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l 2011年(H23)8月16日、第一審「判決」(5月31日)で、原告(住民)が勝訴したあと、被告(両備)が即刻控訴し、控訴人(両備)から「控訴理由書(7月21日付)」が届く。
控訴人(両備)からの「控訴理由書」!(5)
「控訴審」にあたり、控訴人(両備)からの「控訴理由書」が届きました。
控訴人(両備)は、東京の弁護士を増員し、科学者などの専門家の意見書など徹底的な反論を準備しているようです。
「控訴理由書」の続きです。
(第3 宅建業者の説明義務)
2 宅建業者の説明義務違反の裁判例について
本件で原審が認定している宅建業者の説明義務違反は、前述のとおり、重要事実の不告知の問題であり、かつ、原審の認定は、契約上の付随義務による契約責任ではなく不法行為責任である。
したがって、過去の裁判例で、不告知がいかなる事実に関して問題とされているのか、その場合、過失により知らなかった事実についても宅建業者が知るべきであったとして調査説明義務違反が認定されているものがあるのか、さらに、宅建業者の説明義務違反についていかなる場合に債務不履行とされ、いかなる場合に不法行為とされるのかを見る必要がある。
過去の裁判例を分析すると以上の論点については、以下のようにいうことができ、これらの分析結果から見ると、後述のとおり、原審判決はこれまでの裁判例から大きく逸脱している。
(1)宅建業者の説明義務の対象
前述のとおり、宅建業者には宅地建物取引業法第35条による重要事項説明義務があり、同条の重要事項は限定列挙されている。
かかる限定列挙された事実について説明責任があることは争いないところであり、これを超えてどこまでを重要事実として説明すべき責任があるのかが問題となる(以下同法第35条に列挙された事項を「重要事項」といい、それを超えて説明すべき義務があるとされる事実を「重要事実」という)。
過去の裁判例では、物件の土地利用規制や権利関係に関するものと物件の性状や環境に関するさまざまな事項が問題とされている。
本件は土地利用規制や権利関係の問題ではないので、ここでは物件の性状や環境に関することについて、どういう事項が重要事実として問題となったのかを別紙1(「裁判例一覧」)に整理し、概観する。
まず、物件の性状(広義)に関していえば、雨漏り(裁判例1、2)、地盤沈下(裁判例3)、地中埋設物(裁判例4、5)、冠水(裁判例6、7、8)、防災設備の不備(裁判例9、10)、地下の配管(裁判例11)、腐食した配管(裁判例12)、シロアリ被害(裁判例13)、自殺者物件(裁判例14、15、16)、土壌汚染(裁判例17)、危険な擁壁(裁判例18)、汚水管の欠陥(裁判例19)、改修マニュアル違反(裁判例20)、開発行為の不備(裁判例21)などの事例が訴訟で争われている。
これら物件の性状(広義)においては、重要事実か否かを判断するにあたって、物件に瑕疵があるかどうかがいずれの裁判例においても問題とされている。
これについては、例えば、裁判例5において、裁判所は、その事件における地中杭について説明義務を認めていないが、その理由として、当該地中杭が瑕疵にあたらない以上説明すべき取引上の注意義務を負うとは解し得ないとしている。
また、これら物件の性状に関する裁判例においても、当然ながら、物件に瑕疵があれば売主に説明義務があると解しているわけではない。
説明義務が信義則上認められるとするには、説明しないことが不誠実であるという特別の事情が示されている。
土壌汚染における裁判例に限っても、裁判例4では、裁判所は、売主が「地中埋設物の存在可能性について全く調査をしていなかったにもかかわらず、問題はない旨の事実と異なる全く根拠のない意見表明をしていた」点をとらえて、信義則上の説明義務違反を認めている。
また、裁判例17においても、信義則上の説明義務違反を認めるにあたり、売主が土壌汚染を発生せしめる蓋然性のある方法で土地の利用をしていたという事情を摘示している。
また、環境に関していえば、近隣地の高層建物建設等による日照・通風・眺望被害(裁判例22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35)、近隣の大規模開発等による環境変化(裁判例36、37)、騒音(裁判例38、39)、大気汚染(裁判例40、41)、眺望(裁判例42、43、44)、方位(裁判例45)、近隣の嫌悪施設(裁判例46、47)、隣人との紛争(裁判例48、49、50)、隣地建物からの視線(裁判例51)などの事例が訴訟で争われている。
これら環境においては、重要事実か否かを判断するにあたっては、裁判例40の「通常一般人がその事実の存在を認識したなら居住用の建物としての購入を断念すると社会通念上解される事実」という判示が代表するように、説明がされればその条件での取引はなかったと解される事実が重要事実と把握されている。
裁判例40は、公衆浴場からの排煙が問題となった事案であるが、公衆浴場からの煙がマンションに流入していることは事実だが、「本件煙突から排出される煙にいかなる成分が含まれ、その量がどの程度であり、このことにより本件建物の居住者に対して、本件煙突からの排煙が健康上どのような影響を及ぼしているかも不明である」という事情を指摘した上で、当該煙突の排煙の流入の可能性についての情報が重要事実とは評価できないとしている。
また、環境に関する裁判例において、裁判所は、宅建業者の説明義務につき、その専門的知識の範囲である重要事項を超えて説明すべき場合があることも認めているが、それは問題を意図的に隠すとか買主から特に注文をつけたとかの特段の事情がある場合とされている(裁判例39)。
この裁判例39は、航空機騒音に関する事件で、基準値を超える騒音が問題となった事案であったが、そこで問題とされた基地周辺の騒音は、当時社会問題化して公知の事実であり、また、買主が現地で気づくものであり、しかも受け止め方にも個人差があるとして、宅建業者に上記の特段の事情がない限り、騒音の説明義務はないとして、説明義務を否定している。
以上のとおり、物件の性状についての説明義務が問題とされるには、まず、物自体に瑕疵があるかどうかが前提となる。一方、環境が問題となる事案では、その事実を認識したなら買主が購入を断念すると社会通念上解される事実が重要事実とされている。いずれにしても、重要事実が告げられていないというだけでは信義則上の説明義務は導かれず、その義務違反が認定される場合は必ず何らかの信義則上許されないとの価値判断を導く事情がなければならないとされていることがわかる。
(参照)
<YAHOO!ブログ>、2011年9月17日
控訴人(両備)からの「控訴理由書」!その5
【第二審】
控訴人 ;(両備ホールディングス株式会社)
被控訴人;(小鳥が丘団地第一次訴訟3世帯住民)
「小鳥が丘団地」土壌汚染第1次訴訟(3世帯)の「控訴審」が、2011年(H23)9月22日13時30分から、広島高等裁判所岡山支部で行われます。
第一審判決で、岡山地裁は被告(両備)の不法行為を一部認め、原告(住民)勝訴となりました。
土壌汚染に関する裁判は多くありますが、大半は土地売買をめぐる企業同士や企業と行政間のものが多く、知る限りでは土壌汚染事件で「全国初」の被害住民勝訴判決となりました。
これを受けて、被告(両備)は即刻控訴し、引き続き第二審で争われます。
マイホーム土壌汚染被害民事訴訟第一次(3世帯)住民の母体である「小鳥が丘団地救済協議会」が、3世帯住民の体験を発信し多くの方と議論してきました。この記事を発生順序で整理し再度掲載します。
次回に続く
(参考文献;『深刻化する土壌汚染』第5章「岡山市小鳥が丘団地の土壌汚染事件(小鳥が丘団地救済協議会住民 著)」)
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後8年近く経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。原告(住民)も附帯控訴を提起し、引き続き第二審(広島高等裁判所・岡山支部)で争われます。
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
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2012年04月10日
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