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「小鳥が丘団地」土壌汚染第1次訴訟(3世帯)の「控訴審」が、2011年(H23)9月22日13時30分から、広島高等裁判所岡山支部で行われます。
第一審判決で、岡山地裁は被告(両備)の不法行為を一部認め、原告(住民)勝訴となりました。
土壌汚染に関する裁判は多くありますが、大半は土地売買をめぐる企業同士や企業と行政間のものが多く、知る限りでは土壌汚染事件で「全国初」の被害住民勝訴判決となりました。
これを受けて、被告(両備)は即刻控訴し、引き続き第二審で争われます。
控訴人(両備)からの「控訴理由書」!(3)
「控訴審」にあたり、控訴人(両備)からの「控訴理由書」が届きました。
控訴人(両備)は、東京の弁護士を増員し、科学者などの専門家の意見書など徹底的な反論を準備しているようです。
「控訴理由書」の続きです。
第2 土壌汚染の健康被害と生活被害
原審判決の判断の誤りについて述べるにあたり、土壌汚染の健康被害と生活被害について理解しなければならない前提があるので、以下、これについて説明する。
1 環境法の規制
いわゆる典型七公害は、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭である。
このうち、大気汚染や水質汚濁は、化学物質が大気や水を通じて拡散し、人がこれを吸い込んだり汚染された食物を口にしたりすることがあり、健康被害に直結する深刻な被害をもたらしうる公害であり、昭和43年に大気汚染防止法が、昭和45年に水質汚濁防止法がそれぞれ制定された。
また、騒音、振動、地盤沈下、悪臭は、その程度が甚だしい場合は、健康被害をもたらすこともあろうが、その規則により守ろうとする利益は生活環境である。
これらの問題があれば、生活環境としての快適さが失われるからである。
これらも、昔から問題として認識されており、早くから法律により規制が始まった。
一方、土壌汚染に関しては、農地に関して農用地の土壌の汚染防止等に関する法律が昭和45年に制定され、汚染された土壌で育つ作物が人の口に入ることを防止する手立てがととのえられた。
しかし、農地以外は長年放置されていた。
これは、土壌汚染は大気汚染や水質汚濁とは異なって、土壌にとどまっている限り、健康被害はないと考えられていたからである。
しかし、農地以外の土地の土壌汚染であっても、地下水に汚染が拡大すれば、地下水を井戸水として飲用する人に健康被害のおそれがあり(以下「飲用リスク」という)、また、地表にとどまる場合は子供などが土遊びをして口に入れるなどして健康被害のおそれがあるため(以下「直接摂取のリスク」という)、放置してよいものではない。
このため、平成14年になって、はじめてどの土地にも適用のある法律として制定されたのが土壌汚染対策法である。
土壌汚染「対策法」であって、「防止法」ではない理由は、大気汚染防止法や水質汚濁防止法や廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という)の規制を遵守すれば、今や土壌汚染は発生しないからとされている。
しかし、これは逆にいえば、かつての大気汚染防止法や水質汚濁防止法や廃棄物処理法は現在から比較するとかなり規制が緩く、また規制に対する取締まりも不十分だったため、現在土壌汚染の土地が多々存在するということであって、平成14年の土壌汚染対策法制定までは国民一般の土壌汚染に対する意識は極めて乏しかったものである。
不動産鑑定評価基準が土壌汚染を価格形成要因として土壌汚染を入れるように変更されたのが平成14年7月3日であることは、このことの何よりの証左である。
2 土壌汚染対策法のリスク管理
土壌汚染対策法のリスク管理は、前述したように「飲用リスク」と「直接摂取リスク」に分けられている。
人が危険にさらされる態様が異なるので、規制の方法も異なるが、いずれも土壌に一定以上の濃度の汚染があるかどうかがまず問題となり、次にその汚染に人がさらされるリスクがあるかが問題となり、この両方の要件が満たされてはじめて土壌汚染対策義務が生じるものとされている。
つまり、いくら土壌が汚染されていても、飲用リスクがあるかどうかは、その結果汚染された地下水を井戸水として飲むという状況がありうるのかという基準で判断されるし、直接摂取リスクがあるかどうかは、地表の汚染を口にするような状況がありうるかという基準で判断される(乙第33号証)。
しかも、土壌汚染対策法の濃度基準自体も、従前法規制と結びつかない望ましい基準として定められていた土壌汚染に係る環境基準と同様の基準で決められており、かなり厳しい値が基準値である。
具体的にいえば、土壌汚染対策法における指定基準は、環境省主催の土壌環境施策に関するあり方懇談会(以下「環境省懇談会」という)第6回(平成20年1月9日)において配布された「指定基準地の設定の考え方」(乙第33号証)に示されているように、「一生涯にわたり摂取しても健康に対する有害な影響が表れないと判断されるレベル又はリスク増分が10万分の1となるレベル」(注:リスク増分が10万分の1となるレベルというのは、10万人に1人に新たに影響が生じるリスクが生まれるレベル。(「飲用リスク」は70年間、1日2リットルの地下水を飲用することを想定(乙第33号証3枚目)。「直接摂取リスク」は70年間、汚染土壌のある土地に居住した場合を想定(乙第33号証5枚目))に設定されている。
なお、本件で問題になっているベンゼンもトリクロロエチレンもシスー1,2−ジクロロエチレンも、すべて溶出量が基準を超えているもので、飲用リスクのみが問題になる(直接摂取リスクならば含有量基準が問題となり、規制物質も異なる)。
したがって、本件で地下水に汚染が達しているのか、その汚染を井戸水で飲む人がいるのかが問題になるが、被控訴人らはこれに該当しない。
本件分譲地の地中に見つかったこれらの物質は、地下水を飲まずに地表に住んでいる人の健康には関係のない汚染である。
このことは、第三者専門家機関による検証の結果として、「井戸水としての地下水利用がないこととあわせて健康への影響が直ちに懸念されるものではない」(乙第16号証)と記載されているとおりである。
3 油による土壌汚染
油分は、油分の一成分であるベンゼンを除き、それ自体土壌汚染対策法の特定有害物質には該当しない。
それは、油分により汚染された土壌が何らかの健康被害をもたらすとは考えられてはいないからである。
ただ、油分に汚染された土壌は、これを搬出して外で処分しようとすると、汚染のない土壌よりも処理コストがかさむことと、油分による土壌汚染は悪臭を発することがあるので、現在では土地取引においては、油分で汚染された土地も、このような不利益を買主にもたらす場合は、瑕疵ある土地として扱われうる。
ここで、注意すべきは、現在ですら、土壌処理コストの問題を別にすると、油分による土壌汚染は、悪臭が発生した場合に、生活被害に関する問題が生じうるにすぎず、油分で汚染された土地の上に居住していても、その悪臭が地下に閉じこめられたままでは、悪臭の問題は発生しないので、生活被害もないということである。
(参照)
<YAHOO!ブログ>、2011年9月16日
控訴人(両備)からの「控訴理由書」!その3
l 2011年(H23)8月16日、第一審「判決」(5月31日)で、原告(住民)が勝訴したあと、被告(両備)が即刻控訴し、控訴人(両備)から「控訴理由書(7月21日付)」が届く。
【第二審】
控訴人 ;(両備ホールディングス株式会社)
被控訴人;(小鳥が丘団地第一次訴訟3世帯住民)
マイホーム土壌汚染被害民事訴訟第一次(3世帯)住民の母体である「小鳥が丘団地救済協議会」が、3世帯住民の体験を発信し多くの方と議論してきました。この記事を発生順序で整理し再度掲載します。
次回に続く
(参考文献;『深刻化する土壌汚染』第5章「岡山市小鳥が丘団地の土壌汚染事件(小鳥が丘団地救済協議会住民 著)」)
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後8年近く経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。原告(住民)も附帯控訴を提起し、引き続き第二審(広島高等裁判所・岡山支部)で争われます。
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!
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