて限定的である。
 
以上
 
[1]平成23年12月8日付け「控訴人(両備)提出、第3準備書面」、は以上。
 
 
次回に続く。
 
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後7年以上経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。原告(住民)も附帯控訴を提起し、引き続き第二審(広島高等裁判所・岡山支部)で争われます。
 
 
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
2011年(H23)12月20日に行われた、第一次訴訟(3世帯)・第3回「控訴審」に提出された準備書面を掲載します。
 
今回の提出準備書面内訳
[1]平成23年12月8日付け「控訴人(両備)提出、第3準備書面」。
[2]平成23年12月19日付け、「附帯控訴人(住民)提出、準備書面3」。
 
控訴人(両備)提出証拠資料
(乙76号証)、応用地質株式会社作成「南古都団地土壌調査(黒い土の成因調査)報告書」。
(乙第77号証)、財団法人岡山県環境保全事業団土屋充作成『「南古都団地」における土壌汚染事象についての一考察』。
(乙第78号証)、岡山大学大学院環境学研究科教授西垣誠作成「南古都団地の土壌に関しての意見書」。
 
 
両者の名称
(両備)は、 控訴人  ・ 附帯被控訴人 ・ 被告 。
(住民)は、 被控訴人 ・ 附帯控訴人  ・ 原告 。
 
 
[1]平成23年12月8日付け「控訴人(両備)提出、第3準備書面」、の続きです。
 
(第2 損害について)
(1 原審の判断について)
 
 
(3)減価割合について
原審の50%という減価割合の判断には、分譲当時と現在との土地評価についての混同があると思われる。
原判決は「市場価格は近隣相場の50%になると認められるから」(原判決29頁)と、何の根拠もなく判示しているが、これは現時点での評価を述べているものと思われる。
しかしながら、原審の論理に基づくとしても、「ベンゼン、トリクロロエチレン及び油分が存在する可能性があり、これらは、居住者の安全を害し得るものであり、また、生活に不快感・違和感を生じさせ得るものであること」を説明していたら、どれだけ分譲当時において、減価するかが問われなければならず、現時点での評価を基準として判断する理由はない。
被控訴人○○が本件土地における旭油化の操業実態を熟知していながら減価交渉もせずに本件土地建物を購入したことからみれば、分譲当時、かかる説明があっても、その減価は限りなくゼロに近いと思われるし、仮に何らかの減価があったとしても、上記のとおり、利得は損益相殺されるべきである。
 
なお、付言すると、既に繰り返し主張しているように、少なくとも、ベンゼン、トリクロロエチレン等の現在の土壌汚染対策法の特定有害物質については、控訴人には全く認識可能性がないものであるから、説明しようもない。
また、植物性油分の存在可能性についても、「悪臭」が消えており、上述のとおり、将来に新たな「異臭」が発生することは予見できなかった以上、説明義務はない。
仮に、「油分が残っていたら何か問題がありますか」と聞かれていたとしても、控訴人の販売担当者は答えに窮したはずである。分譲時には「悪臭」もなかったからである。しいて言えば、「悪臭対策として生石灰を入れて臭いを消していますので、悪臭はないでしょう。しかも、表土は真砂土に入替えており、土地を深く掘削することがなければ、仮に地中に油分が存在していても油分による不快感はないでしょう。」といった説明であろう。
しかし、本件土地における旭油化の操業実態を熟知していた被控訴人○○が減価交渉もせずに、土地を購入しているという経過から考えると、このような説明で減価がありえたとは思われない。
 
(4)被控訴人らの土地建物の現在価値
被控訴人らの土地建物(被控訴人○○についてはかつて所有していた土地建物)の現在価値は、土壌汚染が全くないとしても、現時点で以下のとおりである(乙第83号証の1〜3)。
 
 
土地
建物
合計
被控訴人○○
,810,000円
,740,000円
,550,000円
被控訴人旧○○
,340,000円
,830,000円
,170,000円
被控訴人○○
12,700,000円
,800,000円
16,500,000円
 
土壌汚染の問題が全くない状態であっても経年劣化により被控訴人らの土地建物の現在価値は既に上記のとおり、原審認定の損害額より小さいものとなっている。
原審の損害額の認定が使用収益の利得を考慮しないため、いかに不合理なものとなっているかはこのことだけを見ても明らかである。
何の問題もない土地建物を得ていても、被控訴人らに帰属する残存利益は上記現在価値を超えることがない以上、少なくとも、財産的損害がこれを超えることなどありえないからである。
 
 
次回に続く。
 
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後7年以上経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。原告(住民)も附帯控訴を提起し、引き続き第二審(広島高等裁判所・岡山支部)で争われます。
 
 
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
2011年(H23)12月20日に行われた、第一次訴訟(3世帯)・第3回「控訴審」に提出された準備書面を掲載します。
 
今回の提出準備書面内訳
[1]平成23年12月8日付け「控訴人(両備)提出、第3準備書面」。
[2]平成23年12月19日付け、「附帯控訴人(住民)提出、準備書面3」。
 
控訴人(両備)提出証拠資料
(乙76号証)、応用地質株式会社作成「南古都団地土壌調査(黒い土の成因調査)報告書」。
(乙第77号証)、財団法人岡山県環境保全事業団土屋充作成『「南古都団地」における土壌汚染事象についての一考察』。
(乙第78号証)、岡山大学大学院環境学研究科教授西垣誠作成「南古都団地の土壌に関しての意見書」。
 
 
両者の名称
(両備)は、 控訴人  ・ 附帯被控訴人 ・ 被告 。
(住民)は、 被控訴人 ・ 附帯控訴人  ・ 原告 。
 
 
[1]平成23年12月8日付け「控訴人(両備)提出、第3準備書面」、の続きです。
 
 
第2 損害について
 
既に繰り返し述べているように、本件土地の特定有害物質による土壌汚染並びに植物由来の廃油がもたらした可能性のある現在の地中の黒い土、異臭、メタンガス及び硫化水素について、控訴人に分譲当時予見可能性はなく、従って結果的に現在から見ればその原因と考えられる事実について当時控訴人に説明義務もなく、控訴人が不法行為責任を問われる理由はない。
したがって、損害論にふみこむまでもなく原判決は取り消され、被控訴人らの請求は棄却されるべきである。
しかし、原判決の損害論は、かかる責任論とは別に考えても甚だ合理性を欠くものであるから、以下にその損害論がどのような点でどのように不合理であるかを示すとともに、本件の被控訴人らの損害は本来どのように整理されて議論されるべきかを示す。
 
1 原審の判断について
 
(1)原審の判断の問題点
原審は、「市場価格は近隣相場の50パーセントになると認められるから」(原判決29頁)という理由で、土地建物の取得代金の50%相当を損害と認定している。
この原審判示部分の意味は必ずしも判然としないが、分譲当時、説明義務を尽くしていれば、土地建物の取得価格は近隣相場の50%であったであろうという意味であれば、その証拠がなく、現在の市場価値から推認できるものでもない(むしろ、後述する被控訴人○○の対応からすれば、分譲当時においては、減価はされなかったといえる。)。
また、土地について何らかの減価があったとしても、建物に減価があるはずもない。
しかも、土地について何らかの減価があったとしても、その減価割合(以下、単に「減価割合」という。)が50%であると判断する根拠はどこにもない。
さらに、仮に説明義務を尽くしていれば土地の取得価格に減価があったとしても、本件土地の土壌汚染が発覚した平成16年7月までは、土壌汚染がないものとして土地建物は使用収益されているものである。
したがって、少なくとも各被控訴人の取得時から平成16年7月までは、賃料相当額(使用収益による利益)の減価割合相当額は、各被控訴人が利益の享受を現実には少しも妨げられてはいないという意味で、各被控訴人の利得を構成しているから、かかる利得は損益相殺されなければならない(千葉地裁平成23年2月17日判決 判例タイムズ1347号220頁(乙第81号証)は、建築基準法に定める接道要件を満たしていないことを説明しなかったことで説明義務違反の不法行為責任を認めたが、17年間にわたる居住利益を損害から控除することを認めている。)。
 
(2)使用収益の利得について
使用収益の利得を被控訴人○○について考えると次のとおりである。
同人の場合、土地売買代金は910万1000円で、建物工事代金は1589万9000円である。問題は、土地売買代金であるから、これが仮に説明義務を尽くしていたとしたら、10%減価されていたとする。
そうであれば、土地売買代金の10%である91万100円(これは、土地建物の取得総額の約3.6%である。)が減価額である。
しかし、取得した平成2年8月から平成16年7月まで(13年11か月)は土壌汚染がないものとして土地建物は使用収益されていたのであるから、賃料相当額を終始月額8万円とみても(乙第82号証の1の3枚目の付記1号の8万3900円参照。なお平成2年から平成23年まで新築か否かにかかわらず、本件分譲地の住宅の賃料に大差がなく、この期間においてこの住宅をいつ賃貸に出してもいつもほぼ同額であったと見られることについては、乙第82号証の2参照)、 その3.6%である2880円は月額の利得と考えられる。
これを平成2年8月から平成16年7月までの13年11か月(167か月)で計算すると、48万960円は利得したことになる。そうなると、減価割合を10%とした場合、損害は91万100円との差額の42万9140円にすぎない。
 
被控訴人らが、減価割合が10%ということはない、もっと大きいというのであれば、減価額は増えるが、それに相応して利得額も増える。仮に、原審判決のように減価割合50%であると考えると、土地売買代金の50%である455万500円(これは、土地建物の総取得額の約18.2%である。)が減価額である。
賃料月額を8万円とすると、その18.2%である1万4560円が月額の利得となる。
これを13年11か月(167か月)で計算すると、243万1520円が利得総額である。そうなると、損害は455万500円との差額の211万8980円となる。
 
使用収益の利得を被控訴人○○について考えると次のとおりである。
同人の場合、土地建物売買代金は、合計で2650万円である。土地建物の内訳が不明であるので、仮に建物代金を1000万円とし、土地代金を1650万円とする。問題は、土地売買代金であるから、これが仮に説明義務を尽くしていたとしたら、10%減価されていたとする。
そうであれば、土地代金の10%である165万円(これは、土地建物代金の6.2%である。)が減価額である。
しかし、取得した平成5年1月から平成16年7月まで(11年6か月)は土壌汚染がないものとして土地建物は使用収益されていたのであるから、賃料を終始月額8万円としても(乙第82号証の1の2枚目の8万8200円参照。)、その6.2%である4960円は月額の利得と考えられる。
これを平成5年1月から平成16年7月までの11年6か月(138か月)で計算すると、68万4480円は利得したことになる。そうなると、減価割合を10%とした場合、損害額は165万円との差額の96万5520円にすぎない。
 
使用収益の利得を被控訴人○○について考えると次のとおりである。
同人の場合、土地売買代金は2374万4000円であり、建物工事代金は3996万4000円である。
問題は、土地売買代金であるから、これが仮に説明義務を尽くしていたら、10%減価されていたとする。
そうであれば、土地売買代金の10%である237万4400円(これは土地建物の取得総額の約3.7%である)が減価額である。
しかし、取得した平成2年6月から平成16年7月まで(14年1か月)は土壌汚染がないものとして土地建物は使用収益されていたのであるから、賃料を月額21万円としても(乙第82号証の1の3枚目の付記2号の21万5800円参照。)、その3.7%である7770円は月額の利得と考えられる。
これを平成2年6月から平成16年7月までの14年1か月(169か月)で計算すると、131万3130円は利得したことになる。
そうなると、減価割合を10%とした場合、損害は237万4400円との差額の106万1270円にすぎない。
 
 
次回に続く。
 
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後7年以上経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。原告(住民)も附帯控訴を提起し、引き続き第二審(広島高等裁判所・岡山支部)で争われます。
 
 
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
2011年(H23)12月20日に行われた、第一次訴訟(3世帯)・第3回「控訴審」に提出された準備書面を掲載します。
 
今回の提出準備書面内訳
[1]平成23年12月8日付け「控訴人(両備)提出、第3準備書面」。
[2]平成23年12月19日付け、「附帯控訴人(住民)提出、準備書面3」。
 
控訴人(両備)提出証拠資料
(乙76号証)、応用地質株式会社作成「南古都団地土壌調査(黒い土の成因調査)報告書」。
(乙第77号証)、財団法人岡山県環境保全事業団土屋充作成『「南古都団地」における土壌汚染事象についての一考察』。
(乙第78号証)、岡山大学大学院環境学研究科教授西垣誠作成「南古都団地の土壌に関しての意見書」。
 
 
両者の名称
(両備)は、 控訴人  ・ 附帯被控訴人 ・ 被告 。
(住民)は、 被控訴人 ・ 附帯控訴人  ・ 原告 。
 
 
[1]平成23年12月8日付け「控訴人(両備)提出、第3準備書面」、の続きです。
 
(第1 「第1、控訴人の説明義務」について)
 
 
5 第二次訴訟の鑑定
 
本件土地の分譲をめぐっては、被控訴人らの他に、控訴人に対し、○○○○外21名による損害賠償請求事件(岡山地方裁判所平成19年(ワ)第2011号)が提起されているが、同事件の原告らの申請により詳しい鑑定が行われている。
その鑑定対象土地は被控訴人らの土地ではないものの、同鑑定書で判明した調査結果は同じ団地内の被控訴人らの土地にもほぼ妥当するものと思われる。
 
このたび提出した乙第76号証〜第78号証の調査報告書、意見書の作成者は、同鑑定書を見た上で調査を行い、意見を述べているので、鑑定書を本事件でも証拠として提出する(乙第80号証)。なお同鑑定書で判明している客観的事実はおおよそ以下のとおりである。
 
(1)地表面からのガス
地表面については115地点の計測が行われたが、硫化水素及び一酸化炭素、ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンは、検出されていない。
メタンガスについては、地表(床下及び物置下を含む。)からの検出は認められていないが、量水器にはメタンガスが滞留している箇所が2箇所あった(乙第80号証・鑑定書2頁 表1 土壌表面ガス調査結果一覧表(簡易調査、1m深度)参照)。
 
ただし、メタンガスは人体に対する毒性はないとされ、また空気よりも軽いため、換気が良好であればガスは空気中に拡散するとされる。
 
なお、総VOC計による総VOCが微量ながら検出されているが(乙第80号証・鑑定書2頁 表1 土壌表面ガス調査結果一覧表(簡易調査、1m深度)参照)、量水器の総VOCの量のみ突出して値が高いことから、多くはメタンガスを検出したものと考えられる(乙第80号証・鑑定書補足資料2−3 表補足2−1a 土壌表面ガス調査結果(地表面)参照)。
 
(2)地中に存在するガス
地表から50cmの地中においても、ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンについては一切検出されていない。
なお、メタンガス(5%以上の箇所が、92地点中13箇所)や、一酸化炭素(50ppm以上の箇所が、92地点中6箇所)が検出されており、硫化水素については、計92地点中2地点においてのみ検出されている(乙第80号証・鑑定書補足資料3−3 表補足3−1a 土壌表面ガス調査・補足調査(50cm深度)結果参照)。
 
地表から1mの地中においても、19地点の調査が行われたが、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンは検出されていない。
ベンゼンについては、10地点で検出されており、1地点では3.0volppmという高い値が検出されたが、残り9地点では、0.15〜0.75volppm程度であった。
硫化水素については、1地点のみで、35.6ppmという高い数値を示したが、それ以外の18地点では検出されていない。
一酸化炭素については、10地点で検出されているが、いずれも2〜25ppmという低い値であった。
また、メタンガスについては、9地点で5%以上検出されている(乙第80号証・鑑定書補足資料4−14 表補足4−1 土壌表面ガス調査・簡易ボーリング(深度1m)結果参照)。
 
(3)油分
地中の土壌計18地点につき、油分の指標としてノルマルヘキサン抽出物質量を測定した結果、17地点で油分が検出された。
ただし、それぞれの地点で計測した深度が違うものの、0.01%〜2.11%と値に違いが見られた。
なお、2.11%という高い数値は、深度0.7〜0.8mの地点であって、0.3〜0.4mのところでは、0.07%であり、その他、1%を超える値となったのは、0.9〜1mのところがほとんどであった(乙第80号証・鑑定書補足資料6 試験結果証明書 別紙試験結果及び試験方法参照)。
 
なお、ノルマルヘキサン抽出試験では、いわゆる「油」だけでなく、他に界面活性剤や石鹸、アルコール、アミン類、農薬や染料、フェノール類、コロイド状硫黄など「油」以外のものも含まれることは上述のとおりであるが、乙第77号証・土屋常務理事意見書4頁及び甲第16号証2−2(1)を参照されたい。
 
 
次回に続く。
 
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