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宅地分譲後、長期間経過した個人住民のマイホームから深刻な土壌汚染が表面化し、宅地を造成・販売した業者(両備)を相手に損害賠償請求をしている事件で、2011年5月31日に岡山地方裁判所で住民勝訴の判決があった。
【第一審】
原告;(岡山市「小鳥が丘団地」第一次訴訟3世帯住民)
被告;(両備ホールディングス株式会社)
土壌汚染に関する裁判は多くありますが、大半は土地売買をめぐる企業同士や企業と行政間のものが多く、知るかぎりでは、土壌汚染裁判で「全国初」の被害住民勝訴判決です。
判決後しばらく経ち、判決内容が公開されてきているようです。
この判決の解説記事を、転載します。
横浜弁護士中山知行のブログ
宅地建物取引業者の重要事項説明義務違反による損害賠償支払い義務
岡山地方裁判所平成23年5月31日判決
【掲載誌】 LLI/DB 判例秘書登載
本件は,団地の土壌が有害物質で汚染されていることを認識しながら,土壌汚染を隠して販売したとして,団地の住民が宅地分譲を行った会社に対して,不法行為に基づく損害賠償を求めた事案である。
A株式会社の工場においては,大手食用油会社から出る廃白土を原料として,せっけんやペンキの元となる油が生成されていた。
Y株式会社は,昭和50年ころから,Aの工場北側の土地を造成し,団地を形成し,同年9月からその土地建物の販売を開始した。
昭和50年頃,Aの工場の近隣住民は,Aが産業廃棄物処理業を開始したことによる悪臭,工場内の廃白土,汚泥,水質汚濁等の環境悪化を問題視しており,本件団地の住民も,Yに対し,苦情を寄せていた。
Yは,Aに悪臭等についての改善を要求し,また県や市の公害課が,Aに対し,再三にわたり行政指導を繰り返したが,これに従う対策は講じられなかった。
Yは,昭和62年から63年ころ,3期にわたってAの工場跡地を宅地造成し,順次分譲した。
上記宅地造成の際,Yは,悪臭対策として,油分の多い土壌の搬出作業,及び消臭工事を実施している。
X1は,平成2年8月30日,Yとの間で,本件分譲地内にある宅地の売買契約及び建物請負契約を締結し,X2は,平成5年1月30日,Yの仲介により,Bから,本件分譲地内の宅地及び建物を買い受けた。
Cは,平成2年6月 29日,Yとの間で,本件分譲地内にある宅地の売買契約及び建物建築請負契約を締結したが,その後死亡し,X3がCを相続した。
X1,X2及びCの宅地の購入価格は,いずれも近隣相場と同等であった。
平成16年7月,市の要請により,本件分譲地の上下水道の給水管の交換工事がされ,給水管を掘り起こしたところ,油分を大量に含んだ悪臭を放つ汚泥が発見され,調査により,地下水と土壌から硫酸イオンが検出された。
Yは,同年9月,本件分譲地の履歴の調査,ボーリング調査を依頼し,本件分譲地内でボーリング調査及び土壌分析が行われたところ,土壌溶出量を超えるベンゼン,トリクロロエチレン,シス−1,2−ジクロロエチレン,油分,金属片を発見する等した。
Xらは,Yの義務違反により土壌が汚染された宅地を買い受け,土地及び建物の取得に要した費用相当額の損害及び健康被害による損害等が生じたとして,Yに対し,不法行為に基づき,損害賠償等を請求した。
判決要旨
宅地建物取引業者には,土地建物の購入者等の利益の保護のために,取引の関係者に対し信義誠実を旨として業務を行う責務を負っている。
土地建物の販売や請負,売買の仲介をするに際して,信義則上,買主又は注文者が契約を締結するかどうかを決定付けるような重要な事項で知り得た事実については,これを買主や注文者に説明し,告知する義務を負い,この義務に違反して当該事実を告知せず,又は不実のことを告げたような場合には,これによって損害を受けた買主や注文者に対して,不法行為に基づく損害賠償の責めに任ずるものと解するのが相当である。
本件分譲地は,従前,Aという環境問題により再三の行政指導を受けていた会社により使用されており,Yは,そのような会社から,悪臭が残存し,通常の土地と異なる部分が認められる同地を購入した。
Y自ら上記各事情を有する土地の宅地造成を行ったこと,Yが,宅地の販売や仲介を業とする株式会社であることに鑑みると,Yは,他の者よりも本件分譲地の安全性,快適性に疑問を抱きうる立場にあった。
Yには,本件分譲地の一部を販売又は仲介したり,同地上の建物の建設を請け負ったり,建物売買の仲介をしたりするに際し,本件分譲地の安全性,快適性に関する情報を購入者及び注文者に説明すべき義務があった。
XY間の契約締結時において,Yは,従来悪臭が問題視されていたこと,宅地造成後も通常の分譲地とは異なる状況が生じていることをうかがわせる事情を認識しており,これらの事情は,住宅の安全性,快適性に疑問を生じさせる情報であるから,安全性,快適性に関するより詳細な情報を収集すべき調査をしたうえで,その調査内容を説明するか,若しくは少なくとも,認識していた上記事情のほか,本件分譲地中に廃白土,ベンゼン,トリクロロエチレン及び油分が存在する可能性があり,これらは居住者の安全を害し得るものであり,また,生活に不快感・違和感を生じさせ得るものであることについて説明すべき義務があったにもかかわらず,このような説明を行わなかった義務違反があり,不法行為責任が成立する。
以下省略
以上
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後8年近く経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。原告(住民)も附帯控訴を提起し、引き続き第二審(広島高等裁判所・岡山支部)で争われます。
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
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2012年03月25日
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