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「福島原発事故」とよく似ている?
東日本大震災は、当面の復旧でさえ関係者の必死の努力にもかかわらず長くかかりそうです。
福島原発事故もいまだ収束していません。
この「福島原発事故」の報道を見ていると、「岡山市小鳥が丘団地土壌汚染事件」と似ていると感じています。
被害の大きさや程度は放射能の方が深刻ですが、企業・行政・学者・メディアなどの対応はよく似ています。
感じたことを挙げてみます。
①「健康への影響は直ちに懸念されない」?
「福島原発事故」では、「健康への影響は直ちに懸念されない」とのコメントをたびたび聞きます。
「岡山市小鳥が丘事件」では、宅地造成販売をした「両備」(私たちが提訴した相手企業)が土壌汚染発覚後に立ち上げた「環境対策検討委員会(岡山大学委員会)」が出した意見書の「2.人の健康への影響について」で、同じ表現が使われていることに驚きました。
このような事件のコメントとして常套文句なのでしょうか。
「直ちに」がいつまでの期間か分かりませんが、「直ちに」のその後の健康被害の意見が表現されていません。
5年後・10年後も健康への影響は懸念されないのであればそれをコメントすべきですし、5年後・10年後は分からないのであれば、「健康への影響は直ちに懸念されるものではないが、5年後・10年後の影響は現時点では分からない」と表現しなければ片手落ちです。
不安解消に主眼を置くのではなく、健康被害の判断材料を提供することに主眼を置くべきです。
学者も肩書で判断せず、その学者が主張していることが本当に正しいのか自分で考えることが重要だと思います。難しいことですが、頭から信用せず注意深く観察するだけでもヒントが得られると思います。
②「想定外」?
「福島原発事故」の原因となった地震・津波の規模は、想定外であったと説明されています。
「岡山市小鳥が丘事件」では、私たち第一次訴訟(3世帯)住民が2010年6月22日に霞が関の環境省を訪問し、土壌汚染対策法の質問に対して環境省職員がこのように回答しています。
「一般住民のマイホームでこのような土壌汚染問題で紛争になるのは想定外であった。」
どちらも想定できなかったのではなく、あえて想定しなかったのではないかと思われます。
③「だまされたのは被害者の責任」?
原発建設では、国や企業はその信用力で「原発は安全」と地元に納得させ原発安全教育まで行なわれていたと聞きます。
今回のように一旦事故が起きれば、法律に基づいて賠償金は支払われるでしょうが全て損害賠償金で元通りになるわけではありません。
結局建設するときは安全と説明され、破綻すれば「だまされた方が悪い」と被害を押し付けられる結果になってしまいます。
「岡山市小鳥が丘事件」では、損害賠償金支払いさえ不明です。宅地土壌汚染が発覚しても損害と認定するかどうかさえ裁判で争わなければなりません。
しかし裁判は法律を基に判決するしかなく、「土壌汚染対策法」に被害者救済の観点が欠落しているので認定してもらえるかどうかも分かりませんが裁判しか方法がありませんでした。
宅地開発業者(両備)には、分譲するとき「悪質操業した廃油工場跡地」という履歴説明はなく、土壌汚染が発覚すれば「だまされたのは購入者が悪い」、と放置されました。
約20年前の安易な宅地造成によってマイホーム土壌汚染被害を招いた結果責任も重大ですが、土壌汚染が発覚した後の両備の対応は、もっと信じられないものでした。
担当管理者から、だまされたのは購入者が悪いと責任転嫁されました。
岡山で「両備」の名前は通っているので、不覚にも信用して不動産を買ってしまいましたが、当事者の「両備」から、「両備を信用して購入したのはあなた達の間違い」と言われたのも同然です。
普通は担当管理者がそのような事を言っても、経営者が訂正し対処するはずですが、代表取締役社長に「改善要求書」を送っても電話連絡しても、回答は「不服なら裁判しろ!」でした。
歩み寄りは全く期待できず、提訴せざるを得ませんでした。
裁判結果がどのような事になったとしても、このような対応をする企業が今後販売する不動産は、しがらみのある人は別ですが、購入しようと思う人はいないと思います。
「原発安全神話」も今後信用されなくなるでしょう。
④体内被曝
「福島原発事故」で、体内被曝は体外被曝に比べて少量で桁違いの危険性が指摘されています。空気・水・食品から体内に取り込まれて発生する健康被害です。
「岡山市小鳥が丘事件」では、裁判で被告「両備」の主張は「土壌含有量基準値や土壌溶出量基準値を超える特定有害物質が土壌にあるからといって、それを直接口に入れる可能性はなく、何の害もない」と言っています。
(<被告(両備)の主張>②)
しかし、有害物質は庭や敷地に存在し、土ぼこりとして口に入る可能性があります。特に小さい子供は土遊びが好きで、庭で土いじり等することが多く注意しても口に入れる危険があります。
揮発性ガスは現に宅地から揮発していて呼吸により口から入っていますが、土壌汚染宅地による揮発性ガスの基準はなく、大気環境基準では健康影響の判定について適正ではありません。
⑤継続検査
「福島原発事故」では空気・水・土壌の放射能レベル継続検査が必要とされています。
「岡山市小鳥が丘事件」でも、行政が住民を退避させないのなら、室内空気(ガス)・水道水・土壌の定期継続検査をすべきだと思います。
しかし岡山市は土壌汚染対策法を参照し周囲に汚染が拡大していないかだけを調査しているのであり、最も被害を受けている団地内の調査は、「土地所有者が行なうべきもの」として調査はしていません。
⑥風評被害
「福島原発事故」では、風評被害が大きな問題になっています。
見えない危険なので、実被害なのか風評被害なのか素人にはよく分かりません。
不安解消に主眼を置いた報道傾向が続いていると感じた時点でだれも信用しなくなり、疑心暗鬼になり、実際危険でないものでも最大限の安全対策に走らざるを得なくなります。
国民の反応は、結果的に過剰防御対策だったとしても、後で無駄な事だったと笑って済ませられるが、もし間違いでなかったら、そして対策を取っていなかったとしたら、取り返しがつかないと考えての結果だと思います。
「岡山市小鳥が丘事件」では、土壌汚染発覚後に行政や企業の対応は住民の不安解消だけが先立ち、被害者住民でさえ当初は実被害でなく風評被害が心配だと思っていた住民も多くいました。
こと健康や命にかかわる情報は、はっきり線引きができないのであれば、良い情報も悪い情報も事実を公表し、評価については肯定・否定の対立する意見を公平に伝達し、判断は各々個人にゆだねるべきだと思う。
そうすれば個人の判断で行動した結果は、それぞれ納得すると思う。
そのほか、存在が見えにくい問題、低濃度であっても長期暴露の問題、専門知識がないと健康被害について一般住民の理解が難しい問題、隠蔽されてしまう問題、など「小鳥が丘団地土壌汚染事件」とよく似ていると思いました。
原子力発電については、最悪の放射能事故が起これば国そのものが危ういし、地震国の日本において重大な原発事故が完全に否定できないことが今回の震災で実証されたのですから、即刻廃止は出来ないでしょうが徐々に縮小し代替エネルギー研究に向かうべきだと思います。
そうでなければ、日本国民の考えとは反対に、世界から「日本は人命を軽視する国」との評価が広まるでしょうね。
(参照)
<YAHOO!ブログ>、2011年4月19日
「福島原発事故」とよく似ている?(再)
「救済協議会」の活動。
l 2011年(H23)4月19日、「小鳥が丘団地土壌汚染」損害賠償請求事件・第一次訴訟(3世帯)は、2月8日の「結審」を経て5月31日の「判決」(第一審)を待っています。(一審判決まであと1か月半)。
マイホーム土壌汚染被害民事訴訟第一次(3世帯)住民の母体である「小鳥が丘団地救済協議会」が、3世帯住民の体験を発信し多くの方と議論してきました。この記事を発生順序で整理し再度掲載します。
次回に続く
(参考文献;『深刻化する土壌汚染』第5章「岡山市小鳥が丘団地の土壌汚染事件(小鳥が丘団地救済協議会住民 著)」)
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後7年以上経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。原告(住民)も附帯控訴を提起し、引き続き第二審(広島高等裁判所・岡山支部)で争われます。
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
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2012年02月28日
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