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l 2010年(H22)12月21日、第一次訴訟(3世帯)、第23回口頭弁論。
小鳥が丘土壌汚染第23回裁判!(4)
[1]平成22年12月13日付け、被告(両備)提出、最終準備書面の続きです。
第4 予見可能性と結果回避義務
1 不法行為論における「予見可能性」
被告が不法行為をしたというには、その不法行為の時点で、被告は何を予見できたか?(予見可能性の問題)、また、被告が予見できた結果を回避するにはどのような行為をしなければならなかったのか?(結果回避可能性と結果回避義務の問題)を、明らかにしなければならない。
しかるに、原告のこの点の主張は、無いに等しいくらい、明確ではない。否、不法行為の主張そのものも、実に曖昧模糊としている。
2 原告のいう「予見可能性」の対象は何であるのか?
土壌汚染対策法でいう特定有害物質の存在か?それが環境基準を超えて存在することか?
予見可能性の対象が、このいずれかであるとしても、被告が宅地造成をした時点で、土壌汚染対策法は成立していなかっただけでなく、その法律の必要性も全く認識されていなかった。また、土壌に関する環境基準ができたのは、本件土地の分譲がほぼ終了した平成3年8月のことであり、土壌汚染対策法はさらにその後の平成14年に制定されたものであるので、被告には予見しうるものではなかった。
原告がいう予見可能性の対象が「臭気」であれば、その「臭気」は予見可能性の対象ではない。臭気はすでに存在していたからである。
なお、臭気のあることは、原告ら自身、それのあることを承知で本件土地内の宅地を購入している。したがって、臭気は売買契約の目的物の「隠れた瑕疵」にも当たらないのである。
3 結果回避の具体的内容
仮に、被告に、将来土壌汚染対策法が成立・施行され、そこに特定有害物質に係る環境基準が現行法のとおりになること、しかも指定区域ではなくともそれを除去するのが被告の義務になると、千里眼的発想を以て、予見し得たと仮定した場合、被告のすべき結果回避の内容は何だと、原告は主張するのであろうか?
第5 原告の被害論の破綻
1 非法律論
原告が定立した訴訟物である不法行為論は、これまで述べたところから、破綻していることは明らかであるが、その結論部分とも言うべき損害論について、原告の主張が余りに非現実的、非法律的であるので、一言、述べておく。
2 財産的損害
原告は、「不動産取得費等」を財産的損害として主張しているが、これは、もはや法律論ではない。
不動産の価値は、取得費で捉えることはできないのである。
はやい話し、過去に1000万円で購入した土地が、現在1億円しておれば、その土地の価値は1億円であり、その土地を喪失すれば1億円の損失である。
逆に、過去に、1億円で購入した土地が、現在1000万円になっておれば、それを喪失したときは1000万円の損失になる。
法律上、家屋などの減価償却資産の価値は、再調達価格から経年減価分を控除したものであり、土地については、経年減価はないが、土地上に建物があるときは、土地の時価から建付け地減価がなされた価格になる。
そうであるから、原告は、土地や家屋が無価値に帰したと言いたいのなら、土地の時価から建付け地減価をした金額を算出し、また、家屋の新築価格(再調達価格)から経年減価分を控除した金額を算出し、それぞれ、土地の損害、家屋の損害として主張しなければ、訴訟審理の俎上に載せてもらえないことを知るべきである。
しかるに、原告は、財産的損害を「不動産取得費等」とひとくくりにして主張しているだけで、「等」が何を意味するのかすら明らかにしていない。
土地や家屋を喪失した場合でも、損失や損害は、以上のように考えられるのであるが、原告の場合、土地や家屋を喪失したものではない。
また、特定有害物質の存在やその一部に環境基準値を超えるものがあることで、無価値になるものでないことはこれまで述べたとおりである。
なお、原告○○は、本訴中、自宅が競売に付され、その自宅が売却された。原告○○は、何故、その売却代金を同原告の損害賠償額から控除しないのか?不動産は無価値であるとの主張とこの事実は明らかに矛盾するから、故意にこの事実を伏せておくのか?理解に苦しむ。
原告らの損害論は、到底、法律論と言えるものではない。
3 精神的損害
原告○○と原告○○は各2500万円の慰謝料を請求し、原告○○は、慰謝料2000万円を請求している。が、その根拠とする主張は、余りに抽象的であるだけでなく、原因不明のめまいや頭痛まで、慰謝料の原因にしている。
この金額の大きさを考えると、原告らは死にも比肩しうるほどの精神的損害を受けたことになるが、そうであれば、原告らの死にも比肩しうる苦痛を、具体的に主張立証しなければならないが、何も主張をしていない。
これも、また、財産的損害の主張同様、主張自体無いに等しいものである。
第6 瑕疵論
原告は、本件の訴訟物に、売買契約の目的物の瑕疵担保請求権を上げていない。
しかしながら、本件訴訟を不法行為論で立証するのは無理があり、本来、瑕疵論で構成すべきものと思われる。そこで、将来、原告らから瑕疵論の主張のあることを予想して、一言、簡単に述べておく。
原告のいう特定有害物質や本件基準超過物質の存在は瑕疵ではない。最高裁判所平成22年6月1日判決(瑕疵かどうかは売買契約締結当時の取引概念を斟酌して判断すべきである)を持ち出さなくとも、これまで述べたところから明らかである。
また、原告には瑕疵の主張もできない。最高裁判所平成13年11月27日判決(売買契約の目的物の引渡後10年経過後は、瑕疵の存在を知らなかったとしても、担保責任を追及できない)があるからである。
平成22年12月13日付け、被告(両備)提出、最終準備書面は以上。
※ (先入観を排除するための反論として付記すると、上記準備書面の第5の2で、被告(両備)が本件不動産は取引価値を維持していると自宅が競売・売却された実績を主張しているが、善意の第三者が落札したものであるとの証明はなされていない。)
(参照)
<YAHOO!ブログ>、2011年1月16日〜1月18日
小鳥が丘土壌汚染第23回裁判!その8(再)〜その10(再)
【第一審】
原告;(小鳥が丘団地第一次訴訟3世帯住民)
被告;(両備ホールディングス株式会社)
マイホーム土壌汚染被害民事訴訟第一次(3世帯)住民の母体である「小鳥が丘団地救済協議会」が、3世帯住民の体験を発信し多くの方と議論してきました。この記事を発生順序で整理し再度掲載します。
前回ブログで要点と結果は速報しましたが、今回裁判で提出された原告・被告の最終準備書面を掲載しています。
<提出された準備書面内訳>
[1]平成22年12月13日付け、被告(両備)提出、最終準備書面。
[2]平成22年12月17日付け、原告(住民)提出、最終準備書面。
[3]平成22年12月20日付け、被告(両備)提出、追加準備書面。
2010年12月21日(火)10時00分から岡山地方裁判所( 202号法廷 )で第一次訴訟(3世帯)第23回口頭弁論(公開)が行われました。
裁判長は、原告の一人に対象物件が相続物件になっているための法的整理を指摘し、「裁判所は今日結審しようと思っていたが、次回期日で資料の整合性を取るためにもう一回弁論を入れます。」と発言があり、次回は、2011年2月8日(火)10時40分から第24回口頭弁論(公開)が予定されました。
次回に続く
(参考文献;『深刻化する土壌汚染』第5章「岡山市小鳥が丘団地の土壌汚染事件(小鳥が丘団地救済協議会住民 著)」)
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後7年以上経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。原告(住民)も附帯控訴を提起し、引き続き第二審(広島高等裁判所・岡山支部)で争われます。
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
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