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「救済協議会」の活動。
l 2011年(H23)2月17日、おおさかATCグリーンエコプラザ「土壌汚染対策法8周年」セミナーにおいて、原告(3世帯住民)代理人弁護士・河田英正氏が講演。
このセミナープログラムの一つに、河田弁護士による講演がありました(【講演3】)。
講演の冒頭で、「どのような経緯で問題になり、どのように対処したかは、今日参加もされている被害者住民の方の寄稿文も収録されている『新刊・深刻化する土壌汚染』を読んでもらえば流れが分かる」と説明がありました。
なお、「小鳥が丘団地土壌汚染」第一次訴訟(3世帯)裁判では、「民法709条の不法行為による損害賠償請求」をしていて、先日の2月8日に結審となり、5月31日に判決が予定されています。
この講演の「レジュメ」を掲載します。
【講演3】(15:05〜15:45)
<レジュメ>
土壌汚染裁判の問題点と現状
〜小鳥が丘事件を通じて〜
弁護士 河田 英正 (岡山弁護士会)
小鳥が丘事件とは、宅地の土壌汚染に関して造成・販売した業者を相手に損害賠償請求をしている事件(岡山地方裁判所平成19年(ワ)第1352号)。平成19年8月31日に訴えを提起し、平成23年2月8日に結審となり、5月31日に判決が予定されている。
第1 事件の概要
1,土壌汚染の発覚の経緯
平成16年7月29日、岡山市の上水道の鉛管給水管をポリエチレン管に交換するための路面の掘削工事をしたところ、油分を大量に含んだ悪臭を放つ黒い油泥のなかに水道管が埋められていることが発覚。長年、埋められていた「土壌汚染」が露わになった。
2,造成に至る経過
①昭和40年7月から廃白土などを分解、精製する産業廃棄物処理業者、旭油化が操業を始める。
②昭和46年頃から周辺住民から、工場の悪臭に関して苦情が寄せられるようになる。昭和56年ごろには工場の北側を流れる沼川に油膜が浮き、死んだ魚が浮くなどの現象があった。
③昭和48年に廃棄物処理法違反で書類送検、岡山市から悪臭と水質汚濁防止法に基づく施設改善勧告・命令が昭和57年5月までの間に8回。昭和56年に廃棄物処理業の廃業届をだしているが、操業の実態に大きな変化は見受けられなかった。
④本件造成地に隣接した場所に両備が小鳥の森団地を造成していて、既に多くの世帯が生活を始めていたが、その人々から両備に対して工場からの悪臭の苦情が寄せられるようになった。両備は根本的に解決するためには、この土地を買収して工場を廃止して、宅地造成することを決断。昭和54年ごろから旭油化と交渉にはいり、昭和57年7月27日に和解により、両備が取得し、昭和62年頃から3回にわたって造成し、順次分譲がなされた。
3,汚染の実態
1)株式会社ニッテクリサーチが平成19年4月に実施した『調査結果報告書(土壌汚染状況調査業務)』
①表層土壌ガス調査の結果、すべての調査位置においてベンゼンが検出され、土壌中からベンゼンが揮発している。
②土壌調査の結果、ベンゼン、シアン化合物、鉛、ヒ素などが土壌溶出基準を超えており、土壌がこれらの有害物質で汚染されている。
③土壌調査の結果、土壌含有量基準を満足しているが、鉛、ヒ素、ふっ素、ほう素などの有害物質が検出されている。
④したがって、小鳥が丘団地の土壌はベンゼン、シアン化合物、鉛、ヒ素などの有害物質で汚染されていると言える。
2)環境総合研究所の調査
油分溶出試験
竹中氏邸駐車場の土壌(D)、沼川団地側護岸の付着物(E)は、いずれも海洋に投棄できる産業廃棄物の基準値を大幅に超過している。
(表3−6)油分溶出試験 分析結果
(表3−7)TPH分析結果および評価基準
N-ヘキサン抽出物質
中須加氏宅前の地下水(B)は鉱物油含有量が排水基準の約3倍、柳川氏宅前の地下水(C)は鉱物油含有量が約7倍、動植物油脂類含有量が約4倍と高濃度であった。竹中氏邸駐車場の土壌(D)は、油分の合計が水産用水基準の底質基準の約17倍であった。沼川団地側護岸の護岸付着物(E)は水産用水基準の底質基準の約7倍と高い。
(表3−5)N-抽出物質 分析結果および評価基準
(表の内容)は以下を参照
3)市、行政側の調査(業者側の資料)
①岡山市役所環境規制課実施の『地下水・土壌分析結果』2004年7月によれば、岩野宅付近の地下水からヒ素が環境基準の15倍、ベンゼンが31倍検出され、土壌からヒ素、ふっ素、ほう素が環境基準以下ながら検出された。
②株式会社三友土質エンジニアリングの『南古都概況調査分析結果』2004年9月によれば、3箇所のボーリング調査(深さ1〜5m)でヒ素が土壌溶出基準の1.7〜3.2倍、ベンゼンが0.5〜26倍、トリクロロエチレンが約27倍、シス-1,2-ジクロロエチレンが約6倍検出された。また、油分が1.3〜1.9重量%検出され、油で汚染されている。
③同『南古都表層土壌調査分析結果について』2004年10月によれば、ベンゼンが34箇所中8箇所で土壌溶出基準を超え、最高11倍検出された。トリクロロエチレンは1箇所、シス-1,2-ジクロロエチレンは2箇所、ヒ素は5箇所が基準を超え、最高約3倍程度だった。
④財団法人岡山県環境保全事業団の『調査結果報告書(南古都団地内ガス調査業務)』2004年12月によれば、表層土壌ガス調査ですべての地点でベンゼンが検知されたほか、特定の地点でジクロロメタン、シス-1,2-ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、などが検出され、土壌からベンゼンなどの揮発性物質(VOC)が揮発している。硫化水素に加えてメタンがすべての地点で比較的高濃度(3.2〜68%)で検出されたことから、地層内では有機物の嫌気制分解が相当程度進行しており、硫化水素の毒性や、メタンが引火・爆発する危険性がある。環境大気調査では、大気環境基準以下であるが、ベンゼン、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどの揮発性物質が検出されており、環境大気が汚染されている。
⑤応用地質㈱の『電気探査結果』2004年12月によれば、全体に低比抵抗であり、1%以上の油分によるとしている。とくに、タンク跡は油の漏洩を示している。汚染が全体に及んでいることを示している。
⑥財団法人岡山県環境保全事業団の『調査結果報告書(南古都団地内土壌化学性状調査業務)』2005年3月(乙第18号証)によれば、ヘキサン抽出物質量(油分)が0.1〜10%検出され、含水率や溶解性塩類濃度が高いことが確認されている。つまり、油分、水分、塩分などが多く含まれる汚染土壌の団塊が確認された。
なお、別件訴訟において住民側で行った調査結果では、一部の住宅地の上部汚染土壌からは要監視基準を超え、環境基準に近い値のダイオキシンが検出されている。
4)被害
長い間、住民たちは汚染土壌であるとの認識はないままで過ごしていた。時折、不快な油臭を感じていた程度である。しかし、原因不明のアトピーのような皮膚炎に悩まされたり、鼻炎になったり、頭痛を感じたりと健康上の問題が原告らの間に起きていた。床の近くに設置していたガス漏れ警報器が突然に鳴り出すという事件が起きたりしていたが、土壌汚染によるものとの認識はなかった。
第2 訴訟の問題点
1,法的構成
①不法行為(民法709条)
「故意・過失」及び被害との因果関係が問題、直接の契約関係がなくても請求が可能。
②瑕疵担保責任(民法577条)
売買の目的物に隠れたる瑕疵があるとき、瑕疵の事実を知った時から1年以内に損害賠償の請求ができる。「隠れたる瑕疵」か否か、1年以内の行使か否かが問題となる。売買契約の当事者間の権利関係である。
2,業者側からの時効の主張
①不法行為は、被害を知った時から3年、不法行為のあったときから20年(除斥期間)
②瑕疵担保責任は隠れたる瑕疵の存在を知ってから1年という権利行使期間の制限があるほか、契約から10年を経過すれば時効によって消滅。
3,訴訟遂行上の問題点
①訴訟費用、印紙代など
②調査費用(立証責任との関係)
土壌汚染調査
被害の実態調査
学者の鑑定・証言の確保
4,本件訴訟の現状と問題点
①被告の反論
被告の認識
昭和57年7月27日に岡山簡易裁判所で成立している本件造成地を取得した和解調書の「紛争の実情」に詳細に記載されている。被告は汚染の実態を正確に認識して数年にわたり売買の交渉をしてきていた。
②汚染の実態の立証
③損害の立証
第3 土壌汚染被害の救済に向けて
(土壌汚染対策法のあり方の問題、被害の救済の問題。)
(隠蔽されてしまう問題。)
(時効の問題。等)
( )はメモで追記したもの
以上
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後7年以上経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。原告(住民)も附帯控訴を提起し、引き続き第二審(広島高等裁判所・岡山支部)で争われます。
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
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2012年02月26日
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